今週の月曜日の午後の話

しばらくスタッフに任せていた患者さんのところへ

2ヶ月ぶりにお伺いしました。

 

この患者さんは、車椅子に乗るのもヘルパーさん達の介助が必要で、食事をするのも何をするのも、お一人ではままなりません。

 

それでも、こちらの声に反応はしてくださるし

痛みがあれば、かすれる声で「痛い」と

伝えてくれます。

 

ご家族もお近くにお住まいですし

僕らもコンタクトを取りながら

細君の痛みの訴えなど

ご様子を伝えたりもできます。

 

このような状態の患者さんですが

スタッフの力を信じて

あえて2ヶ月ほど一切僕が施術の現場には行かずに

担当としてお願いしていました。

 

報告は逐次受けていますし

僕もお顔はその間も何度も拝見しているのですが

この月曜日が久しぶりのご対面。

 

いつもの手順で準備をすませ

いざ肩に触れてみると…

 

あれ??

 

次に、

足の付け根や、お膝にも触れてみると…

 

おお〜!!!

 

明らかに、組織の強張りが取れ

関節の動く範囲も広がっています!!!!!

 

これなら、

着替えの時に体を横向きにされても

移動の時に手足を曲げても

もちろんじっとしてても

ご本人の感じる、痛みが少なくなっている筈です!!!!!

 

報告では聞いていましたが

やはり、実際に自分が触れてみると

3ヶ月前の体の硬さの感覚とは

明らかに違う状態の感触です。

 

そして今日

別の患者さんへの施術の同行で、

スタッフの仕事をみると

彼女の手は

とてもソフトな触れ方をしています。

 

「こんなに丁寧に、大切に

施術してもらえたら

きっと患者さんも安心して体を預けられるよねー」

と、心の中で本当に関心してしまいました。

 

技術の指導が欲しいので、とお願いされての同行でしたが

僕の方が

スタッフからとても大切なことを教わった思いです。

 

もちろん、その後にたっぷり褒めて

良かった点を直接スタッフに伝えました。

 

寝たきりの方、お一人暮らしがギリギリ保てている方、

そして痛みを抱えて生活されている方も

少しでも穏やかで、本来のその方らしい時間を

過ごしていただけるよう

明日からも施術にあたります。

 

僕がまだ病院に勤めていた頃

通ってこられる患者さん達が

おっしゃった言葉があります。

 

異口同音に

歳をとって、昔できていた事が、今できなくて

情けない

と。

 

当時は、その言葉だけをとって

体が不自由になられて、ご苦労をされてるんだな…

と、思っていました。

 

もちろんその意味もあるとは思うのですが、

今はもう少し、考えを巡らせています。

 

それは

ご家族との関係性です。

 

今のご高齢者が子育てをされた時代

つまり僕らくらいか、それより上の世代は

「人に迷惑をかけてはいけない」

と、よく親が子に言って聞かせました。

 

判断基準の一つが、「他人の迷惑になるかどうか」

です。

 

この「迷惑」の定期が難しいのですが

病院で僕らにお話しされていた方の状況を鑑みると

「人の手を借りる=人に迷惑をかけている」

になっている様子です。

 

気持ちはわかりますよ。

 

人を手助けする立場でもなく

お世話する側でもなく

気ぃ付けや!と言われる側に…

 

そして気がつけば「後期高齢者」という

ネーミングを聞いただけでも、元気がなくなりそうな

カテゴリーに分類されている自分…。

 

全部ひっくるめて、「情けない」

になってたのかなぁ。

 

確かに、思うように動かない体は

子どもに解除してもらう必要が増えたり

動く度につい、「ヨイショ」とか「痛たた…」とか無意識で言っていたり。

 

そんなことを考えると、そんな話にもなりますよね。

 

でもね、ちょっと考えると、違った見方も出来るかな、と。

 

そうやって、病気や年齢の影響を受けて変化していく様子を

僕ら若い世代に見せ、触れさせ、気持ちをお話くださるのは

「時間は永遠ではない」

と、身を以て教えて下さっているのと同じだと感じます。

 

目や耳が問題をはらみ

腰は曲がり、膝は痛くなり…

そんなエンドレスな生活に

疲れが出てしまうこともありますよね。

 

そんな時は

この若い世代に、生き様を見せてやってるねん

とでも、考えて欲しいものです。

 

むしろ、関わりを持たせて頂いている人間からすると

ありがたい体験をさせて頂いてます。

今週の金曜日の仕事終わりのこと

 

いつもお世話になっている自動車整備士さんと、

zoomでお話をしました。

 

スタッフ用の自動車保険が更新の時期なんですが

僕はこういうことには、とっても疎いので、相談です。

 

頼れる存在が

いつでも

相談に乗ってくれるって…

本当にありがたいです。

 

僕らのように、仕事で車を使う人にとっては

無くてはならない場所で

自動車が売れないと言われる時代ですが

奈良市内にあるこの方の会社は

このところずーっとお忙しい様子で

時々覗きに行くと、

工場に車が入り切らない時も…。

 

スタッフさんがいるとはいえ、

やはり社長ご自身も、現場で動き回っておられるので

年に数回は腰の激痛に悩まされるとか。

 

去年は施術所へお越し頂いて

鍼を数回させていただきました。

 

話の流れで、その後の腰の調子を尋ねると

なんと

「去年の夏前にしっかりと鍼たマッサージをしてもらってから、痛くならへんねん」

との嬉しい報告!!

 

毎年冬にはひどい痛みに悩まされていた

と聞いていたので

これは嬉しかったです。

 

 

僕にとって

普通に仕事をして、普通に家庭を守って、

普通に仲間とおしゃべりを楽しむ

そういう方の

普通の暮らしの、ささやかな支えになれるのは

心から嬉しいことです。

 

僕が関わらせていただくことで

仕事で忙しくても、集中出来たり

家族との時間に、優しさが行き交ったり

ちょっとした時に、周りに視線を広げるゆとりを持ってもらえたら

きっと

ご本人も、その周りの方も

良い雰囲気が広がっていくと思います。

 

僕の仕事が、そんな社会の一つのきっかけになると、

嬉しいなぁー。

役10年前の夏の、我が家は引っ越しでてんやわんやの状態でした。

 
ちびっ子の荷物だけでも段ボールの山…
 
もう、思い出しただけでも
出来れば2度としたくない〜
と思ってしまいます。
 
そんな時、お助け頂いた方が、僕らが引っ越して来る前に住んでいた時にお世話になった方の、お父さんでした。
 
荷物の一部を事前に送らせて頂いたり、
それをお持ちいただいたり…
 
共通のご趣味がテニスという、明るいご夫婦で、
飾らない爽やかな印象でした。
 
時が経ち
お二人ともご病気を患い
訪問で施術をさせていただくようになりました。
 
それでも、お二人で手を取り合って暮らすご様子が
毎回の訪問でも感じられるので
こちらも
少しでも痛みやご不安が減らせるよう
熱が入ります。
 
そして、この春からは
ご事情からお父さんのお一人暮らしとなる
新しい生活スタイルに
どのように対応し
暮らしを支えて行けるのか?と、
声がけや施術内容を娘さんとも話していました。
 
それなのに
病院での2ヶ月半の治療から解放され、
今日お会いしたお父さんは
 
もう、冷たくなっておられました。
 
好きなお酒も、甘いおやつも、コーヒーも
楽しむこともできず
お母さんと会話することも叶わず
大好きな歴史の本を読まれることもありません。
 
病院では、よく
「早く家に帰りたい」
「おやつが食べたい」
と、仰られていたほどだったのに。
 
 
最後に、もう一度
背中を摩ってあげたかったなぁ…

今日、奈良でお仕事をされる方の集まりにお声がけいただき、

自分の仕事について一時間ほど、zoomを使ってお話をさせていただきました。

 

僕という人間を知ってくださる方の半数ほどお見えでしたが

それ以外の方は

僕の人間性も、仕事内容も、全く知らない

という方々の前で

予定を15分も超えて、二時間弱も皆さんのお時間を頂戴し、お話しさせていただきました。

 

(僕の、ユーモアもオチもないお話にお付き合いいただいて、ありがとうございます)

 

 

今日お見えの方は全員が鍼灸を受けたことがあると仰っていましたが

日本全体では一割程度しか体験がない

と言われるこの業種。

 

そこから見える患者さんのお悩みや

病態、病状の変化

などを、

僕なりにお話しすることで

日常生活の中で起こることや、気持ちの部分も

ご経験されていない方も

今までよりは少しでも、考えをめぐらせる機会になったのではと思います。

 

 

こうした積み重ねで

僕らのお仕事が必要な方へ届く事は勿論嬉しいのですが

それと同じくらい

すぐ身近にも、日常生活を送る上で

痛みに悩まされたり

病気を受容れられないご家族との暮らしに悩んだり

回復の見込みがないと言われたご家族を必死に支えようとしている方

の存在を

知ってもらうきっかけになれたらと思います。

 

ほとんどの方が

いつかは

体が不自由になったり

加齢で今までできたことが出来なくなったり

体は不自由でも、痛みだけは減らして欲しいと思ったり

すると思います。

 

だから、そうなった時の選択肢の一つに

僕らの仕事を加えてくださる方が増えたら嬉しいです。

 

そんな訳で

今日お集まりの方も温かい目で見守ってくださる方ばかりで

ありがたかったですし

内容に至っては、やはりお伝えできて良かったと感じました。

 

 

日本中に

安心して歳を重ねられて

自分や大切な人が深刻な病気になった時に、寄り添ってくれる存在があって

なるべく沢山の頼る先がある

そんな町が増えるといいですね。