監察医制度(東京都監察医務院) | ソラを見上げて

監察医制度(東京都監察医務院)

先日仕事で東京都監察医務院へ行ってきました。



ソラを見上げて


おそらく多くの人にとっては「?」というところでしょう。


有名なところでは、鈴木光司著「らせん」(一世風靡したホラー小説「リング」の続編であり後日談)という小説にも登場しています。



東京都監察医務院というのは、死体解剖保存法第8条に基づいた行政解剖を行う医師がいる東京都での病院?のことです。


地域というのは東京23区の他に、横浜、名古屋、大阪、神戸の5箇所に配置されているんです。


人の死後の解剖というと、大きく分けて3つ。


・病院の医師が死因となった病気を研究したり検証を行う「病理解剖」


・法医学に基づいて犯罪捜査の一環として行われる「司法解剖」


・変死など死因を特定するために行われる「行政解剖」


です。


この行政解剖は、例えば掛かりつけの医者がない場合など自宅での孤独死や突然死、路上などで行き倒れた場合、


またその他、死因が特定できない場合に、監察医務院から監察医が派遣されて検視(死体検案)が行われます。


自宅で検視される場合もあるし所轄の警察署へ搬送されて、霊安室などで検視が行われます。


アメリカのテレビドラマ「CSI」の中で検視官の台詞にもあったように


「死体はおしゃべりよ」


なんだそうです。


死後遺体の変化は、その死因から進行する証拠が残り、嘘がないということなんですね。


中には目を覆いたくなるような遺体もあるわけですが、監察医はそれらと向き合って死因を特定するスペシャリスト。


一般には想像もつかないくらい彼らのプロフェッショナルはすごいと思います。


検視が済めば、死体検案書などが手渡されて、葬儀の準備に進むことが出来ます。


まず監察医による検視が行われなければ、ご家族を含めて私たち業者もご遺体に一切触れられません。


ドライアイスなどによる防腐処置も出来ないわけです。


死亡日時の特定が困難になってしまいますから。



それでも特定できない場合は、この東京都監察医務院へ搬送されて行政解剖が行われ、死因を特定します。


この特定までは数ヶ月間かかるので遺族にとってみれば、ただでさえ身内の死で辛いのに解剖まで。。。という精神的に重圧となり、その思いや故人の無念さにこちらも辛くなることが多いものです。


ただ死因を特定することは、やはり死というものへの尊厳や統計のデータ収集、今後の医療や生活環境などへの改善資料となりますし、現代では必要不可欠なものとなっています。


また、人が亡くなることにより保険や年金などの諸手続きなど発生する権利も出てきます。


それらに対しても死因を特定することは有意義なものなのです。



今、高齢化社会となって高齢者の一人暮らしが増えています。


核家族化が進んだり、経済も不況だったりして、誰にも看取られず知られずに亡くなる方が多いと聞きます。


そういった遺体と対面するたびに胸が痛くなります。


といっても、僕が何かをしてあげられるわけではないのですが・・・。



ただ、世の中にはこういった制度があって、いろいろな原因で人知れず亡くなっている方たちもいるんだということを知っていただきたくて書きました。


ひとり住まいの高齢者がいらしたら、近所で声掛けしてあげたり、お互いに助け合える社会がもっともっと増えていけばいいなぁ、とそんな思いがします。


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