純粋なだけだと思っていた幼馴染の裏切りとも思えるような告白は俺の心に重い影を残した。
彼女は何を思ってあんなことを言った?
いつから歪んでしまった?
考えれば考えるほどに思い出すのは彼女の乾いた笑い声とそれに比例しない機械のように整った無表情。
「はーー……」
どうすればいいんかねー?
「そんなに梅のことが気になるか?」
「いきなり現れんなよ……驚くから。
気になるに決まってるだろ。
アイツ、あんな笑いかたしなかったし、もっと……」
「綺麗な存在だった?」
「うん。
あんな人の弱みに付け込むような奴じゃなかった。」
そう言う俺を嘲るかのようにタカアキは笑い、俺の頭に手を置く。
「それはお前の幻想だ。
梅は昔からああいう奴だった。
不幸さえ利用して次の自分に繋げる。
天使みたいな見た目してても、悪魔よりも狡猾な女。」
そこまで言って俺の頭をクシャクシャ撫でて低くうめくように
「俺は初めて会ったときから大嫌いだ。」
そう言った。
なんとなく胸が痛い。
親友がここまで嫌悪している少女を好きにならなくてはいけないという決定事項がどうしようもなく……。
彼女に言ってしまいたい。
“やっぱり約束は守れない”
と。
それでも幼馴染のかけがえのない彼女を失うのが怖くて俺はそれを言えない。
本当に卑怯なのは俺かもな。
梅は明日から学校に復帰する。
恋人になるというのは彼女の使えなくなった目の代わりに自分が目になることでもあるんじゃないか、などと勝手に解釈しているわけなんだが……
正直、不安が拭えねー。
梅は中学生という年頃のなかなか女に素直になれない男共を素直にさせてしまう程の美少女。
そんな女と付き合って、しかも常に近くをうろつくなんて……。
もしかして、俺終わったかもな。
さよならMyファミリー、さよなら愛しの------。
俺ってば人の道を外れる覚悟をしないといけないみたいです。