「一目ぼれだから…そういう
どこがいいとか…考えた事ねぇ
けど。」

まぁ…
あの時出会った、笑顔が素敵な少女が
アホ面になってた時は

「俺が守らなきゃって…
俺がいなきゃって…
また笑顔になって欲しくて…
努力して…それでも…悲しい顔で
だから、俺はアイツが安心して笑顔に
なれるように俺も笑顔作るんだ。
やってる事は無駄かも知れない。
…そう、分かってるんだけどさ、
片思いってやっぱツライな…」

「ブルーガ君…」

少しだけ彼の好きな人への思いが
分かった気する…

サクラは1年から彼女の思いを聞いて来た。
今でも片思いって事は
フラレタとしか考えられなくて
サクラの足が1歩前に出る。

ポニーテールの長く青薄い髪が
揺れながら、彼の左側から
ぎゅっと抱きしめる。

「私ならつらくさせない。
だから…私と付き合って」

何度もなく彼への告白シーンを見てきた
キルの心は歪みはじめた。
彼が止めたのは見せびらかせる為?
目の前で僕に訴えるように見せる
サクラに爆発するようにヤキモチ焼く。

「やめろ、ばかっ」

彼が抱きつく彼女をそう言いながら
振り払うとサクラは尻もちついたが
すぐに立ち上がる。

「キルの目の前でー…キル?」

「そういえばいないね」

さっきまでそこにいたはずの
彼女が忽然と消えてしまった。
見える場所にいない彼女に
ケイは周りを見渡し慌てるように
探しまわる。

「キル?どこだよっ」

「ブルーガ君?」

みたことない慌てぶりに
サクラは疑問に思っていた。
そして、それがのちに大事件になるとは
誰も思っていなかった。

「くそっ、あのヤロー」

………

自宅。

「はぁー…」

僕、焼いてばっかだなぁ

叶わない恋はつらくて悲しいんだ
サクラは僕と違って頭もいいし…
お似合いだよなぁ…

そう考えながら布で仕切られた
自分のベッド側の方で着替えていると
大きな足音が下から聞こえる

ドタドタ…

階段を駆け上がる音だ。
そのままドアをあけ、声をあげる

「キル!先に帰るんじゃー…ね」

僕がいる方の布を開けながら入って来た
彼の言葉の後半がトーンを落ちるようで
僕をじっと見つめるようにも見えた。

「着替え中だったのか…」

見れば分かるやん…

と、言っても
制服の下に着ていた体操服と半パンである。
少し遅れていたら…考えただけで
恐ろしいだろう…

さっきまで怒っていた彼が
僕を見たとたん、その気が失せたらしく
何も言わないまま1歩1歩近づいてくる。

「つーかさ、キル!
この制服今日で最後なんだし?
記念に1枚撮ろうぜ?な?
もちろん、眼鏡取って、髪下ろしてさ」

笑顔でそう言う彼はさっきまで
怒鳴ってた彼とはまるで別人だった。

「ちゃんと笑えよな、キル?」

つづく