今食品の放射能汚染について、わたしたち消費者は敏感になっています。
その放射能の検査体制ついて、
なるほどな、と思ったテレビ番組のコーナーがあったので
またわたしなりにテレビ画面を撮影しながらメモったので
紹介します。
一部は動画を参考にしました。

10月20日放送、テレビ朝日モーニングバード 「そもそも総研たまペディア」より。
出演者敬称略。
コーナー進行はテレビ朝日の玉川徹。

ただし、いつものようにわたしなりの要旨ですので
ニュアンスなど、多少異なっていることを了承して読んでください。

内容紹介ここから↓====================


東京大学・児玉 龍彦教授の著書「内部被曝の真実」(幻冬舎)から
一部を紹介。
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稲わらのような想定外の場所での濃縮事件というのは
自然界では山ほど起こります。
ですから、やはり出口での食物の出ていくところでの
チェックというのを緊急にものすごくよくする
ということが大事になるとおもいます。
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児玉龍彦教授とのやりとりから。(VTR)

テレビ朝日・玉川:
今の食品農産物の検査体制はサンプルを採って検査している。
サンプルを採った以外のところは大丈夫かとすごく思うが
今のサンプル(検査)で「安全だ」と言っている今の状況は
正しいと思いますか?

児玉:
これはやっぱり問題です。
セシウムの汚染はまだら状で地域、地域、水の流れとかでも
違いますよね。
そうすると食べ物も当然1つずつ(汚染量は)違ってしまいます。

玉川:
今のサンプル調査で効果があるんですか?

児玉:
放射性物質の測定というのは地域全体の環境が汚染されてると、
(放射線量が)低いレベルの(放射線)検査っていうのは、
ものすごく感度のいい機械を持っていかないと、
ちゃんと遮蔽して感度の良い機械を置かないと
粗っぽくは簡単に測れるんですけども、
それはすごく大変だから、
今までの機械ではちょっと難しいと思ってください。

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千葉県のサンプル検査の実態を紹介(VTR)

千葉県環境農業推進室 澤川 隆室長とのやりとりから

澤川:
(サンプル検査は)市町村単位でやっている

玉川:
例えば1市町村の中である品目に関して
どのくらいのサンプル数を採るものなんですか?1回

澤川:
各市町村と県のほうで提示をして、
その市町村が受けた場合についてはその市町村で1点ですね。

玉川:
1市町村で1点?

澤川:
はい

玉川:
その品目に関して。市町村っていっても広いんで、
色々な所で作付けされていると思うんですけど、
そうするとここで採った物がOKでも、
ここの物がOKかどうか?って不安になっちゃうんですが、
これは大丈夫なんですか?

澤川:
これからは国からの指示もあるんですけど、
まんべんなく広く採っていくという形になりますから、
おおむね面積にしますと50haに1点を目安にして
計画作りをしております

玉川:
目安・・・あの、50haといっても相当広いと思うんですが、
放射能の汚染状況っていうのはまだら状になっている訳ですね。
これは大丈夫なんですか?

澤川:
そうですね、あくまでもサンプリング検査でございますので
そういったバラツキなり、全量(検査)をやっている訳ではないので、
そういった差はあるかとは思いますけども


スタジオで

玉川:
50haとおっしゃってましたけども、現状はまだ70haなんですよ。
70haは東京ドーム15個分

司会者・羽鳥 慎一:
15個のうちの1点

玉川:
1点だけ

玉川:
不安になる方もいるかと思いますが、
千葉県は今まで農産物に関してどうだったのか。
現在は出荷制限はお茶だけです。
地図の赤い市町村で出荷制限が行われていますが
お茶以外の野菜・果実は現在は暫定規制値以下です

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再び児玉教授とのやり取り(VTR)

玉川:
先ほど先生おっしゃった、ものすごくよく検査する方法はないのですか?

児玉:
私の本来の職務はガンの薬をつくるということで、
放射性物質を人間に打ち込んで(がん細胞を)検出するという。
人間に(放射性物質を)打ち込める量っていうのも多くないし、
例えば検出の1ミリとか2ミリのリンパ節の転移を
見つけなければいけないわけですから、
今ものすごくその検出感度を上げるというのをやってます。
そういう技術の世界一流の研究者って結構日本にいるんですよね

玉川:
がんの検査で放射性物質を入れてっていうのはPET(検査)とか?

児玉:
PETとか、そうです

PET=放射性物質を画像化して検出する装置

児玉:
あれはガンマ線を測ってるんですよね

玉川:
たとえばそういうPETで使っているような技術がすでにあって
それを農産物検査に応用できるってことですか?

児玉:
30kgの米袋をプロトタイプ(試作モデル)で見ると、
今、まあ10秒ぐらいで計算(検査)出来るものが設計っていうか
実際では出来ています

玉川:
今のサンプリング検査だと10秒ってことはないですよね、
日単位ですよね

児玉:
(今のサンプリング検査では)ゲルマニウムの半導体検出器っていうのが
よく使われるんですが、あれでも30kgというのは無理です。
今みたいにセシウムが中心とわかってる場合には
セシウム134と137(だけ)を検出するように
(測る成分を)絞ってやると非常に正確に(検査が)早く出来ます。
そういう検知器をいっぱい並べて流れ作業みたいにやればいい

玉川:
ベルトコンベアで流れ作業のように(検査を)やれば

児玉:
結局米を全部(検査できる)

玉川:
全量チェック可能なんですか?

児玉:
全量チェックやるのを可能にする機械は
ある企業がやって下さっているんですが、
数カ月単位で作ることが可能です。

玉川:
数カ月ですか?

児玉:
はい。まずはプロトタイプ(試作タイプ)が出来るってこと
なんですけど、ずっと国会で言っていたことなんですが、
こういうのをもっと国が応援してやってくれないか」って
お願いしてます。

玉川:
今はサンプル調査だけど、全量検査は可能だってことですか

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児玉:
はい、それでですね、そういうことを申し上げると、
例えばあの…一部の原子力の関係の方からは
「GBO(全量検査用の機械)は値段が高いから」って
言われるんですが、
我々から見たら日本の畜産業とか農業とか(の予算)で見たら、
そんなにものすごくめちゃくちゃな値段がかかることではないですから、
思い切ってこういう機械を開発した方がいいってこと


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ということで、その検査ができる機械を紹介

富士電機の「食品放射能測定システム」


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これでセシウム134、137、ヨウ素131の測定が可能

最初に段ボール等のサイズを指定、検知装置が自動的に放射能を測定
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小さな放射能のサンプルを入れた場合に検知する。
入れない場合にはそのまま通過する
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米袋の間にサンプルを入れて検査方法を紹介
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センサーを通り過ぎると中に線源があればダメですよと
音と画面で表示
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コストは1台いくらか?
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430万円
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食品放射能測定システムの全容

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幅36cm、 奥行き3m36cm

測定可能サイズ:
高さ50cm、奥行き50cm、幅10cm(※)、重量5kg~30kg

※:10cmてことはないでしょうから、ミス表示でしょうか。
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測定に12秒かかるので、1箱30kgを1時間では
9t測定できることになる

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千葉県の米でシミュレーション

千葉県での一日の収穫ピーク:約1万7000t
1時間で9t検査(1台あたり)すれば、
1日10時間稼働すると、1日で90t検査可能(1台あたり)
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1日1台が10時間フル稼働すると、90t検査できる。
収穫量を全て検査するには
1日の収穫約1万7000t÷90t=190
190台必要になる。
190台×430万円(1台あたり)=総額8億1700万円
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農家に対する東電の賠償金は 1兆3000億円といわれているが、
この装置を東北、東日本に導入しても、
恐らく何百億のお金があれば全量検査が可能ではないか。



最後に児玉教授から、原発をどうすべきだと思うか、ひと言

児玉:
原発が放射能を撒き散らした時に、とんでもないコストがかかる
(ことがわかった)
今原発を進めようとする人は、福島の放射能被害に対して
全力であたってから発言して欲しい


スタジオでは
まず福島から導入していって、
全量検査をやれば
逆に風評被害を防ぐことにもなる
といった声もあがっていました。

内容紹介ここまで↑====================



日本の技術って、すごいですね。
国は、富士電機さんのように、よりよい開発をする企業に対して
多くの支援をしてほしいです。

で、こうして記事におこしてからふと考えたんですが、
費用はまあ、賠償金よりもかからないというのはおいといて、
実際問題にこの装置を量産するとするとですよ、
いったい何台必要になるんだろうか、と。

単純計算で千葉県のお米だけで190台。
ほかにも農産物はあるんだから
これだけでは足りないだろうし
東日本何県分だろうか、とか、

いろいろ考えたら相当な数が必要になると思うし、
そんなに量産は出来ないんじゃないか、とか、
注文してから検査可能になるまでどの位の日数がかかるか、とか

現実問題として
たくさんのハードルがありそうだと思いました。


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