絵本-あ | 小学校での読み聞かせ活動記録

絵本-あ

レオ・レオーニ, 藤田 圭雄
あおくんときいろちゃん

40P/21×21/至光社/1979初版/読み聞かせにかかる時間-3分前後/季節-公園で楽しく遊べる季節



小学校の教科書に載っている『スイミー』の作者といえば、


ご存知の方も多いと思います。



仲の良いのあおくんときいろちゃんは一緒にいられることがうれしくて


色が混じってしまい、緑色になってしまいました。


遊びつかれて家に帰るとあおくんの両親もきいろちゃんの両親も


「こんな子、知らない。うちの子じゃない。」と言って


二人を家に入れてくれません。


二人は悲しくなって、ぽろぽろと涙を流し、


流れた涙があおときいろに別れ、


両親は二人が混じっていただけだった事を知ります。



えっと、原作は『Little Blue and Little Yellow』という題になっています。


藤田圭雄さんが「あおくんときいろちゃん」と邦訳したわけです。


「あおくんときいろちゃん」という


ただの青い紙と黄色い紙が人格を持つというだけでも


かなりシュールですが、


原作は性別がなかったんですね。


もっと抽象的な絵本だったのでしょう。



そういえば、レオ・レオニさんの作品は、


この絵本以外はすべて谷川俊太郎さんで邦訳されています。


谷川さんが邦訳していたら、どんな表現をされていたか


ちょっと興味が沸くところですね。



まぁ、邦訳があろうがなかろうが、


文字に託された意味を吹き飛ばすほど


どんな観かたも想像できてしまう作品なので


文字を追わなくとも楽しめる絵本だと思います。



筒井 頼子, 林 明子
あさえとちいさいいもうと

31P/20×27/福音館書店/1982年初版/読み聞かせにかかる時間-5分程度/季節-あさえちゃんが長袖なので、夏以外かな?


あさえが、外で遊んでいると妹のあやちゃんの面倒を


見て欲しいと頼まれます。


あやちゃんはねんねしたばかりなので、


大丈夫と思っていたら、すぐに目を覚まして大泣きしていました。



あさえは、あやちやんを外へ連れ出します。


面倒を見ているつもりで夢中でチョークで絵を書いて、


顔をあげると、あやちゃんが見当たりません。


あさえは必死であちこち走り、あやちゃんを探し回ります。


道を一人であるいている女の子・・・。違います。


知らないおじさんに手を引っ張られている女の子・・・。違います。


あやちゃんはどこに行ってしまったのでしょう。


あさえは、胸かドキドキしています。


いました!!


あやちゃんは、公園の砂場にしゃがんで一人で遊んでいました。


あさえは、心の底から安心しました。


というお話です。


小さい子を迷子にしてしまうと心配なものです。


あやちやんが見つからないときのあさえの気持ちが


手にとるように判る絵本です。



浜田 桂子
あやちゃんのうまれたひ

32P/27×20/福音館書店/1984年初版/読み気かけにかかる時間-5分程度/季節-あやちゃんの誕生日12/15の少し前が一番いいのだけど、読んであげる子のお誕生日の少し前かいいかな。



あやちゃんが、カレンダーを見ながら自分の誕生日を楽しみにしています。



そんなあやちゃんにお母さんが、あやちゃんの生まれた日のことを



優しく淡々と話してあげるストーリーです。



予定日になっても生まれてこなかったあやちゃんを



おじいちゃんもおばあちゃんもパパもママも



心配しながら待っていた話。



夜中に生まれそうになってパパがあわてちゃった話。



その日の寒かった事や病院の灯りがうれそかった話。



病室のやかんからあがる湯気までが祝福してくれているように思えた話。





どれもこれも、あやちゃんが生まれるということが



特別なんだよって、想わせてくれるエピソードです。


生まれてきた子どもたち一人ひとりに様々な



出産エピソードがあります。





この絵本を読むと、必ず自分たちがどうやって生まれたのかを



知りたがります。



弟や妹がいることを誇りに思う子どもがたくさんいます。



子どもが生まれたとき、どれほどうれしかったかを



この絵本を読んだときに一緒に話し合えるといいですね。


フランツ=ブランデンベルク, アリキ=ブランデンベルク, ふくもと ゆみこ,
Aliki Brandenberg, Franz Brandenberg
あたしもびょうきになりたいな!

32P/24cm/偕成社/1983年初版/読み引き科背にかかる時間-4分/季節-病気の流行する季節に読みたいので、冬!


エドワードが病気になりました。おかあさんもおとうさんもおばあちゃんもアンおばさんもピーターおじさんも、みんなエドワードの看病に夢中です。元気なエリザベスは、着替えてベッドを整え学校へいかなければなりません。ピアノの練習や宿題、お皿洗いに金魚や亀の餌もあげなくてはなりません。思わず、エリザベスは叫びます。


「あたしも、びょうきに なりたいなぁ!」


何日かしたら・・・エリザベスは本当に病気になりました。周囲の人はエドワードにしたのと同じようにエリザベスの看病をしてくれます。夕方になるとエドワードがやってきて、今日一日、何をしたかをエリザベスに教えてくれました。それは、エドワードが病気の時にエリザベスがした事ばかりだったのですが、エリザベスは


「ずるいなぁ、もぅ!」

「エドワードばっかり いろんな ことができて。」


と悔しがります。またまた、何日か経つとエリザベスすっかり元気になって、日常を取り戻します。エドワードと一緒におかあさんやおとうさん、おばあちゃんにアンおばさんとピーターおじさんにお返しをしました。(おしまい)


元気一杯の子どもたちは、時々病気になって学校を休み、大切にされている兄弟を見て、うらやましくなったりします。本当は熱があって頭が痛かったり、咳や鼻水が出で苦しかったりしているんですけど、そういうのはなってみなくちゃ判らないものですよね。何よりも、少し良くなってきた時にじっとベットの中に居なきゃならない事や誰も話し相手がいなくて一人ぽっちな時は、本当に情けないものです。オリザベスの気持ちを味わったことのない人はいないんじゃないでしょうか。


病気になったときのエリザベスのぐったりした様子も、ちょっと可哀想だけど、絶対にありそうな感じで思わす笑えてしまいます。1月2月は、風邪やインフルエンザが大流行する時期です。病気にならないように、しっかり予防しましょうね。

マージョリー・フラック, 瀬田 貞二
アンガスとあひる

32P/17×25/福音館書店/1974年初版/読み聞かせにかかる時間-4分/季節-柳の木の芽が美しい春~初夏


好奇心の強いスコッチ・テリア(犬の種類)のアンガスは、庭の境の生垣の向こう側から聞こえてくるやかましい音の正体が気になって仕方がありませんでした。ある日のこと、ドアが開け放しになっていたので、アンガスはそれっと、おともてに飛び出しました。垣根の向こう側に出ると、目の前に2羽のあひるがいました。

アンガスは、あひるたちに向ってうなりました。「ウーウーウーウーウーワン!」アヒルは逃げ出し、柳の木陰の水のみ場でゆっくりと水を飲み始めました。そこでまた、アンガスは「ウーウーウーウーワン!」。


こんなことをしたものですから、今度はあひるたちが、アンガスに向って「シーシーシーシーシーシーシュ!!!」と言い返され、尻尾をつつかれてしまいました。

アンガスは、脱兎のごとく逃げ出し、うちの中へ駆け込むとソファの下に潜り込み、一、二、三分間、何事も知りたいと思いませんでした。というお話です。


マージョリー・フラックは1897年ニューヨークのグリーンポートで生まれ、アート・スチューデンツ・リーグ校で絵を学びました。1930年に出版された『Angus and the duck (アンガスとあひる)』から、本格的に絵本作家として描き始めたようです。このアンガスシリーズは、好評を得て、その後4冊が出版されています。


フラックの作品の主人公はどれも、小さな子どもそのものであり、子どもが自分を主人公に重ね合わせながら夢中になって冒険できるものばかりです。翻訳者の瀬田貞二氏も子どもがはじめて出会う物語絵本、に最適だ、と述べています。(同氏著『絵本論』より)


実際、彼女の作品は、ストーリー・挿し絵共に単純明快で判り易く、計算の行き届いた全体の過不足ないページ割り等の配慮が全体に行き届いています。子供心を充分、研究・理解した上での作品づくりは、芸術と言っても過言ではないて思われます。


また、フラックの作品の特徴として、「行って帰る」手法が使われている事が挙げられます。トールキンの『ホビットの冒険』では-ゆきてかえりし物語-ではありませんが、主人公が冒険に出かけて行ってまたもとの所に戻ってくるという手法は、子供たちに特に好まれるものなのです。彼女はこの手法を昔話から学んだのではないかと、瀬田氏は述べています。


瀬田氏は「絵本の歴史をみて、アメリカに絵本を創始したのがワンダ・ガアグだとすれば、ガアグに続いて30年代後半と40年代に絵本の基礎を固めたのがフラックであったろう」とも書いており、このような良書をふんだんに子ども達にふんだんに与えることによって、子供たちの持つ豊かな感性がより磨かれることを願ってやみません。