「キル…」

彼がふと、抱きつくように手を伸ばすが
すぐに自分の胸元に戻し
手のひらをじっと見る仕草に僕は「?」
って感じでそれを見ていた。

「やっぱりなんでもねぇや」

そう言う彼は苦笑いだった。
それがもっと不思議に思ってしまう。

それから数日…
僕に触れようとするが直前で手が止まり
なにかあるたび手のひらをみる。
そして、そのたびに僕は思う

(なにかが足らない)

なんだろう?このモヤモヤ感?

それからさらに数日
1階から義母さんの声が聞こえる

「キルちゃーんっ届いたわよぉ」

「あー、闇勝の制服か。
キル、着替えて見せて?」

1階から服を持って帰り2階で着替える
逆らうと嫌われそう…なんて考えながら
僕は彼の言う通り着替える事にした。
数分後。
自分の机がある側から広々とした
彼の机がある方へ行くため
仕切られたカーテンをシャっと
右側にし、彼の方へ無言で歩く。

座って待っていた彼はすぐに立ち上がり
ジロジロと見ながら歩いてくる

「めっちゃ、可愛いっ」
そう言うと前から抱きついてきた。
その瞬間…モヤモヤが分かった気がした。
彼が毎日のように触ってくるから…
ドキドキされっぱなしだから…
君と触れ合う事に居心地を感じてたんだ。

そう感じた瞬間に引き裂くように
彼は慌てて僕から離れたっ

「あっ!?わ、わりぃ…
さわんなって言ったのに…
ますます機嫌悪くなるよな…」

あ…いままで触ってこなかったのは
…僕があんな事言ったから守ってたんだ
なのに…僕は

「ケイ君」

「ん…?」

それも、たぶん

「いいよ、しても…」

「キル…」

彼がそう言うと僕の肩に手を置き
唇を近づけるように顔が目の前に…

つづく