恋なんてしなければいい
愛なんてなければいい

愛したくもない。愛されたくもない。

ーーーーーーーー
ーーーーーーーー

学校から帰る青い空。

1台の車が通れるくらいの両側が灰色の
コンクリートが続く狭い通学路。

電信柱や色んな色の屋根が見える。

今日も何事もないように
いつもの道を辿る主人公…

彼女の名前は
「白咲 空音」しらさき あお

ぴょんと跳ねたアホ毛が特徴的で
肩くらいまである青薄い髪に
赤い目の17才の女の子。

勉強も運動も良くも悪くもない
ごく普通の女子高校生である。

今から起きる出来事を除いて……

「なんだろう あれ?」

空音がふと空を見上げると
ピンクのハート型のようなものが
フワフワと空に浮かんで
そのハート形はどこかへ行くように
向かっていった。

その時は別に何も気にならず
追いかける事もしなかった。



翌日の昼休み。

中庭で上向きになりベンチに
ねっころがってると空音はまた見つけた。

あのハート型を。

フワフワと飛ぶ「それ」は
まばらまばらにいくつもあった。

「なんだろう あれ?」

それが存在する意味が分からなかった。

なぜ、私に見えるのかも分からなかった。

その時、声が聞こえた。

「なんで分かんねーんだよ!」

「怒鳴る事ないじゃんっ」

「お前は怒鳴らないと
分からない性格なんだよっ」

男がそう言うと女は泣き出してしまった。

それは最近付き合い始めたと言う
カップルだった。

………嫌なとこ聞いちゃったな。

体を起こし、その場から去ろうとした時
泣いていた女の子の体から
あのハート型が浮かびあがるように
出てきたのだ。

その瞬間、彼女は

「もう、嫌。嫌いっ別れるっ!!」

そう言って男から遠のいていった。

「………」

2人共、あのハートが見えてないのだろうか?
ハートはフワフワと空にあがり
昨日と同じ方角へ舞っていく。

少し追いかけるように
フワフワ飛ぶハートを追いかけていく。

「誰だ…」

いきなり、のぶとい男の声が聞こえた。

追いかけた先は校庭にある大きな木。

ここで告白すると両思いになれるという
大きな大きな木。

声は上を見上げないと見えないくらい
高い所にある枝に座っていた。

まるで、この木を守るような男。

「私は白咲空音っあなたこそ、誰?」

「あんたに名乗るほど
俺はあんたと仲良くもなりたくない。
とくにあんたのような女には、な。」

威張ったような男の口調に少しイラッとしたが
男がもってるビンに積み込むように
さっきのハートが入っていた。

じっと、そのビンを見ていたら
男はすっと立ち上がり飛び上がるように
ジャンプすると葉に隠れるように
消えていった。

「あいつも…あのハート見えるの?」

その場から立ち去ろうとした時
地面からキラリと光る何かを発見した。

つづく