翌朝
浩の所属するクラブに行ってみると
浩はもうウォーミングアップを始めていた
光の中で笑っている馬上の浩は
同じ空気で呼吸していることが
信じられない程 美しかった
浩の実家の牧場で生まれ
浩と共に成長した馬だ
人気の高い流鏑馬だが 携わる者は少なく
依頼があれば
日本全国を駆け回らなくてはならない
遠方での神事では
その近くの馬主から馬を借りることも
珍しい事では無い
浩はどんな暴れ馬でも
ものの10分もあれば乗り熟す事ができるが
競走馬を両親に持つ夜叉王はプライドが高く
浩以外の者を その背に乗せようとはしない
ヒカリのバイト先のオーナーは
ヒカリの才能を埋もれさせない為にも
浩のクラブのオーナーに
指導の引き継ぎを依頼していたのだ
そしてヒカリは
浩のクラブに特待生として移る事になった
それと同時に
クラブの寮で生活する事になった
来年は高校3年生だし
進路も気になるところだが
両親とも話し合って
今しかないチャンスに賭けてみようと
そう決心したのであった
高校からは少し離れるが
充分通える範囲内だった
これから季節は冬
早起きは辛かったが
何よりも17歳と言う時期
自分の限界に挑戦出来るのは
とても幸せな事で
不安より希望の方が大きかった
浩とは同学年だ
中学生の頃から親元を離れ
寮生活をしている浩は
良き先輩である分 大人っぽく
それでいて茶目っ気たっぷりな所は弟の様で
何れにしても浩とヒカリは
性別を超えた繋がりを
互いに感じ取っていた
浩はクラブで馬術も習っている
和と洋
スタイルは違っていても
敢えて違う動きを取り入れることで
流鏑馬だけでは使わない筋肉にも刺激となり
バランスの取れた動きに繋がると考えたのだ
事実 浩は
競技としての流鏑馬について一流だが
その弓捌き、 手綱捌きの美しさにも
定評があった
浩の 弓を構える姿勢の美しさは
馬上においても 陸上においても
何ら変わりは無かった
弓を構える姿勢も自然になり
命中率も更に上がり
タイムもグングン上がる様になった
浩とヒカリは 日々の練習は勿論
それぞれの進路について相談し合う事も
度々だった
ひとたび夜叉王にまたがって弓を引けば
この世の人とは思えない程の
カリスマ性を見せる浩だが
寮に帰れば
そこら辺の17歳の青年と何ら変わりは無く
極々普通の高校生だった
ヒカリは家業の園芸業を継ぐために
進路もその方向に行きたかった
浩は ゆくゆくは家業の牧場を継ぐつもりだが
その前に 流鏑馬の文化を
もっと全国至る所に広めたかった
浩の実力に敬服すると同じように
浩も
ヒカリの才能に一目置いていたし
お互い 人格も認め合っていたので
2人の関係は
もはや親友を通り越して
同志の様な繋がりであった
画像と話の展開は一切関係ありません
団体・出演者の関係、実態等
全て作者の妄想です。悪しからず(`_´)ゞ
画像を拝借致しました(^^)サンクス