ワンダープラネット―やんごとなき姫君と彷徨える星の物語― (ツムギノベルズ) null円 Amazon |
少女は伝説の星を求め、少年は、少女の望みを叶えようとした……。
エンターテイメントファンタジー小説✴
この物語は、私遠堂瑠璃(とおどうるり)が一番「本」というカタチにしたかったお話です。14歳の時に初めて「小説」として書いたものを、加筆修正したのがこの物語です🌠
《あらすじ》
これは、もうひとつの宇宙の可能性の物語。云うなれば、全く別の宇宙で起きた現象。
大惑星ジュピターの姫君ラオンは、ある日誰にも内緒で城を抜け出す。貨物シャトルの荷台にこっそり忍び込み、宇宙へと飛び出した。
目的は、幻の遊星ミシャ。それは、神出鬼没と云われる伝説の星。
アンドロメダの辺りで輝いていたと思えば、大マゼラン銀河で発見される事もある始末。宇宙の方式を完全に無視した、不規則な運行の星。それが、伝説と云われる所以。
そのミシャにあると云うのが、クピトと名付けられた愛の宝石。クピトを手にした恋人同士は、永遠に尽きる事のない愛が約束されるという。このクピトを手に入れ、両親の結婚記念日にプレゼントするのが、ラオンの目的だった。
そしてラオンを乗せた貨物シャトルは、マーズへと到着する。
マーズ。そこは、太陽系の物資の流通地点となる、砂漠の多い惑星だった。流れ者も多いマーズの小さな酒場で、ラオンは荷物運びのやんちゃな少年ソモルに声をかけられる。そしてあるきっかけから、二人は一緒にミシャ探しの旅をする事になるのだが……。
《本文 ちょこっとご紹介》
ラオンは、少し考えるように星を数えていた。
赤い星、青い星、そして、白。
「ソモル、知ってる?あの天の川は、この宇宙で死んだ、星の残骸が集まってるんだって」
不意に思い出した様に、ラオンが語った。
街の方に視線を落としていたソモルは、ラオンの言葉に空を仰いだ。ほんの僅かにぼんやりと、白い星々の筋が浮かんでいる。
すっかり、夜空に溶けるように。
「そう、なのか……」
ソモルは、白い帯状に広がる天の川を辿りながら呟いた。
散りばめられた星々の溢れんばかりの光に比べ、ほんの極淡い形。眼を凝らさなければ、きっと見逃してしまうだろう。
「星も、死ぬんだな」
人間の寿命に比べれば、悠久に近い永い時を越え、最期はその内側に残された全ての輝きと共に、この宇宙に散っていく。その残骸の寄り集まりが、今も穏やかな輝きを放ち、宇宙に存在し続けている。
まだ、ここに居るよ、と綺羅めいている。
「星の、墓場か……」
そこに散った星と同じように、夢を抱きながらこの無限の宇宙に散っていく人間達が、無数と居る。
命と人生の全てを捧げた、一世一代の賭け。
散り際の、星の輝きのように。
ソモルは、切ないような心持ちになった。
自分もいつか、散っていくかもしれない。
あの、星の海の中に。
「けどね、あの場所は、たくさんの人達が忘れていってしまった、夢の眠る処でもあるんだ」
紡ぎ出された言葉に、ソモルは振り向きラオンを見た。ラオンは星を見上げたまま、語り続けた。
「遠い昔に宇宙に飛び出していった人達が、落としていった夢の欠片。心の断片。だから、今もあんなにキラキラ輝いている」
ソモルは、もう一度空を見上げた。今度はすぐに、星の川を見つける事ができた。
「その人達もきっといつか、自分の落としてしまった夢の欠片を、あの星の川に迎えに行けるといいね」
ラオンは夜空を見詰めたまま、微笑んだ。
紹介させて頂いた本文は、ラオンとソモル、二人が夜空を見上げながら語り合う場面です🌠
それまで物語を『読む』という事しか知らなかった私が、自分でも物語を書いてみたいと思った。幼かった私は、いつしか文章で物語を紡ぐという事に憧れを抱きました。
私は小さい頃から数えると、本当にたくさんの物語を読んできました。そのほとんどは、誰が書いたものなか題名すら覚えていないものばかりです。
けれどその欠片たちは、間違いなく私の中に降り積もり、大切なものを与えてくれました。読んだ物語の中に、たくさんの情景を見て、たくさんの感情を学び、そして夢を描いた。
14歳の時に、心の中に積もっていた欠片を拾い集めて、ひとつの物語を書き上げました。その時書いた物語の原型を加筆修正したものが、「ワンダープラネット」という小説です。
14歳の時に考えた物語なので設定的にもかなり無理が多く、それをどう自然な形に仕上げていくかが課題だったのですが、なるべく当時の想いを大切にしたかったので、基本はそのままでの書き足し作業でした。
十代の頃の夢が本という形になり、自分の手元から離れていくというのは、とても嬉しくもあり、何だかこそばゆい心地でもあります。けれど私にとっては、本当にかけがえのない物語であり、絶対に本というカタチにしたかった物語なのです!
初版はもの凄く少なく、置いている本屋さんも僅かですが、一人でもたくさんの人に読んで欲しい!私が最初にこの物語を書いた時と同じ年頃の子たちにも、是非読んで欲しい!
あの頃の私が小説を読んでたくさんの夢を追ったように、たくさんの夢を見て欲しい!
その夢を見るきっかけになるものが、私の書いた物語だったなら、これ以上の幸せはないなあ、そう思うのです✴
❬最後に……❭
この物語には2パターンの続編があります。14歳の時から書き貯めてきたシリーズと、今回の加筆修正中にイメージが出来上がってしまった続編です。
どちらもその結末は全く違うものです。なので、私自身、少々困惑しております(;゚∇゚)。
14歳の時からの結末は、私自身が造り出した物語。けれど、今回出来上がってしまった続編のイメージは、主人公のラオンとソモルの意志が望んだもの。二人が自分達の意志による行動で導き出した結末です。
私としては、二人の好きなようにさせてあげるべきなのかなぁと思ったりしています。
どのような結末を迎えるにしろ、この物語の続き絶対に文章として紡いでいきたい!
それが、私の願いです💞
ブログ読んで下さった方、本当にありがとうございます💟感謝です( *´艸`)
小説家になろうというサイトで、『ワンダープラネット』のスピンオフのような続編
『ヒメゴト―秘め事もしくは、姫事?―』連載してます!
読んで頂けると幸せです(σ*´∀`)
文芸社さんより、紀伊国屋書店、他一部書店、楽天、Amazonなどで発売中です!リンク貼りました。