先輩は俺が思った通りの高校ではなく
それより、もっとランク高い高校へ行く事になった。
いくら俺が勉強しても無理そうなくらい
偏差値が高いところ…
憧れだけで同じ部活に入って
追いかけて…同じ高校に行きたかった。
けど、あまりにも届かない人と
実感するとヤル気が出なくなる。
机に向かっても勉強ところじゃない。
「そういえば、もうすぐバレンタインだけど
夏季って男から貰う気とか、ない?」
「あるわけ……」
先輩、どうして、そんな事聞くんだろ?
「でも、何故か毎年…男友達から貰ってた。
だから別に抵抗なんてないけど。」
「貰ってたのか…」
「まぁ、うん?」
先輩は悩むように部屋から出て1階に降りていった
「なんだろう、一体?」
友チョコでもくれるのかな?
友チョコかぁ。
「よしっ!!」
いつもお世話になってる先輩に作ろう!!
それから数日後。
秘密で作ったチョコを持参して学校に行く。
先輩にあげれると思うだけで
心がウキウキした。
「夏季、今日はなんか嬉しそうだな。」
「そうかな?」
「…そうだ、夏季。
今日、用事あるから早めに部室行くから」
「あ、うん。分かった。」
そう言って俺は笑顔で返していると
遠くから俺の名前を呼ぶ声が聞こえる。
「夏季君、はい。バレンタインチョコ」
「え、俺に!?先輩じゃなくて?」
「うん、そうだよ。」
彼女はそう言うと
Uターンして学校へ向かった。
「チョコ、貰っちゃった。」
「義理でも、嬉しいだろ」
「ははっ。そうだねーっ」
立ち止まって受け取ってると
また女生徒が俺を呼んでいる。
下駄箱に向かってる間にも数人に
声をかけられ、先輩ではなく俺に
チョコをくれるのであった。
「今日はみんな優しいな。
義理チョコこんなにくれるなんて…」
「1人でそんなに食えるのかよ?
だから、彼女いるって言ったのに。」
こうなるの分かってて嘘をついた。
先輩の嘘はいい嘘だったんだ。
「それにしても、
なんで先輩にあげないんだろ?
近寄りにくい…のかな?」
それだけが疑問で仕方がなかった。
俺よりも先輩の方がモテるはずなのに。
疑問をもったまま部室を覗くと
俺が来たのが見えたのか数人の部員が
立ち上がり、男女関係なく俺にチョコをくれる。
「えー、あんたも夏季君にあげるの?」
「別にいいじゃねぇか!友チョコだよ!」
男子が俺にチョコをあげるのを見て
そうからかう女たちがいた。
袋たくさんに詰め込まれたチョコ。
そこに秋人先輩がやってきた。
「あ、先輩っ!!」
「夏季、帰ろう。」
「あ、うん。」
部室から出ようとしたとたん
ふと思い出すように鞄を漁る。
「夏季?どうした?」
「先輩。いつも、ありがとう。
お世話になってるから…ほんのお礼。」
そう言って取り出した手作りのチョコ。
それを見た、中にいる部員たちはざわめく。
廊下にいた数人もざわめく。
「このチョコって…俺だけ?」
「そうだけど?」
当たり前のように言う先輩。
「ありがとな、夏季。
なんか、試合に勝った気分。」
先輩のたとえがよく分からないけど
とりあえず喜んでくれたみたいだ。
「じゃあ、帰ろう、先輩。」
先輩はずっと俺があげたチョコを
見つめて歩いていた。
そんなに嬉しいのかな?
「先輩?今日はいくつチョコ貰いました?
紙袋とか見えないけど…」
少し無言になった。
そして、自宅につく前にこう囁いた。
「俺は夏季からしか貰ってないぞ?」
え?
先輩はそう言うと俺より先に家の中へ。
俺はその場で立ち止まってしまった。
自分だけ先輩がモテてるって勘違いして
恥かいて…それなのに俺は義理でも
こんなに貰って…
「お前は何も分かってない。」
部屋に戻り
紙袋につまったチョコを1つ1つ開くと
その言葉の意味がようやく分かる。
モテてるのは先輩ではなくて俺だった。
貰ったチョコ殆どが本命だった。
でも、嬉しくなかった。
チョコを机の上に広げ、じっと見てる
俺に着替え終わった先輩が声をかけて来た。
「夏季がこの中学に入学式した日…
覚えてる…か?」
「え?」
先輩は語り口調で話し始めた。
つづく
それより、もっとランク高い高校へ行く事になった。
いくら俺が勉強しても無理そうなくらい
偏差値が高いところ…
憧れだけで同じ部活に入って
追いかけて…同じ高校に行きたかった。
けど、あまりにも届かない人と
実感するとヤル気が出なくなる。
机に向かっても勉強ところじゃない。
「そういえば、もうすぐバレンタインだけど
夏季って男から貰う気とか、ない?」
「あるわけ……」
先輩、どうして、そんな事聞くんだろ?
「でも、何故か毎年…男友達から貰ってた。
だから別に抵抗なんてないけど。」
「貰ってたのか…」
「まぁ、うん?」
先輩は悩むように部屋から出て1階に降りていった
「なんだろう、一体?」
友チョコでもくれるのかな?
友チョコかぁ。
「よしっ!!」
いつもお世話になってる先輩に作ろう!!
それから数日後。
秘密で作ったチョコを持参して学校に行く。
先輩にあげれると思うだけで
心がウキウキした。
「夏季、今日はなんか嬉しそうだな。」
「そうかな?」
「…そうだ、夏季。
今日、用事あるから早めに部室行くから」
「あ、うん。分かった。」
そう言って俺は笑顔で返していると
遠くから俺の名前を呼ぶ声が聞こえる。
「夏季君、はい。バレンタインチョコ」
「え、俺に!?先輩じゃなくて?」
「うん、そうだよ。」
彼女はそう言うと
Uターンして学校へ向かった。
「チョコ、貰っちゃった。」
「義理でも、嬉しいだろ」
「ははっ。そうだねーっ」
立ち止まって受け取ってると
また女生徒が俺を呼んでいる。
下駄箱に向かってる間にも数人に
声をかけられ、先輩ではなく俺に
チョコをくれるのであった。
「今日はみんな優しいな。
義理チョコこんなにくれるなんて…」
「1人でそんなに食えるのかよ?
だから、彼女いるって言ったのに。」
こうなるの分かってて嘘をついた。
先輩の嘘はいい嘘だったんだ。
「それにしても、
なんで先輩にあげないんだろ?
近寄りにくい…のかな?」
それだけが疑問で仕方がなかった。
俺よりも先輩の方がモテるはずなのに。
疑問をもったまま部室を覗くと
俺が来たのが見えたのか数人の部員が
立ち上がり、男女関係なく俺にチョコをくれる。
「えー、あんたも夏季君にあげるの?」
「別にいいじゃねぇか!友チョコだよ!」
男子が俺にチョコをあげるのを見て
そうからかう女たちがいた。
袋たくさんに詰め込まれたチョコ。
そこに秋人先輩がやってきた。
「あ、先輩っ!!」
「夏季、帰ろう。」
「あ、うん。」
部室から出ようとしたとたん
ふと思い出すように鞄を漁る。
「夏季?どうした?」
「先輩。いつも、ありがとう。
お世話になってるから…ほんのお礼。」
そう言って取り出した手作りのチョコ。
それを見た、中にいる部員たちはざわめく。
廊下にいた数人もざわめく。
「このチョコって…俺だけ?」
「そうだけど?」
当たり前のように言う先輩。
「ありがとな、夏季。
なんか、試合に勝った気分。」
先輩のたとえがよく分からないけど
とりあえず喜んでくれたみたいだ。
「じゃあ、帰ろう、先輩。」
先輩はずっと俺があげたチョコを
見つめて歩いていた。
そんなに嬉しいのかな?
「先輩?今日はいくつチョコ貰いました?
紙袋とか見えないけど…」
少し無言になった。
そして、自宅につく前にこう囁いた。
「俺は夏季からしか貰ってないぞ?」
え?
先輩はそう言うと俺より先に家の中へ。
俺はその場で立ち止まってしまった。
自分だけ先輩がモテてるって勘違いして
恥かいて…それなのに俺は義理でも
こんなに貰って…
「お前は何も分かってない。」
部屋に戻り
紙袋につまったチョコを1つ1つ開くと
その言葉の意味がようやく分かる。
モテてるのは先輩ではなくて俺だった。
貰ったチョコ殆どが本命だった。
でも、嬉しくなかった。
チョコを机の上に広げ、じっと見てる
俺に着替え終わった先輩が声をかけて来た。
「夏季がこの中学に入学式した日…
覚えてる…か?」
「え?」
先輩は語り口調で話し始めた。
つづく