「佳奈の心を返してっ!!」

だが、ハートは空音の足よりも
早く空に舞い上がって行く。

ハートを追いかける声に応えるかのように
空音にたくされた腕輪が光る。

「っ!!」

そして、またあの姿へ変身する。

「あなたの友達を救いたい心。
必要ならば、わたしは力を貸しましょう。」

頭の中から響く声。

こんな重い姿じゃハートには追いつけないと
思いきや、このドレスアップした姿は
体力増加しているようで今まででは
考えられない走りを見せた。

「待ってっ」

ふよふよとあの男の元へ行こうとする
佳奈の心は頭の中で聞こえる声に
そう言うと心と返せるといわれ
私はそう言うことにした。

少し恥ずかしいけれど。

「貴方の心、私がご奉仕しますっ」

その言葉は心の浄化と安らぎを含む
言葉である。

メイドチェンジした彼女から
その言葉を聞くとハートは変化する。

まるで、心自身が招いた悪の部分のように
みた事のない、ばけものへ変化した。

その心の持ち主である佳奈は
眠りにつくように倒れてしまった。

「……っ!!」

ばけものに立ち向かうように走る空音。

ばけもんが伸びた手を彼女に向けると
叩きつかれる瞬間ジャンプして
そのまま胴体に蹴りを飛ばす。

「はぁ!!」

そして、すぐさま離れ
そこへ向かってくる両手に向かって
回転しながら蹴りを入れる。

反動でばけもんの両手は一旦はなれるが
包むように広がり行き場がない空音に向かう。

「キャアっ」

ばけもんの両手に包まれた空音は
苦しくて息がつまる。

「ぐあっ!佳奈…私が助ける…んだから」

「ピンチをチャンスに変えるのよ」

頭の中から響くそれが言った瞬間
動かないはずの腕から光が出てくる。

そして、自然と言葉が出てくるのだ。

「そんなご主人様なんていらないっ
フェニティクシルバートっ!!」

腕輪から放たれた青い光りは
ばけものを浄化しハートは戻り
佳奈の体にスーッと入って行く。

「佳奈っ」

ドレスアップから戻り、声をかけると
佳奈は何もなかったように目を覚ました。

「わたしー…」

その時である。

そこにいなかったはずなのに
瞬時にそれはやってきた。

「やはり、俺は君を好きにはなれない。」

あいつ、だ。

そう言うと彼はすっと消えた。

「知らなかったわ。空音…
好きな人いたのね」

「違うしっ!!」

あいつは…人の心を盗む悪いやつ。

愛する事も愛される事も
やめてしまった寂しいやつ。

本当に救わなければならないのは
あいつの心なのかも知れない。

「つか…名前知らないし。」

だから、私は決めたんだ。

あいつの心と戦うって。

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「君は俺と戦うんだな。」

何も知らないやつが…

「本当にバカだ。あの日と変わらない。」

つづく