第7話
 お泊り

3人は私服に着替えていたが、景の右腕の血は止まらない。


「傷深いのよ・・たく無茶しちゃって。」


と、双子の母たちが言う。


「姫、あなたは心配しなくていいのよ?」


「でも・・。」


と、2人を見つめる姫。


「何?」


「ん?」

「私、決めた!今日、3人で寝よう!!」

「ちょ、姫!?」


と、姫の母は止めるが・・・


『!!』


その姫の言葉にドキんと双子の2人


「おばさんたちは母さんともう、1つの部屋ね!」


そう、2つ部屋をとっていたのだ。それぞれの家族の部屋。
ドキドキとあわてる2人


「あ、姫?」


と、景。イヤ、それはマズイだろ!


「まだ、風呂入って・・・ないし・・・っ」


と、零。風呂とかの問題じゃねーけども!!


「風呂?じゃあ、入って来るね?」


「駄目だな、景。ありゃあ・・・。」


中学3年の俺らだぞ・・どんだけ・・・・


「ささ、出ってて。何も心配しないでよ。」


と、姫は親たちを追い出してしまった。
かぽーーん。姫は風呂に入り中。
その頃の2人はというと


「本当に3人で寝るわけ?」


と、布団に転がりながら言う景


「さ、さぁ・・?」


と、自分の布団の上に座りながら言う零。


「ってなんで姫が中央?
俺、零の隣がいい!零が中央!」


川の字にならんでる布団。枕が上として中央が姫、
右に零、左に景の布団が引かれたのである。


「って言われても、景。風呂行く時、言われたんだもんよー!」


その時、姫が部屋に帰ってきた。


「おまたせー。さ、寝よっか?」


ほかほかの風呂上りの姫に2人はドキっとした。
景はいきおいあまって頭をまくらにポフっと落ちた。


「え、なあに?」


「その下・・来てるよね、姫・・。」


と、後ろに下がりながら言う零。


「当たり前じゃん・・?」

そして、電気を消し、お休みタイムへ・・・
数分後、彼女は天井を見上げた体勢で寝てしまった。
2人はと言うと、彼女が寝てる逆の方向を向いて寝ていた。
どうしよ・・マジで寝ちゃってるんだけど。と零は思う。
こっち向くと痛くて寝れない・・。と景は思う。


だが、双子は起きていた。
大好きな女の子と一緒に寝てるんだから。
景は腕が痛くて布団から起き上がり、
ベランダに出てベランダにあった、椅子に座っていた。


「血、布団に付くつーの。包帯かえよっと・・・。」


と、包帯を解く彼。


「月か・・・。」


ーーー・・姫は目が覚め、布団から起き上がっていた。
そして、ベランダにいる景に気づいた。
近いようで遠い月・・まるで俺と君の距離・・・

「届きそうなのにな・・・月に・・・。」


姫はそんな悲しそうな彼を窓越しに声をかけずに見ていた。


「俺、何やってるんだろ・・どうせ見てくれないのに月は・・。」


ジワりと涙が出る。景はその涙を逆の手で拭く。


「包帯かえたら、ねよ・・あ、傷のとこ行ってねーっ」


ボロボロに巻かれた包帯。肝心なところに行ってなかった。


「あ~もう!・・・は~・・。・・・・。」


彼は自分を見てる姫に気づいた。


「姫・・わりぃ。起こしちまったか・・。」


ボロボロに巻かれた包帯を隠しながらニコりと笑い、そう言った。


「ううん。・・・そっち行っていい?」


悲しそう顔してたのに・・・・・どうして・・・笑うの?


「うん?な、なんで?」


「包帯。私が巻いてあげるよ。私のせいだし・・。」


「あ、いや・・自分で・・っ」


と慌てて自分で巻こうとする景。
だけど、彼女は勝手にほどき、巻いていった。