新作俳句「月の義足となりにけり」 | 「風の挽歌」

「風の挽歌」

葛原りょう×高坂明良ブログ

みなさん、たいへんご無沙汰しております。
ここ20日間、やむにやまれず事情があり、留守にしておりました。
その間、メッセージに返信ができず失礼しました。
いま、ようやく千駄木に戻り、年末は、文芸誌の仕事をしながら
静かに養生したいと願っています。

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一撃を秘めてまっすぐ寒の水

冬木立 月の義足となりにけり

凍星や激(たぎ)る獣を鎮めけり

山茶花の塊に手を入れにけり

湖(うみ)氷る言葉は宿を持たざれば

わが市(まち)にしぐるる蛇の道があり

短日や大和は眠る獣ぞよ

一室に閉じ込められて枯尾花

冬帽子ここから先は故郷とす

うつし身を消したき夜霧 部屋に入れ


 (寺山修司に)
神楽舞う血は煮えたまま立つてゐる