回想録/キリマンジャロ1 | Travel in an ordinary life

回想録/キリマンジャロ1

久しぶりに回想録。約4年前にキリマンジャロに登った時の話。
アフリカ大陸で最高峰であり、約6000mの高さを持つキリマンジャロだけど、実は登山の素人でも気合いがあれば登れる!そんな話を旅仲間から聞いたものだから、じゃあチャレンジしないわけにはいかない、と安易な気持ちでタンザニアへ。

キリマンジャロ登山にはMoshiという街が起点となる。Moshiの街は登山ツアーを組む代理店が軒を並べる。そして色々な噂。やれ「あそこはチップをせがまれる」だとか、やれ「あそこは料金が高いがメシがうまい」だとか。要は色々なニーズに対応できるように色々なパッケージツアーが組まれていた。自分もここでツアーを組んでもらったわけで、もちろん貧乏旅行者の自分には格安しか選択肢はなく。でも全行程併せて5日間を費やすし、その間のガイド、ポーター及び食事、そして何より入山料なるものを政府に払う必要があるので格安といっても当時8万円くらいはかかった。このうち約5万円が入山料だった気がする。昔はこの入山料はもっと安かったけれども、外国人がキリマンジャロに登りに来るものだから政府としてもこれを利用して外貨獲得か?と、ちらっと思った。

翌朝、登山へ。登山口で登録を行って登り始める。登山口には欧米人ツアー団体がたむろしていた。アジア系は・・・いない・・・。そして貧乏旅行者は・・・いない・・・。あれれ、間違えたか。一昔前は入山料がもっと安かったこともあって自分みたいな貧乏旅行者も多くいたみたいだけど、入山料が高くなった今はツアー団体が主流とのこと。さて、と、自分のガイドは・・・と見回すと一人の30代初めくらいのガイドらしき兄さん。「お前がリョウか?」と。そして後にポーターらしき二人。「よし、揃った」と彼。「あれ、参加者って他にいないの?」と自分。「他にいない。お前だけ」と。「あーそういうこと。格安だからね~」と納得。これがこれからの戦いのゴングだった。

キリマンジャロ登山にはいくつかルートがある。その中には素人でも登れるルートがあり、そこを選択。キリマンジャロ登山の鉄則は“ポレポレ”。日本語で言うと「ゆっくり、ゆっくり」。なんせ6000m級。高山病は必ずついて回る。富士山でさえ高山病になるくらいの自分だからこの対策は必須。(富士山で高山病になるくらいでキリマンジャロに登ろうというのも結構狂気の沙汰だけど...)最初の数日はハイキングロードが続き、楽勝楽勝と思っているとあとからツケが回ってくるらしい。兎に角ポレポレと念じながら登る。ポレポレ...ポレポレ...ポレポレ。自分の重いバックパックはポーターが持ってくれる。そしてガイドがペースをキープ。そんなもんだから最初の2日は景色を楽しみながら登った。富士山みたいに5合目から登るということはここでは出来なく、一番下から登るので景色が変わるのが面白い。最初は回りに高い木が生い茂っていると思いきや、3000m、4000mとなると回りの木の高さは縮まり、そのうち草に、そして最後は草木も生えなくなる。

2日目あたりから本格的に戦いが始まった。ガイドが「ところでチップだけどさ...」。あ~やっぱ~、と心の中で自分。「だいたい欧米人はこれくらいくれるんだよ」と聞いてないのに勝手に相場を教えてくる。そうだよね、確かにお金は死活問題だし、欧米や日本の$1がここでは何倍もの価値になるのも分かる分かる。でもこれから先、まだ3日あるし、こんなことで揉めて余計な疲れを増やしたくないし。だから「最終日ね、最終日!」と言ってその場を凌ごうとする。相手は3人、こちらは1人。あ~でもない、こうでもない、といってくる。チップなんて働きに対する感謝の対価のはずなのに、と色々考えると本当にこんな薄っぺらな信頼関係で6000mに登頂できるのかと思ってしまう。でも、彼らの良いところはこれで揉めても後に全く引きずらない。5分もすれば「ヘイ、ミスター、ポレポレポレポレ」と言ってくる。でもその5分後に「ところでチップだけどさ...」と。
(長いので明日に続く。)

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