現実世界・・アガナのプログラムから帰ってきた。
私は艦長に呼ばれていた。


「ベルシナ君、彼は目で見て覚えるんだ。

主人の笑みを覚えないと」


あ・・・


「分かってます。」


「レベル1は笑顔だったね?

その顔を覚えれば他の表情でも覚えることが出来るが・・

それまではそあの方を主人と認める訓練だからね?」


でも・・笑ってくれない。アガナと名前をつけて、もう1週間・・・


「あ、そういえば先輩。なぜレベル1が笑顔なんですか?」


プログラム管理中のジョーカーが話しかけてきた。


「それはね・・笑顔が好き・・だからだよ。」


とベルシナは笑って答えた。


「好き、だからですか。」


「・・・いいじゃない。決められるんだから・・・。」


あのヒトの笑顔で私はーー・・・・
この宇宙船は1年かけて1つ1つの惑星を回る。
私の居た惑星もそんな時に来た。私の惑星は滅び、生き残ったのは・・
私、1人だけ?いや、見つかったのは私だけなのかな?
だってーーー・・・


「アガナ、おはよ。」


「おはようございます。」


「・・・ございますは、いらないって~」


「駄目です。」


笑顔でそう言うけど彼は笑顔で返さない。
君が「あのヒト」に似てるからー・・似てる?いや、似すぎてる・・・


「先輩、今日も駄目でしたね。
そうだ、気分転換に船内喫茶店行きましょうよ?」


と、外から話しかけてくるジョーカー。そこに・・・・・
キイノがやって、こう言った。


「それってデート?」


その言葉にジョーカーとベルシナはびっくりし、反応して同時に


『デート!?』


と、言ってしまった。


「するんですか?」


ベルシナのその声にピクリとアガナは反応し、そう言った。


「僕と。」


アガナは自分に指を指し答えた。

え・・・


「違うんですか?」


彼には外の声は聞こえていない・・


「まだ・・起動してないし。」


「では、外の方とデートですか?

相手の方に早く会ってみたいですね。」


え・・・・?
彼の研究部に配属される1ヶ月くらいは「あのヒト」の事をおもい
悲しみをこらえていた・・・


「先輩、元気になりましたよね。
最初、会った時とまったく違いますもん。」


「誰のおかげかしら?」


ジョーカーとキイノはそう言ってきた
ーーーー・・・もうすぐ次の惑星・・・
ベルシナは1人でワープ管理に来ていた。


「ちゃんと、このワープ管理をしっかり整備しなきゃ・・・。
このアイスレンズなきゃ何も出来ないよね・・・・」


アイスレンズ・・彼のデータベースが入ったサングラスのようなモノ
これを使用しなきゃベルシナは彼の心、彼のプログラム内に入れない。
彼のアイスレンズはありえないほどのメガサイズ・・・・


「人間になったら天才的頭脳・・・だよね。」


本当、「あの人」に似てる・・・もう居ない分かってるのに
アガナ。あのロボットに会ってしまったのだろう・・・
忘れてしまいそうなだった君を「あの人」に重ねる・・・・
ーーー・・・その時戦艦が揺れた。


「ちょっ・・待って!今終わったばっかなのに・・
こんなとこで揺れたら・・・っ!!」


ベルシナの居る場所は揺れを感知すると緊急でドアがしまってしまう。
中からは絶対開かないのだ・・・。


「ふー・・やっと止まった。」


「ってジョー!先輩のいるとこって、揺れると・・・っ。」


『助ける・・・・・』


その言葉が何処かから聞こえた


「呼んだ?」


「え、呼んでないって?」


「じゃあ・・・・。」


キイノは見渡すと、起動出来なく、

眠っているはずの彼アガナが煙とともに起き上がり


「ベルシナ・・・助ける。」


そう言って、ベルシナのいるワープ管理に歩いていった。