My Story 6 | 「折り紙」でアメリカ全土を渡り歩く!2011年東北大震災募金の記録by長島昌志

My Story 6





1年中365日。スノーボードのことを考えてた。


それしか無かったし、彼はそのコトしか考えられない人間だと思ってた。


でも・・・。あの時思ったのは「日本」のこと、「友達」「家族」。


本当に大切なものは「シンプル」なんじゃないかな。













気が付いた時には、ゲレンデの医務室にいた。


お腹は、ねじれるように痛いままだった。


アンディと彼女のクレアがいた。


アンディは「hey!MSこれからヘリが迎えに来るだってよ!やったな!無料だぜ!」


なんて冗談を言っていたけど。


笑えなかった。それくらい自分でもわかるさ。


鏡で見る「彼の顔」は「真っ青」だったし。何よりも体がおかしかったから。


「トイレ」に行きたくて、「尿瓶」持ってきてもらったけど。


出なかった。何度も。何度も。


口から、おしりまで「繋がっているはずの線」が途中で切れているような感じがして・・・。


気味が悪かった。










ヘリで山を降りた。


小さな病院。


もう「夜」になっていたし、ひたすら「薄暗かった」のを覚えている。


たくさん検査された。


普段の会話だって、まともに理解できないジャパニーズに「医療用語」なんてわかるはずがなかった。


ただされるがまま。


なんか、とても疲れていたし。ときどきウトウトしていた。


気が付く度に増えていく「点滴」。


医師「今日は、もう遅いから。明日飛行機でメルボルン(大都市)まで行こう。」







不安だった。







真夜中に目を覚ました。




暗闇の中。




デジタル時計は、深夜2時を指していた。





「心拍数を図る機会」が何度も、何度も、波打っていた。

















「ココは世界のドコなんだろう?僕の体は、何が起こっているんだろう?」



涙が出た。



日本に帰りたい。













ベットごと「移動」させらている時に、目が覚めた。


見知らぬ外人にベッド囲まれて、移動させられていた。


小型飛行機が待機していた。




本当に怖かった。





見慣れない外人の顔。


何を話しているのか、理解できない。


そして、身動きの取れないジャパニーズ。






宇宙人に連れ去られる、ような感覚・・・。




「夢なら覚めてくれ。」まさにその時のための言葉。









飛行機の中で「少しパニック」になったのを覚えている。


ひどかった・・・。「動物」になった。










「生まれたばかりの子供は「言葉」を持たない。


「泣くこと」で感情を伝える。


「言葉」を持たないジャパニーズは、「暴れること」「泣くこと」でしか「感情」を表せなかった。














その時、「両腕」に付いていた「3本の点滴」。


減りが早かったのは・・・。


「涙」ですべて出てしまっていたからだと思う。














次運ばれた場所は、とても大きかった。


最新の機材。働いている人の動きも慣れていた。エキスパート。


何度も、何度も同じような検査をした。


「退屈」だった。話せないから「何をされているのかわからない。」。


寝るようにしていた。


気が付く度に、体の自由を奪われた。


腰を固定され、首も「ギプス」付けられた。


尿道に「チューブ」入れられた。








何かを説明していた。


「I can't understand!」


何度も言った。






日本語通訳サービスに電話してくれたみたいで。


日本人の方に電話で説明を受けた。








「あなたの体内(内臓器官)が、破裂しています。お腹を切り開いて確認する必要があります。」







「日本に戻りたいです。帰国して手術じゃダメなんですか?」



「現在、かなりの損傷があります。出血がかなりの量なので今すぐやらないと、命にかかわります!」



「今すぐ、手術書にサインしてください。全身麻酔の同意もおねがします。」



「・・・・。」







顔も見たこともない、電話越しの相手に。




泣いてお願いした。



「どうしても、日本に帰りたい。」






無駄だった。



なだめられて、電話を切られる。







「・・・・・。」





今まで生きてきた「思い出」が頭を駆け巡る。









人が近づいてきた。



泣いている。



外人のおばさん。



やさしく手を握ってくれた。



頭をなでてくれた。




耳元で



「Don't worry.It's gonna be fine.」


(心配しないで。きっと大丈夫だから。)






何度もささやいてくれた。




アンディの彼女。クレアのお母さんだった。




初めて会った。見ず知らずの人が、




「僕のために泣いている」




彼は、我慢していたものが溢れ出した。








「人間はこんなに涙がでる、生き物だったんだ。」









覚悟を決めた。






「点滴が2本」刺さった右腕で「日本語」でサインした。







病院の人が、日本に電話をかけてくれた。



日本は深夜だった。



電話の向こうで「泣き崩れる」子供のような「母親」に・・。







「だいじょうぶ・・だよ・・。だいじょうぶ・・じゃないけど・・・。」






っと言ったのを覚えています。









25歳。誕生日の2日後。










AI Story




「ひとりじゃないから、君があたしを守るから。」





結局、人間って生き物は誰かの支えがるから。



生きていけるのだと思う。





一人で生きてる人はいない。





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