黒く染めあがった邪悪な心は
前回と戦った、ばけものよりも
てこずってしまったようだ。

いくらダメージを与えても
こいつは平気な顔して長い両手を
ブンブンと回してくる。

「攻撃する間もくれないわけ?」

「踊れ、舞れ」

ばけもんに加勢するものでもなく
ただ朱音は眺めているだけだった。

どんどんとばけもんの両手が
後ずさりする彼女を連発で殴りこむ。

間一髪で空音は交わすが
ばけもんの攻撃が止まらない。

「一瞬でもスキがあればっ」

また真上から、ばけもんの腕が
殴るように落ちてくる。

「いちかばちかっ」

空音は後ずさりせずにばけもんがいる
方向へジャンプした。

腕はそのまま地面を踏んだが
また片方の腕が上から殴るように
落ちてくる。

ジャンプした空音はそのまま
ばけもんの頭を踏み切って
背後へまわった。

その時、物陰にいる人を見つけた。

「っか、佳奈!?」

どうやら、空音が気になって
追いかけてきてしまったようなので
大体の事は把握しているだろう。

「あぶないっ」

佳奈を守るように
ばけもんの腕が何度も背中に当たる。

「くぅ…」

「空音、1人で戦っていたんですね…
私にも、やれる事があれば宜しいのですが」

「佳奈、私は平気…」

あいつとの問題は私が解決するの…
けれど、さすがにこれはキツイかな?

その時青い精霊ジュバの声と共に
メイドドレスが光出した。

つづく