あの箱に入っていた美味しい美味しいチョコ。


有名スイーツ店。


社長に道を教えてもらい、キルは1人で探す。


たどり着いた先はスイーツフォルテ。


赤レンガ状の壁になんだか古そうな1軒や。


眼鏡姫君:ここかー・・・


カランコロン。


キルはゆっくりとドアを引く。


そこに居たのは


笑顔の先輩「いらっしゃーー・・・あ。」


あのセイだった。


シン「知り合いか?セイ?」


遠くでそんな声が聞える。ここの店長だろうか?


黒い瞳にオレンジ頭・・そしてきみょうな柄のバンダナをつけている。


笑顔の先輩「ああ。写真部後輩のギルドだよ。」


セイはキルを紹介するとニコリと笑った。


セイの言葉に店長は安心した様子で口にする。


シン「後輩なら安心だな。」


困った先輩「それ、どういう意味だよ!ジジィ!」


彼はそう言うと深くため息をする。


シン「そのまんまだよ。ほら、他の席みてごらん?」


キルが周りを見てみると


そこは広いようで甘い香りがただよう店内。


眼鏡姫君:ーー・・僕以外、色ぽい年上女ばっかり。コレは一体?

そういえばナナが・・・「お金で抱いてるんだって」って言ってた。

ここにいる皆、そうなのかな?


シン「ほとんどセイ目当てなんだ。

有名になったのもセイの笑顔のおかげかな。」


眼鏡姫君:笑顔ーー・・・


キルはちらりとセイが居る客の方へ向く。


彼は部活の時と違う笑顔をしていた。


シン「ところでなにを食べるか決めたかい?」


眼鏡姫君:えっ


眼鏡姫君「チョコレイトケーキっ」


キルはチョコが大好きなのだ。


眼鏡姫君:んーー美味い♪幸せーv


その笑顔にセイはキルの方へ近づき、こう言った。


笑顔の先輩「ギルドも・・・チョコ好きなの?」


キルはこくりとうなずいた。するとセイは隣の席にすわった。


笑顔の先輩「姫も・・・なんだよね。」


眼鏡姫君:ギクッ


笑顔の先輩「プロフィールとか公開してないけどさ。」


そう・・・王子と姫はプロフィール非公開である。


年齢、誕生日、本名、過去ーー・・全てが分からない。


笑顔の先輩「ファースト写真集に書いてあったんだよね。

チョコ好きだってさ。本当、美味そうに食べてる所

姫そっくり。」


眼鏡姫君:うっ


笑顔の先輩「そーだ、ギルド。俺と同じ高校来ない?」


眼鏡姫君:はい?


セイ先輩「来れたらでいいけど。」


眼鏡姫君:でもーー・・僕。


それから数日後。また、風の噂を聞いた。


「ねぇ、聞いたー?ブルーグ先輩ってあのフォルテで働いてんだって」


「見に行こうー」


「って中学生バイト禁止じゃなかった?」


職員室前に居るとセイがそこから出てきた。


困った先輩「たく・・・。」


眼鏡姫君:先輩!?


セイはキルに気づくとキルの方に歩いてきた。


セイ先輩「ギルド・・ちょっといいか?」


セイは話をした。なぜ、あのフォルテにいるのか・・・


困った先輩「バイトじゃないんだ。ただの店の手伝い・・・・かな。

あの店の寮で暮らしてるしねーー・・。

いや、暮らさなきゃいけないんだ。俺・・・捨て子なんだから。

両親の顔なんて知らないんだ。」


眼鏡姫君:え・・?


困った先輩「あの店の前にいてさ。あの店長に拾われたんだ。

・・・このリボンさ。そのかごの中に入っててさ。

父親と思ってたヤツが・・・育ての親だぜ?笑っちゃうよな」


左だけ黒い髪と黄色い髪の間にしばってあった赤いリボン。


それだけがたよりだった。


眼鏡姫君「・・・先輩。」


キルはそんな話を聞いて、ついしゃべりたくなった。


眼鏡姫君「僕も母親居ないから。」


セイ先輩「え?」


眼鏡姫君「僕をかばって死んだんだ・・・。」


幼稚だったあの頃ーー・・まだなにもわかってないあの頃。


キルの母ミレイはキルを追いかけ、かばい死んでしまった。


セイ先輩:顔を知らない俺よりも・・・・


困った先輩「・・・・そ、そうなんだ。」


困った先輩:目の前で死なれたほうが何倍も辛いよな・・・


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