はじめに・・・今回は長文です。

関西電力は原発を再稼働しないと、管内の電力が不足すると
オドシのような発言を繰り返してますが、
なぜそうまでして原発を再稼働させたがるのか?
本音を探ると、そこには驚くべき裏事情が隠れているようでした。

5月3日放送のテレビ朝日「モーニングバード!」内、
「そもそも総研たまペディア」で、またまた関西電力を取り上げていました。

この日は実家に帰省中に付き、直接番組を見ていないのですが、
ネットで動画をみてみたら、とても重要な内容だと思ったので
今回は動画から内容、キャプチャ紹介していきたいと思います。
UP主さん、ありがとうございます。


動画はこちら↓
電気が足りないから再稼働するのではない。関電が明言


また、全文書き起こしされている方のブログも紹介します。
「どうしても原発を動かしたい関西電力の裏事情」(そもそも総研5/3全部書きだし)


なお以下のわたしの内容紹介、書き起こしは全文ではありません。
わたしなりに文章をまとめています。

※基本的にインタビュー以外は、コーナー担当の玉川徹さんの発言をもとに
構成しています。
また、数値は放送日の5月3日以前の試算です。
日々変更されていることをご承知おきください。



内容紹介ここから↓====================

今夏、2010年並みの猛暑の場合、電力各社全体で0.4%不足の見通し

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中でも関西電力は16.3%の不足見込み
<※注:5月16日現在は、不足は14.9%としているが、
ここでは放送当時のまま16.3%とします>


関西電力の16.3%は、495万kW
供給力2535万kWに対してピーク時の需要3030万kW
約500万kW足りない

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本当に16.3%足りないの?

政府の需給検証委員会 植田和弘委員(京都大学大学院教授)にインタビュー


VTRここから~~~

植田委員:
昨年夏東京電力管内で18%の節電ができたというのがあります。
ところが関電が見込んでいる節電は(3%)と非常に少なくてですね
東京電力並みにやると相当需要を減らせるのではないか

<※注:5月17日現在、政府は関電管内の節電目標を15%にしたようです>

東京都の話を聞くと、
産業(工場)は土日シフト、輪番操業では節電困難だが、
特に照明の見直しとか空調設定という業務系の所はかなりの節電が可能だった。

気になる☆気になる☆-20120503  関電原発再稼動の裏事情 006

玉川:
節電すれば経費削減にもつながり、ビジネスとしてのメリットも生まれる。
東京電力並みに10%の節電はできないのか?

植田委員:
関西電力管内も東京電力管内とよく似てて、業務系が4割ある。
なので、関西でも多くの節電が期待できる。

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次に
環境エネルギー政策研究所 飯田哲也所長にインタビュー

飯田所長:
関西電力が厳しくても、関西電力周辺の
中部電力、中国電力、北陸電力の3社はかなり余力がある。
本当に暑いピーク時もわれわれの試算でも900万kW余っていた。
そのうち300万kWを関西電力に融通できるのではないか。

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VTRここまで~~~


これに自家発電による電力を加え、トータルでどれだけ改善できるのか・・・

※注:ここから下のポイント1、2、3の試算は、以前紹介した過去記事
大飯原発を今再稼働して本当にいいんですか?
から、若干改良されています。

ポイントは3つ

1、
東京電力並みに10%節電する
(例えば、オフィスの節電⇒蛍光灯を間引くとか)
去年は東電管内で18%節電できていたので、
今年は(無理しなくても)10%くらいは節電が定着してるだろう
これで約212万kW節電 原発2基分の節電になる

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2、
節電で供給力もUP

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揚水の発電できる総量は大体決まっていて、
関西電力管内で3500万kW
フル発電すると、(1時間あたり)432万kW出せる。
ただし8時間程度しかもたない。
日中10時から18時までしか供給できない。

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16時間もたせようとすると、供給力は半分、216万kWに落ちてしまう。

節電しないと↓画像の赤い線(需要)が
供給の黒い横線を上回ってしまう(ピーク時)けれど、
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節電で需給の山(不足分の山)を下げれば、足りない時間が短くなる。
短くなれば、揚水をフルで発電できる。
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なので、ピーク時にフルパワーで使えるんじゃないか。

さらに、夜節電すると、
夜に揚水にどんどん電気を送って汲み上げれば、満杯にできるのではないか。

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揚水216万kWがフルで使うと、また216万kWきます。
あわせて432万kW

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節電と揚水であわせて約400万kW

足りないのは約500万kWなので、あと100万kW


3、
他社からもっと買う

飯田氏の試算によると、関西電力周辺の
中部電力、中国電力、北陸電力の3社は約900万kW余力がある。
そのうち3分の1くらい、300万kWくらいは関西電力に送れるのではないか。

ほか、自家発電も西日本全体でいうと、700万kWくらいはある。
そのうち100万kWくらいは持ってこれるんじゃないか。

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他社融通プラス自家発電の
約400万kWを さらにプラスすると、

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333万kW足りる計算になる。


野放図に使えば足りないけど、今年はたいへんだから皆さんがんばりましょう、と、
知恵を使って努力すれば足らすことができるのがポイント。



ではなぜ、再稼働再稼働といっているのか・・・?
そこには、
どうしても原発を動かしたい関西電力の裏事情があった。

大阪市統合本部 古賀茂明特別顧問にインタビュー

VTRここから~~~

古賀茂明氏:
関西電力にこの間エネルギー戦略会議に行って、関西電力に質問してみたんですね。
彼らが言っているのは「電力が足りないから動かすんじゃありません」と
電力需給と原発を動かすかどうかは関係ありません」というふうに、
はっきり何回も聞いたんですけど、
はっきり言い切りました。

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4月24日、大阪府市エネルギー戦略会議の関西電力の発言:
基本的には安全な原子炉は稼働させていただきたい。
需給の問題とは切り離して考えております。
夏場の需要とは、関係を考えておりません。

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玉川:
なぜ関西電力はそんなに原発を動かしたいのか?
これは何のためか?

古賀茂明氏:
企業としての事情があるんですね。
関西電力の純資産が今1.8兆、2兆円弱あるんですけれども
その純資産を構成している資産のうち
原子力発電設備と、それから原子力の燃料。
これを合わせた資産が、8000億から9000億ぐらい、
大体半分ぐらいはあるんですね。
<※注:純資産を後述で約1兆5000億円に訂正>
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そうすると、これを(原発を)もう使えないんですという事になった途端に
これは資産ではなくなります。
ですからその分資産からポン!と落ちちゃうんですね。
気になる☆気になる☆-20120503  関電原発再稼動の裏事情 024

そしたら、純資産1.8兆、1.9兆というところから、
もう1兆円ぐらいまで落ちちゃうんですよ。
で、その上に昨年度すでに3000億ぐらい赤字が出てますね。
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これで損失が出てきますから、
それに今年度も5000億ぐらい赤字になるかもしれないと言われていて、
そうするともう8000億ぐらい。
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そうしたら純資産がほとんど食いつぶされて、
ま、ちょっとだけ残るというような形になります。
で、来年度また何千億か赤字を出すと、
その時点で債務超過になってしまうという可能性があるという事ですね。

玉川:
債務超過という事は、要するに破たんですか?

古賀茂明氏:
そうです。
これは絶対に避けなければならないことですから、
従ってもう、永久に動かす。
(管内に)ある原子力発電設備は基本的に動かすんです。
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VTRここまで~~~


つまり、
電力不足は関係ない、と関西電力が言っている。
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「経営のために動かしたい」という事(裏事情)がある。

どういうことかというと、
古賀さんのインタビューの時よりも新しい決算が出たので、
その新しい決算に基づくと、

純資産(資産から負債を引いたもの、貯金から借金を引いたもの)が
1兆5298億円位。

この中に、原子力関係の資産、発電設備と核燃料を合わせると
8907億円位。

で、これをもし使わない事になると、約8907億円が資産から落ちる。
すると、6391億円になる。

いま
赤字記帳で、2011年度に2400億を超える赤字。
これがあと2年ぐらい続いてしまうと・・・
純資産がなくなってしまう。
そうすると
債務超過、破たんになってしまう?

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関西電力は、
もちろん安全が確認されたらという事は関西電力も言ってますけれど、
(原発を)動かしたいというのは
ただ、経営のために動かしたいんだと。

だから電気が足りる足りないじゃなくて11基全部動かしたいんです。


関西電力は自分の会社が倒産しないために、
原発をずっと動かし続けていきたいという事のようです。

実情はそれだけではない
総括原価方式からくる利益もなくなる・・・

玉川:
実はですね、これはいま、バランスシートの話ですけれども、
前に総括原価方式っていうのをやりました。
利益はどうやって決まっているのか、というと、
資産に、たとえば3%とかをかけた分が利益なる。
だから資産の部分がごそっと無くなると、
資産から生まれる利益もごそっと無くなるわけですね。
仮に原子力関係の資産が9000億だとしてこの3%だとすると、
3×9=27ですよね、
だから約270億というお金が、
毎年入ってくる筈だった利益が無くなっちゃう訳です。
だからこれも大きいんです。


※注:
「総括原価方式」については、過去記事↓
そもそも電気料金どうやって決めてる?総括原価方式とは?
を参照してください。


この夏 原発ゼロになると誰が困るの?

自民党 河野太郎衆院議員にインタビュー

VTRここから~~~

自民党 河野太郎衆院議員:
困るのは原子力ムラなんだと思うんです。

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美味しい原子力利権が福島の事故で崩れそうになった。
それを必死に今、利権をまだ擁護しようとしている人にとってみると、
一番電気が必要な時に原子力がいらなくなったら、
「別に原子力は いらないよね」
という議論が強くなってくる事を非常に恐れているのが
原子力ムラの住人”といわれている人たち。

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つまり経産省の人間電力会社
あるいは東大をはじめとする原子力工学の先生方
あるいは原子炉メーカーもそうかもしれません。
あるいは電力の労働組合の支持をもらっている民主党の議員
献金をもらってきた自民党の議員
そういう人から見ると、その原子力の利権というのが、どこかに飛んでいってしまう。
そういう事になりかねないから、
やっぱりどこかで原子力発電所が動いていて、
そのおかげで電気がついているんだという、フィクションを維持することに、
彼らは意義を感じているのかもしれないと思います。

玉川:
この夏はもう、しょうがないじゃないかと、
で、本当に原発が必要かどうかっていう国民的議論は、
この夏を乗り越えた後に、まさに冷静に、選択肢も増えた中でやれば、
その誰もが原発をいらないという事でもないと思うんですよ。
あえて下手にやっているようにしか見えない、これは何なのですか?

河野議員:
つまり国民を脅して、国民をだまして、やってしまえばそれでいいんだという、
これが実は原子力ムラのカルチャーそのものだったんじゃないのか。
要するに国民の信頼を取り戻して、信頼される原子力をやろうなんていう人は
実はムラの中にほとんどいないんじゃないかなと。

VTRここまで~~~


気になる☆気になる☆-20120503  関電原発再稼動の裏事情 051

赤江アナ:
でも、政府としても長期的にはこの原子力のエネルギーを縮小していく
というような事を言ってましたよね。
そうすると、この関西電力の経営が成り立たなくなる。っていうのと、
議論がこう、相反するっていうのか、
成立しないですよね。

玉川:
ま、そこは、知恵を出すしかないと思いますよ。
たとえば「原子力はもう国の責任でやります」と、フランスのように、やるならやるでね。
だから、関西電力や民間が持っている分についてはリスクが高すぎるから、
原発の施設は国が全部買いますと。
買った上で動かすか、動かさないか、廃炉にするかは、国民的議論で決めます。
原発さえなくなればですね、あとは原発がなくなったうえで、電力供給をやって下さいと。
そのかわりいろんなところが参入して競争してやりますよ。
というふうな形になっていくというのが一つ考えられることですかね。


本日の結論、
再稼働しないと集団自殺のようなものは
原子力ムラかも?

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内容紹介ここまで↑====================


原発の稼働そのものが、利益直結だったんですね。
「総括原価方式」はじめ、もう、電力の運営の仕組みそのものを
根本的に見直さなければならないのではないか、
とわたしは考えました。
わたしたち国民も、これを機会に真剣に考えてもいいのでは、と思います。



関連過去記事:

そもそも電気料金どうやって決めてる?総括原価方式とは?

大阪から原発なくとも電力足りる新提案

大飯原発を今再稼働して本当にいいんですか?