こんにちは緑人です。
設定秘話もいよいよ大詰めに近付いてまいりました。
前回の設定秘話本文中で、初めて「緑人」という単語が出てきましたね。物語中において「緑人」は勿論正式名称ではありませんが、まあ大詰めだって事で一回ぐらいは緑人って書いてみようかなと…ああ、どうでもいいっすかね?
まあいいや。
では続きをドウゾ。
********************************************************************
やがてエルヴィーネの身柄はジョーが言った通り留置所へ移され、エルヴィーネはそこで数日過ごしました。
食事・寝床ともにとても質素でしたが、国家反逆罪の容疑者であると同時に重要参考人である為でしょうか。品質はどれも決して悪くはありませんでした。
一方ジョーはエルヴィーネが拘束されている間、主に司令室で部下に作らせた書類の校正に追われていました。
【GTM強化型人間21号漏えい事件に関する概要】
ジョーが手にしている書類の表紙にはこう銘打たれておりました。
ジョーは表紙をめくり、校正の為再び書類の内容に目を通し始めました。
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
本資料は化学兵器グリーノイド・トリプタジエン・ミュータントガス(通称GTM)に関する初歩的な知識を記した資料である。
【概要】
GTMとは、今から20年前ドイツ軍が人間を戦闘用の強化型生物に変える為に開発した特殊ガスを指す。GTMによって強化型生物になった者をGTM強化型人間(Enhanced person by GTM、通称EPGTM)と呼ぶ。
人間をEPGTMにするには、普通の人間にGTMをわずかの間吸わせるだけでよい。
GTMを体内に吸収した人間は、まず肌が緑色になっていく。これは動物の体内には持ち得ない葉緑体が形成されていくからである。これにより日光を浴びるだけで栄養を補給する事が出来る様になり、食料を持ち歩く必要がなくなる。正確には日光の他に糖分などのエネルギーの摂取が若干必要になってくるが、通常行軍の時などに必要となる食料は俄然少なくて済む。
肌が緑色になると同時にEPGTMの身体は枯れ木の様に痩せ細っていくが、見た目の頼りなさとは裏腹に強靭な身体能力が備わる。
【能力】
被験者の個体差もあるが、EPGTMの具体的な身体能力は以下の通りになる。
・緑色の肌は銃弾を通さない。・緑色の肌はいかなる熱にも耐える。
・足腰のバネも飛躍的に強化され、100メートルを概ね平均7秒台で走るようになる。
・葉緑体を体内に持つので餓死をする事も基本的にない。・呼吸器系も水陸両用であると言っても差し支えない。つまり、水死する事はまず有り得ない。
【廃棄・処分方法について】
EPGTMを最も手っ取り早く殺す事が出来るのは、GTM中和用に開発された特殊薬物の注射である。薬物を肌が強化されていない粘膜に注射する事で、EPGTMはやっと絶命する。
つまりGTMは、洋の東西を問わず古代の権力者より模索されてきた不老不死に格段に近付いた禁断の素材だと言っても差し支えない。
しかしながらGTMは研究開発段階の域を脱していない。GTMを吸収すると、強靭な身体スペックを得るのと引き換えに脳細胞が著しく損傷し、知能が下等動物レベルに落ちてしまうという副作用がある。
これは急速に改善を進めていかねばならない課題である。
なお完全極秘事項だが、GTMに関する人体実験は自国の死刑囚もしくは敵国の捕虜に対して行うものとする。
・
・
・
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
ジョーは数ページ読み終えたところで書類を机に置き、タバコをふかし始めました。
「あと2日か…このタイミングで政府の高官が交代してプレゼンする羽目になるとは、厄介な事だ…」
つづく