今日で中学生活も終わり。

卒業式である。

こうやって並んで登校するのも最後。

「今日くらいはさ、
姫みてーに笑って卒業しようぜ?」

僕よりも1歩後ろからついてくる
彼はのんきにそう言った。

今日で同じ学校じゃない…
笑ってられないよ

卒業式も終わり、あとは下校するだけ…
しかし、教室はざわめいていた。

「ええっ、先輩の一方的な付き合いで
もう既に別れた?」

この学校のOBである
セイ先輩が学校に来ない理由を
問いつめたら、そう、答えが出た。

「な、ケイ知ってたか?」

「キルの片思いじゃねーんだ…」

キルの机の列の後ろの方に座る彼は
彼女の背中をじっと見つめ
肘を机の上に乗せ悩むようだった。

僕の周りに集まる数人の中に
いつもケイ君のせいで僕の隣にさせられる
アラタがこう言ってきた。

「じゃ、今フリーなんだな。」

フリー?

「彼氏いないんだろ?」

コクコクと頷く僕。

「じゃ、じゃあさギルドっ
俺と付き合ってよ
ずっとギルドの事好きだったんだよね」

まさかの告白である。

吃驚して声も出ない。
もちろんケイはそれを後ろから見てた訳で

「えー、アラタ、何言ってー」

一部の女子がざわめく中ー…
無視するように、会話を続ける

「返事は…」

その時である。
自分の腕が誰かに引っ張られ
無理やり立ち上がらせ、教室から飛び出る。

「あ、ちょっと、お前っ」

フワリとなびく黒い髪。
いつも見る後ろ姿。
無言で歩く彼はどこに行くかも告げない
まま校内を歩き始める。

ルーリング君が僕の事…?
姫似なだけ、だよね

ドキンドキン

何を察したか分からないが
彼が口を開いた。

「お前、今、アラタと付き合おうとか
思ってただろ!?」

「お、思ってないよっ」

「どうせ、バツゲームだろ?
だとしても、あんな奴よりも俺にしろ」

彼から出る言葉にいつもドキドキさせられる。
だから、言葉に迷いが出て恥ずかしくて
いつも無言になってしまう。

繋がる手から火照るように。

「な、なんかしゃべれよ!!
こっちがはずいわっ」

……

僕はバツゲームでも構わない。
君と付き合いたいよ

つづく