池上思想が表れた「週間こどもニュース」
さて、以上のような池上氏の思想をNHKスタッフと総出で展開させた番組が、6年にも及んだ「週間こどもニュース」である。
ここでは、番組の編集方針そのものが、子供を一方方向に誘導していた事実を暴露した池上氏自身の記述に注目したい。
1998年にインド、パキスタンが核実験を行った際のニュースづくりの現場での話を紹介するくだり、出演者の中2の女の子が次のように質問した。
「ふたつの国の実験で、どこかに迷惑をかけたの?」
この中学生こそ、冷徹な国際政治の現実を踏まえたまともな知見を有している。
にもかかわらず、池上氏は次のように反応したという。
「『よその国に迷惑をかけなければ、核実験してもいいと思うわけ?』『うん、ちょっぴりそう思う』たいへん率直な意見です。でも、私もスタッフも、大きなショックを受けてしまいました。核実験の恐ろしさが、どうしてこどもたちに伝わらないのか」(『これが「週間こどもニュース」だ』P208)
要するに、池上氏も番組スタッフも共に、核兵器をなくそうという特定の政治イデオロギーを子供たちに植え付けることを前提としているのである。
これは極めて偏向した番組作りだといえる。
そもそも反核運動とは、冷戦時代にソ連が始めた情報戦であったことがすでに証明されているとおり、共産圏を利する謀略の一環であった。
そして、何よりも、核抑止の理論は今なお有効である以上、「世界にはいろいろな考えがある」ことを子供に伝えたいという池上氏自身の教育方針どおり、池上氏は核抑止という理論が存在する事実を子供たちに教えるべきである。
さらにこの事例でいえば、インドの核実験は日本の想定敵国でもある中国を意識したものであり、政治的にみれば日本の国益に合致するという点も教えなければ本当の意味での学習にはならない。
このように、「週間こどもニュース」もまた、反核、反戦という池上氏個人の思想によって形作られた番組だったのである。
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