やっぱりココは昔落ちた井戸の近くであった。


「ってせめーし、すわれねぇよ。
上にスティックも板もあるから気が付くだろーけど。」


もうちょっと、ここに居たいなーんて。こんなに密着して・・・


「あの・・・景君。」


「な、なに?」


「下半身当たってる!ってか、くっつきすぎ!」


「ごめっ!」


赤くなって言ってる彼女に俺も離れる。


「どうせなら前向こうよ・・?私、向くよ?」


俺の目の前には彼女の後ろ姿。前向くって事は・・
顔、近いわけで・・・


「だ、だめだって!」


景は首をふるが、彼女は体を動かし、景の方を向く。


「だ、・・・駄目だって。」


と、景は体を動かし、景から避けた。


「あ、ちょっ・・前向いてってば・・・・・。」

姫は俺の事なんとも思ってないからそんなこと言えるんだ!
好きな人と暗い闇の底で
こんなに近くにいたら理性が飛ぶ・・っ


「景く~~ん。」


と、彼女が景の耳に吹きかける。景はビックリして
はなれようとしたが、井戸の壁に頭をぶつけてしまった。


「いっ!」


「景君?平気・・?」


景は痛くてしゃがんでしまったが。


「足、のっけて・・たぶん届く。」


彼はゴーグルをつけ、彼女の方を向き、そう言った。


「血・・出てるよ?」


「・・・。」

無理、無理、これ以上居たら・・
俺の気持ち分かってしまうから・・
姫が景の足を使いよじ登ると、そこには零が居た。


「あ、零君。」


「姫・・。探したぞ?景も探してるんだけど。」


と、手を伸ばし、姫を井戸から救いあげる


「景君なら・・・この下。」


「え!?」


零は2人一緒にこの井戸の中に居た事にびっくりしてた。
彼が井戸の中を覗くとそこには景がいた。


「おい、景~?」


「零・・?」


声に気づき、景は上に向かって左手をを振った


「俺、平気だから。気にしないで。」


零は縄を下ろしながらこう言った。


「お前、血・・出てるぞ?」


あったんだ・・縄。


「あ、いや。ひたいならいつもの事で・・。」


いつもの事っておかしいけど、な。


「ひたいじゃねーよ 腕!」


景が右腕を見ると、
そこにはスーツの上からでも分かるような
血がジワりと出ていた。いつのまに・・・・?


「景君、落ちた時に私をかばって・・・。
何で、言ってくれなかったの?」


マジ・・いてーんだけど。いつ、ぶつけたんだ?
どおりで君を上げたとき、右手が痛かったわけだ・・。