My Story 6
1年中365日。スノーボードのことを考えてた。
それしか無かったし、彼はそのコトしか考えられない人間だと思ってた。
でも・・・。あの時思ったのは「日本」のこと、「友達」「家族」。
本当に大切なものは「シンプル」なんじゃないかな。
気が付いた時には、ゲレンデの医務室にいた。
お腹は、ねじれるように痛いままだった。
アンディと彼女のクレアがいた。
アンディは「hey!MSこれからヘリが迎えに来るだってよ!やったな!無料だぜ!」
なんて冗談を言っていたけど。
笑えなかった。それくらい自分でもわかるさ。
鏡で見る「彼の顔」は「真っ青」だったし。何よりも体がおかしかったから。
「トイレ」に行きたくて、「尿瓶」持ってきてもらったけど。
出なかった。何度も。何度も。
口から、おしりまで「繋がっているはずの線」が途中で切れているような感じがして・・・。
気味が悪かった。
ヘリで山を降りた。
小さな病院。
もう「夜」になっていたし、ひたすら「薄暗かった」のを覚えている。
たくさん検査された。
普段の会話だって、まともに理解できないジャパニーズに「医療用語」なんてわかるはずがなかった。
ただされるがまま。
なんか、とても疲れていたし。ときどきウトウトしていた。
気が付く度に増えていく「点滴」。
医師「今日は、もう遅いから。明日飛行機でメルボルン(大都市)まで行こう。」
不安だった。
真夜中に目を覚ました。
暗闇の中。
デジタル時計は、深夜2時を指していた。
「心拍数を図る機会」が何度も、何度も、波打っていた。
「ココは世界のドコなんだろう?僕の体は、何が起こっているんだろう?」
涙が出た。
日本に帰りたい。
ベットごと「移動」させらている時に、目が覚めた。
見知らぬ外人にベッド囲まれて、移動させられていた。
小型飛行機が待機していた。
本当に怖かった。
見慣れない外人の顔。
何を話しているのか、理解できない。
そして、身動きの取れないジャパニーズ。
宇宙人に連れ去られる、ような感覚・・・。
「夢なら覚めてくれ。」まさにその時のための言葉。
飛行機の中で「少しパニック」になったのを覚えている。
ひどかった・・・。「動物」になった。
「生まれたばかりの子供は「言葉」を持たない。
「泣くこと」で感情を伝える。
「言葉」を持たないジャパニーズは、「暴れること」「泣くこと」でしか「感情」を表せなかった。
その時、「両腕」に付いていた「3本の点滴」。
減りが早かったのは・・・。
「涙」ですべて出てしまっていたからだと思う。
次運ばれた場所は、とても大きかった。
最新の機材。働いている人の動きも慣れていた。エキスパート。
何度も、何度も同じような検査をした。
「退屈」だった。話せないから「何をされているのかわからない。」。
寝るようにしていた。
気が付く度に、体の自由を奪われた。
腰を固定され、首も「ギプス」付けられた。
尿道に「チューブ」入れられた。
何かを説明していた。
「I can't understand!」
何度も言った。
日本語通訳サービスに電話してくれたみたいで。
日本人の方に電話で説明を受けた。
「あなたの体内(内臓器官)が、破裂しています。お腹を切り開いて確認する必要があります。」
「日本に戻りたいです。帰国して手術じゃダメなんですか?」
「現在、かなりの損傷があります。出血がかなりの量なので今すぐやらないと、命にかかわります!」
「今すぐ、手術書にサインしてください。全身麻酔の同意もおねがします。」
「・・・・。」
顔も見たこともない、電話越しの相手に。
泣いてお願いした。
「どうしても、日本に帰りたい。」
無駄だった。
なだめられて、電話を切られる。
「・・・・・。」
今まで生きてきた「思い出」が頭を駆け巡る。
人が近づいてきた。
泣いている。
外人のおばさん。
やさしく手を握ってくれた。
頭をなでてくれた。
耳元で
「Don't worry.It's gonna be fine.」
(心配しないで。きっと大丈夫だから。)
何度もささやいてくれた。
アンディの彼女。クレアのお母さんだった。
初めて会った。見ず知らずの人が、
「僕のために泣いている」
彼は、我慢していたものが溢れ出した。
「人間はこんなに涙がでる、生き物だったんだ。」
覚悟を決めた。
「点滴が2本」刺さった右腕で「日本語」でサインした。
病院の人が、日本に電話をかけてくれた。
日本は深夜だった。
電話の向こうで「泣き崩れる」子供のような「母親」に・・。
「だいじょうぶ・・だよ・・。だいじょうぶ・・じゃないけど・・・。」
っと言ったのを覚えています。
25歳。誕生日の2日後。
AI Story
「ひとりじゃないから、君があたしを守るから。」
結局、人間って生き物は誰かの支えがるから。
生きていけるのだと思う。
一人で生きてる人はいない。
My Story 7へ行く~