翌日。
今日は自由行動ーー・・・
なのだが、キルの様子がいつもと違った。
眼に膜が出来、あきらかに夜更かし・・・寝ていないことが分かる。
「ど、どーなってんのアレ?」
ケイはすぐさまナナに問い詰める。
「ずっと起きてたみたいだよ?」
ナナのその言葉にケイはびっくりした。
ちゃんと、眠れるようにタオルを貸したはずなのだから。
「わ、わりぃ!ルルス、ナナ、先行ってて!」
「最初からそのつもりー」
ナナはケイにそう返事すると、ルルスにぎゅっと
腕を掴み、そそくさとケイをキルと2人きりにさせた。
:あいつら、付き合ってたのか?・・・じゃなくて!
2人きりにされたのも気づかず、キルはいつもにましてポーンと
魂が抜けたように上の空だった。
「おい!キル!俺が貸した、タオルは?
もしかして、入れるの忘れたのか!?」
そこへいつものようにガヤが入ってくる。
のは当たり前、まだ旅館前で立ち尽くしているのだから。
「あー、やっぱりケイ、ギルドといるー」
2人きりになってる、そんなケイの行動があきらかに
ケイはキルのことが好きと、クラス中
いや、学年中知ってるのかも知れない・・・・
「に、逃げるぞ!!」
学年中の想いなど知らずに避けるように
ケイはそう言うと、キルの手を引っ張り走っていく。
息も切れそうなくらい走ると、2人は立ち止った。
「き、キル・・・姫になれ。俺もメガネ外すから・・・」
キルはその意味が分かっていた。
ケイはメガネを外すと王子に似てるってこと。
皆が居ないところで、キルは髪を下ろし、メガネを外す。
少し、待ってると、メガネを外したケイがやってきた。
そんな2人をみて、さっきまでのガヤの反応がまったく
違うものへと変貌させる。
服もリュックもキルとケイのものなのに、
皆はそこには気づかない。
「姫だ、王子だ。」
と騒いでいるのだ。
:王子もいるって、そんなにブルーガ君似てるかな?
「よし。キルじゃなく、姫として見てる。
同中のヤツ騒がないだろうな。」
少し、2人で歩いていると、芸能人さながら、
声をかけてくる人が出てくるわけで・・・・。
「あ、あの・・・もしかして2人ともデート中ですか?」
「ああ、デート中」
ケイはニヤりとそう笑って答えた。
その発言にキルは吃驚、まんまる眼で彼を見つめた
瞬間、ケイの顔が近づいてきて・・・
「だから、ジャマしないでね、み・ん・な?」
ケイはそう言いながら、キルの耳を舐めた。
キルはあまりのびっくりさに真っ赤か。
ガヤはそんな王子の愛に声をかける人は少なくなった。
:なっ!
「な、なにすっ」
キルは真っ赤になりながら、ケイが舐めた左耳を
手で押さえながら、抗議する。
だが、ケイはケロッとした顔でこう答えた。
「いや?王子がいつもしてることしただけだけど?」
王子がいつも、してること?
ケイはなんの根拠があって、そう言ってるのだろうか?
いや、姫の写真はいつも王子と一緒。
王子としか撮らない、いや、王子がそうしてる。
そして、それはベタベタひっついているものばかり・・・・
姫はそんなに王子がベタベタくっついても
愛やら恋には発展しなかった。
なぜなら、それが当たり前だと思ってきたから・・・。
「お、王子こんなことしないっ!!」
「ふーん・・・。」