腸および腸内細菌の状態が人の健康にとって最も大事~糖質制限は今すぐやめましょう!~ | 自然派医師のブログ

自然派医師のブログ

健康・医療・食事・農業や環境に至るまで、幅広い視野で、様々な思いを投稿していこうと思っています。
日々の診療や講演会活動での補足や復習にもなるような内容になるといいですね。

本日発売の健康雑誌「壮快」今月号(平成29年4月号)に私の記事が載ります。

「腸の大掃除」という特集のトップバッターで2つ連続で腸および腸内細菌についての記事を書いています。

 

 

最近流行りの糖質制限食についても言及しておきました。

簡単に説明すると・・・

腸内細菌のほとんどは大腸におり、主要な栄養源は糖質であり、タンパク質や脂質ではない。ゆえに極端な糖質制限をしてはいけないということです(とくに日本人は・・・)。

特に肉、牛乳、乳製品など動物性食品では、大腸の腸内細菌の栄養にはなりません。

 

単糖類も多糖類も炭水化物もすべて糖質とひとまとめにして悪者のように誘導されていますが、制限したほうが良いものとしてはいけないものがあるのです。

 

①単糖類や二糖類(甘いもの)は小腸上部までにあっという間に吸収され、腸内細菌の栄養にはならない、一方で血糖値を急速に上げる作用が強く健康障害の主因です。

 

②オリゴ糖は腸内細菌、特に乳酸菌を増やすため腸にとっても良く作用します。しかし、オリゴ糖は大腸上部までに利用されてしまうものが多いです。

 

多糖類(いわゆるデンプン)はゆっくりと吸収され、大腸下部まで届き、腸内細菌の主要な栄養源になります。特に消化の悪い未精製な穀物(米、イモ、豆)が腸にとって最もよい栄養源なのです。

ただし、精製度の高い(GI値の高い)多糖類(白米など)を大量に取ると、①と同様に糖質の害が大きくなるのは言うまでもありません。食事の原則は少食(腹八分)、一物全体なのです。

 

④食物繊維は水溶性と不溶性がありますが、いずれも人には消化できず栄養にはなりません。水溶性の食物繊維は、腸内細菌は消化でき栄養源になります。人が利用できないので大腸にまでたくさん届きます。不溶性の食物繊維は腸内細菌も栄養としては利用できませんが、糖の吸収を遅くし、便のかさを増し、腸を刺激するなど腸などにとってはよく作用します。

 

糖質を制限すると、とりあえずのダイエット(体重を落とす)になり、また、一部の人は一見調子が良くなる人がいます。

とくに、乳児湿疹、アトピーなどのアレルギー、自己免疫疾患(膠原病)、うつ、がん、糖尿病などの生活習慣病の一部などでよく見られます。これらは、まぎれもない事実です。

しかし、だからといって糖質を極端に制限することを良しとするのは、極めて短絡的な見方で、一見良いように見えるだけであり、万人に進める食事法ではないのです。

すべてにはカラクリがあるのです。また、形だけのマクロビ食などで元気がなくなる人がいることにも、やはりカラクリがあります。

 

いつも強調しますが腸および腸内細菌の状態が人の健康にとって最も大事です。

糖質制限食はこの腸内細菌をまったく無視した食事法だということです。

 

腸内細菌を無視しても、とりあえずは健康そうに生活することはできます。

しかし、健康にとって最も大事な腸内細菌をないがしろにすることは、その後どのような影響が出るでしょうか?

 

とりあえず、見た目だけ良いということが現代社会のあらゆるところに見られます。

例えば、化学肥料と農薬を使えば、農作物は一見とても良く育ちますが、土の中の微生物は大きくバランスを崩していきます。

本来は野菜に養分を供給しているのは土の中の微生物なのですが、土の中の微生物がダメージを受けても、毎年(初めから分解されている)化学肥料をやり続ける限りは、とりあえず見た目だけは立派に育った野菜を収穫することができます(現代農法)。

しかし、このような農法で作られた野菜の栄養価や病気に対する抵抗性、環境に対する影響はどうでしょうか?

 

これとまったく同じことを人で行っているのが糖質制限食になります。

糖質制限食(ケトン食、低インスリン、ロカボ、MEC食なども同様)が最新の理論を駆使したあたかも素晴らしい健康法であるという情報が氾濫しており、実際に実践している人や指導をしている人がとても多い状態です。

推奨している意見も含め網羅的に情報を検討しましたが、糖質制限食は、ごく一部の非常に限られた人以外、とくに日本人には全くお勧めできない食事法になります。

 

今後ブログでも、多くの情報を示しながら詳しく解説して行きます。

本日発売の健康雑誌「壮快」もぜひ参考にしてください^^