第13話
 10年の想い

景は公園のベンチに座り
ベンチの背もたれに頭をガンガンぶつけていた。
お前なんて完全に忘れてやる・・・っ!!


「どうしたの一体?」


そこに紀羅がやって来た。


「別にー何も・・・。」


「とか言いつつも また痛みつけてさーーー・・・。」


景は頭をぶつけるのを止め、下を向き


「俺・・・無理なのかな?」


ベンチから立ち上がり上を向きながら涙が出た
忘れることなんて・・・忘れようとしても思い出してしまうよ。
その涙をみた紀羅は、いつものくせでぽーとなる


「好き♡」


紀羅がキスしようとするの避けてきたけど
景は立ったままだった。避けようとしない・・・


「・・あれ?いつも避けるのに・・しても、いいの?」


涙が止まらない景。
姫との思い出を頭の中で振り返っていた。

「どうせ、零の変わりだろ?したきゃすれば、何処でも・・。」

「本当に・・?」


その言葉にドキっとする紀羅


「いんだよ、口でも・・・。」


景はそでで涙を拭き、そう言った。


「どうして?おかしいよ景君?」


涙が止まった彼をじーーーと見る紀羅


「なに?」


今頃、賭け通り姫は零に自分からキス・・・してる
本当に終わりだ・・・
紀羅は察した、彼の想い。
なぜ景君だけが彼女作らない理由

「なんで気づかなかったんだろう。いつも3人だった
零君と景君とあの子・・・。でもあのコは零君が好き。」

そう、紀羅の言うとおり・・・・・


「零君も。だから、両思いー・・取り残された景君。」


俺だけ、あの時から 仲間はずれだった・・・


「でもあのコは引っ越してしまった・・・2人を残して。
零君は忘れるために私と付き合ったーー・・・」


そう、零が2番目の彼女を作ったのは姫が引っ越してすぐだった
姫はどーでもいいのかよってケンカして、俺ばっか怪我して・・


「景君は自分を傷つけあのコを忘れようとした・・・。」


そう、姫が零と付き合った あの時から
俺は気づかないうちに、無茶し始めていた・・・


「好きなんでしょ」


誰にも悟られたくない この気持ちを隠したくて無茶してた
でも、言いたくなった・・・・。

「子供の頃から、ずっと・・。」

紀羅だけには言いたくなった・・・。


「うん。」


真っ赤になって、景はそう答えた。


「こっちに戻ってきたあのコは 零君のこと忘れなくて
まだ好きだったんだ。」


「うん。」


まだ好きって知ったときショックだった。


「でも、優しい景君は女が居てもくっつけようとしてたんだ・・・
好きな子の幸せを願ってーーー・・・・。」


「うん。」


姫の為に彼女は女友達って嘘付いた。


「そして、2人はよりを戻した。
それでも君は好きで忘れられなかった。」


零も俺と同じ・・忘れていなかった。
姫への気持ち。姫が好きって気持ち・・・ 10年そう思ってきた。

好きの気持ちは双子とも変わらない・・・


「景君・・。」


「なに?」


「どうしておかしいのか、分かったよ。」


始めてあったときから、ずっと・・君はこうしてきた
姫を、好きな人を忘れるために


「心も傷つけようとしてたんだ。好きなのに、大好きなのに。」


紀羅は景の胸に飛び込みそう言った


「俺・・・アイツに嫌いって言ったんだ・・。
忘れようと思って言ってしまったんだ。」

「景君・・・私が忘れさせてあげるから・・・。」

もう、心も体も傷つけるの止めて。


「紀羅・・・。」


その優しい言葉に心が折れた。
収まった涙がまた、出てきたのだ。
景は紀羅の顔に手を当てたーー・・・


「え?」

ヒトが悲しいとき、心はもろく すぐにくずれてしまう・・・

「俺・・・。」

そして、ヒトの優しさを知ったとき
俺はとんでもない事をしていた。