幼稚園から小学校に上がる頃だったと思います。
母親と二人でどこかにお使いに行った帰りの夜道でのことです。
私は、少し前に親戚のお葬式に参加してから、死ぬということが
どういうことか分からないまま恐怖を感じていました。
母親と手をつないで歩きながら、聞いてみました。
「お母ちゃん、お母ちゃんは死んだらどこへ行ってしまうの?」
大好きだった母が死んでいなくなるのがとても怖かったのです。
母親は答えてくれました。
「ほら、見てみい。お空に星があるやろ。お母ちゃんは死んでも
あの星になってあんたのことを見守ってるから心配せんでええんやで」
「ふぅーん、そうか」と、妙に安心したのを覚えています。
その時の母親と手をつないでいた手のひらの温もりと、夜空の星が
鮮明なイメージとともに、私の中で今も生きています。
その後も、自分が死んだらどうなるのかを考えると、やはり怖くてたまらなくなるのでした。