no.5  片手刺し | 無料治療会 患者役募集中@術伝流 鍼灸・操体実践講座

no.5  片手刺し

1.はじめに

 今回は、片手刺しの練習です。

 これができると自分で手のツボに刺せます。

 はじめは、ティッシュや新聞紙、それから自分の足三里、手甲、手
陽経を刺します。

 左手でもできるように練習すれば、右手のツボにも自分で刺せるの
で、肘膝から先のツボを使う鍼治療は、自分でできることになり、自
分で養生しながら鍼の腕を上げていくことができます。

2.紙に刺す練習

 垂直にたらした紙に、片手で鍼を撚鍼していく練習です。

 この方法は、操体の橋本敬三先生が『生体の歪みを正す』創元社の
なかで、細くて曲がりやすく刺しにくい銀の毛鍼の練習方法として、
紹介されています。

「毛鍼の鍼先から1cm位の鍼体をつまみ、左手で立てた新聞紙
 (適当な大きさに切ったもの)に撚鍼していく。
 うまく通り抜けるようになったら、自分の足でやってみる。
 それから、押し手を使う撚鍼に進めば良い。」

 練習した結果、以下のことに気がつきました。

(1) はじめはティッシュくらいの紙のほうがやりやすい。できたら、
  新聞紙へ。

(2) 鍼柄の重い鍼、長い鍼ではやりにくい。寸3の鍼柄がプラスティッ
  クのものが、はじめは刺しやすい。

 というわけで、はじめは、ティッシュをたらし、それにねじりなが
ら突き刺す練習をします。

 それができるようになったら、新聞紙をたらし、それにクルクル撚
鍼しながら突き刺す練習をします。

 利き手でできるようになったら、反対側の手でもできるように練習
します。

3.自分の足三里に片手で刺す練習

 同じように、鍼先から1cmぐらいの鍼体をつまみ、自分の足三里に
片手で刺します。

足三里のツボのさがす

(1) 脛骨と腓骨のあいだの真ん中あたりの筋肉のみぞを、膝のお皿の下
  側の脛骨と腓骨のあいだから、足首のほうに指をすべらせて、い
  ちばんヘコんでいるところをみつけます。

  (逆に、膝から15㎝くらい下から膝のほうへでもよい)

  膝皿外側のラインで、膝皿から指4本分くらい足首より。

(2) 楊枝の頭などで、そのあたりで、いちばんヘコんだところをみつけ
  すこし強めに押して、あとがのこるようにします。

 膝を60度ぐらいに曲げて立てて座ると、ツボがみつけやすいし、鍼
も刺しやすいです。

鍼を立てるか、片手弾入する

 片手弾入ができる人は、それをします。

 片手弾入ができない人は、鍼を、痛くないようにそっとツボに立て
ます。

片手弾入の仕方

(1) 鍼管に入れた鍼を中指と親指ではさんで持ち、のこしたあとの上
  に立てて、人差し指で弾入します。

   (立てるときには、鍼管の上のほうを鍼と一緒にもって立て)
   (それから親指と人指し指を鍼管の皮膚の近くに移動させる)
   (と弾入しやすい)

  押し手がないので、あるときよりも弾入はすこし強めにします。
  が、あまり強くすると痛いので、加減してください。

(2) 鍼管を取り除きます。

  このときに鍼が抜けてしまわないように注意します。

鍼の立て方

 鍼先から1cmぐらいの鍼体をつまみ、残したあとの上に痛くない
ように、そっと、鍼を立てます。

撚鍼していく

 鍼先から1cmぐらいの鍼体をつまんだまま静かに撚鍼していきます。

 刺そうとあせらずに、深さを変えずに皮膚の上を接触鍼をしている
感じで、コチョコチョ撚鍼しているほうが刺さりやすいです。

何か変化を感じたら、その深さで横ゆらしなどをする

 まばたきがはじまったり、息が深くなったり、ピリピリビリビリ来
るような感じがしたり、硬いものにぶつかったり、急に痛たくなった
りしたら、深さを変えないで、鍼を横にふったり、左右にねじったり
します。

 鍼を鍼管でたたいたり、こまかくつついたりもします。

 何をするかは、何をするとイイ感じがするかで、判断するとよいで
す。

変化が落ち着いたら、静かに抜く

 抜いてくる途中で変化を感じたり、抜きにくくなったりしたら、そ
の深さで、また、しばらく横ゆらしなどしていると、抜けてきます。

 利き手でできるようになったら、反対側の手でもできるように練習
します。

4.手甲や前腕の手陽経に片手刺し

 手の甲にマグレインをはったときと同じようにツボをさがしてから
上に書いた足三里のときと同じように刺鍼する練習をします。

 まずは、利き手で、反対側の手甲や前腕の手陽経に、刺す練習をし
ます。

 それから、反対側の手で、利き手の手甲や前腕の手陽経に、刺す練
習をします。

 ツボは指をすべらしてヘコんだところを取ります。

 押すと圧痛があることがおおいです。

 前腕の手陽経のツボのくわしい取り方は、「術伝流一本鍼no.2
を見て下さい。

5.症状の変化をよく観察する

 手甲など手陽経のツボは、肩胛骨・鎖骨から上の症状に効果的です。

 いま説明したように刺鍼すると、そういう部分の症状がかるくなる
と思います。

 症状の変化を観察するのも鍼灸の独習には役立ちますので、しっか
り観察してください。

6.症状にあわせたツボさがしも可能

 また、肩胛骨鎖骨から上の症状にあわせたツボさがしもできます。

 手甲など手陽経のツボと、肩胛骨鎖骨から上の症状の関係は、親指
側が体の前側、小指側が体の後ろ側に関係していて、耳あたりだと薬
指と関係がふかいです。

 くわしくは、「体は自然、臨床は対話 」の「縦切りの原則:十四経
を読んでみてください。

7.手陽経のツボに刺しながら運動鍼

 手陽経のツボに刺しながら運動鍼もできます。

 くわしくは、「術伝流一本鍼no.3 」を見てください。


8.おわりに

 次回は、足の甲に灸点紙でお灸です。

 灸点紙と最上級点灸用艾を用意してください。


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