自然派医師のブログ

健康・医療・食事・農業や環境に至るまで、幅広い視野で、様々な思いを投稿していこうと思っています。
日々の診療や講演会活動での補足や復習にもなるような内容になるといいですね。


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まず、これまでの記事のいくつかの重要な事項の確認になります。


①人とは一個の独立した生物(存在)ではなく、腸内細菌などの常在微生物(さらに、かつては寄生虫を含めた)と共生している複雑な生態系(超個体)である。


②私たちは、私たちだけでは免疫をうまくコントロールできず、腸内細菌などの常在菌や常在ウイルス、寄生虫などと共生(連携)することにより、正常な免疫反応を維持できる。


③これらの微生物を排除したことが、近年爆発的に増えているアレルギーや自己免疫疾患、さらには、その他のほとんどの病気(ガンや生活習慣病などの慢性病)の最も重要な原因である。


④腸内細菌などの常在菌は人生のごく初めの時期、とくに3歳までになるべく多くの菌にふれあい、取り込むことが重要で、この時期に確立される常在菌とくに腸内細菌叢が、生涯にわたる健康状態、病気になり易さ、病気になった時の体の反応などの基本的なパターンを決定する。


⑤地球上のすべての生命(人も動物も植物も微生物も)は地球の一部であり、不必要なものは何もなく、互いに支え合って生きている。


今回の記事は、これらの事を踏まえての話になります。

「微生物の排除」と「免疫の異常による病気」との関係を超長期的な視野から考えます。


超個体の崩壊は、産業革命にまでさかのぼり(それ以前からも始まっていますが、著名な変化は産業革命からです)、その後の近代史は、文明の発達とともに、まさに微生物を排除し続けてきた歴史ともいえます。


主に西欧(始まりはイギリス)における産業革命以降の生活の変化を説明します。アメリカは西欧に数十年遅れて同様の変化(環境と病気の発生)が起こっています。


日本はアジア諸国の中では、最も近代化が早かったのですが、それでも欧米からはかなり遅れています。敗戦により欧米がたどってきたのと同じ変化が急速にみられました。東南アジア諸国は、現在、日本で見られた変化をものすごい勢いで追従しています。


では、産業革命以降の変化を解説していきます。

(図を参照。それぞれの始まりや登場した年を書いておりますので、社会全体に普及するには少しタイムラグがあると思います。)









1760年頃から始まった産業革命により、生活様式は大きく変化することになります。

たとえば、農村から都市への移動、農民から工場で働く労働者への変化、工場周辺の人口増加・急速な都市化、住居の変化、核家族化などです。


これらにより、まず、人々が土(微生物)と触れ合う機会が激減することになりました。


その後の様々な環境の変化や開発された化学物質が、微生物に大きな影響を与えたと思われるものを列記してみます。もちろん、伝染病や病原菌の排除、基本的な衛生管理など、すべてが悪影響というわけではありません。

カッコ()内は、それぞれが主に影響を与えるものです。


・公害(空気、水、土、作物)

・上下水道の整備(水)

・農薬、防虫剤、除草剤の開発(土、水、空気、衣、作物)

・化学肥料の普及(土、作物、水)

・ワクチンの開発(体内)

・抗生剤の開発(体内、作物)

・食品添加物の登場(体内、作物)人工香料、色素、膨張剤、甘味料、アミノ酸など

・食品以外の化学物質(水、空気、土、衣、作物、住、体内)合成洗剤など

・遺伝子組み換え作物の開発(体内、作物)

・様々な抗菌グッズ(空気、水、土、衣、作物、住、体内)


大まかな流れを時系列で説明します(詳しくは図を参照してください)。


1760年代(18世紀後半)から産業革命がはじまり、環境(主に土)の微生物との接触が減少、さらに、公害の拡大

19世紀に入り、上下水道の登場により、まず、寄生虫が激減

19世紀後半からコレラ、チフス、ペストなどの重篤な感染症(伝染病)が減少

20世紀に入り農薬、除草剤、殺虫剤、化学肥料の普及により環境の微生物が激減

さらに、抗生剤、ワクチン、食品添加物の普及により病原菌の減少と体内の微生物に大きなダメージ

20世紀後半からこれらすべての環境毒が急速に増加し、体内外の微生物のさらなる減少

20世紀終わり頃から極端な清潔志向により様々な抗菌グッズが登場し、環境や体表の微生物の徹底した駆除がはじまり現在に至る


私たちは独立した単独の存在(生命)ではなく、超個体という生態系、つまり、私たちの身体だけでなく、身体を取り巻き共生しているおびただしい数の常在微生物を合わせた存在ということです。


私たちと共生している常在微生物は消化管の腸内細菌が代表ですが、外界と接する所、つまり、皮膚、粘膜(口、のど、鼻、気道、目、肛門、尿道、膣)などのすべてに存在しています。


さらに、私たちの体外の環境も空気、水、土、衣、食(作物)、住などを含め、地球上のすべては微生物で覆い尽くされています。


人の常在菌は体外の微生物を取りこんで構成されていますし、そもそも体外(その土地)の微生物と私たちの身体は一体のものです(詳しくは身土不二の記事を見てください)。


産業革命から始まった環境の変化は、玉ねぎを上から一枚ずつ剥いていくように、これらの微生物を排除し続けてきたと言えます


それに伴い、アレルギーや自己免疫疾患などの免疫の異常による病気は、どれも同じようなパターンで増加し続けてきました。つまり、19世紀に登場し、20世紀に入り増加がみられ、20世紀後半から激増し、21世紀になった現在も増加し続けています。


アレルギーや自己免疫疾患などの病気は原因不明とされ、いくつもの因子が合わさって起こる病気と推定されています。例えば、遺伝、環境汚染、化学物質、住環境の変化、アレルゲンの増加、食事の変化、自律神経の変調などが考えられています。


図をみると解るように、これらの病気の登場・増加は微生物との接触が減った時点から始まり、社会毒と呼ばれる様々な化学物質が増加する前からになります。


つまり、様々なアレルギーや自己免疫疾患などの免疫の異常による病気が発生し急増している最も根本の原因が微生物を排除していることである決定的な証拠と考えられます。


もちろん、公害(大気汚染、水質汚染、土壌汚染)や食品添加物、農薬、抗生剤、ワクチン、合成洗剤、抗菌グッズ、放射能などの様々な化学物質も、それ自体の毒性のみならず、その後の環境や身体の微生物の排除を強力に推し進め、免疫の異常の病気の増加に拍車をかけています。


最近の極端な清潔志向(抗菌グッズ、洗剤の多用、洗い過ぎなど・・・)は、病気とは関係のない常在菌までも徹底的に排除し、このままでは、ますます現代の病気が増え続けていくことが予想されます。


微生物の排除から病気の発生・増加までには一世代ほどのタイムラグがあり、影響が分かりにくい特徴があります。現在の私たちの病気は1~数世代前の人たちの環境の影響を受けている可能性があります。

同様に、微生物などの環境に配慮した生活を始めても、すぐには効果が現れにくいかもしれません。


しかし、現在の私たちの生活が、私たちの子どもたちや未来の子孫に影響を与えるということであり、一刻も早い改善が必要とされているのです


これらの改善なくして、病気を減少させることは不可能と考えて良いでしょう。生活のあらゆる場面(衣食住医農)で、極力、不自然な化学物質を使用しない自然派の生活をすることから始めましょう。

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