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ラグカフェ編集部の取材メモ

ラグビースタジアム専用マガジン『ラグビーカフェ』
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パリでは100年ぶりのオリンピックが開幕した。

 

26日の開会式に先だち、24日から7人制ラグビー男子の試合がスタートし、開会式を挟んで27日に3日間の全ての試合を終えた。サンドニ、スタッド・ド・フランスでの雨の最終日は、コンディションの悪いなか熱戦が繰り広げられ、メダルにかける各国の熱意が伝わってきた。

 

12チームが出場し、開催国フランスが先月のワールドシリーズグランドファイナルに続き優勝、オリンピックでは初のメダルを獲得。今シーズンは15人制のスター、アントワーヌ・デュポンを投入し、デュポンの大活躍はもちろんのこと、それによって個々のポテンシャルが引き出されチームが仕上がっていく様子は、見ていて気持ちがいいほどだった。そして自国開催のオリンピックにピタリと合わせ結果を出した組織力は見事だ。

3大会連続の金メダルを目指したフィジーは銀、チーム立て直しが間に合わず最終予選から這い上がってきた南アフリカがリオと同じ銅、日本は12位と最下位で終えた。

 

 

開幕前の7月8日、都内で「パリ2024オリンピック競技7人制ラグビー男女日本代表記者会見&セブンズ日本代表新ジャージー発表会」が行われた(詳しい内容については、こちらの記事をご覧ください「サクラ、サムライ、パリへ。」)。

日本は男女ともに3大会連続でオリンピック出場を決め、今大会は“メダルを獲りにいく”ことが目標として掲げられたが、男子についてはそれは叶わなかった。

 

一方、女子の試合は日本時間の今夜からスタートし、30日まで行われる。鈴木貴士HCは先日の記者会見で、最終メンバーのセレクションポリシーについて「着任以来の3年間、立つ、動く、戦う、この3つにこだわってきた。それを体現できる選手、そして、ワールドシリーズを通して世界を相手に戦える選手を選んだ」と話した。

ラグビーカフェではサクラセブンズの取材も続けてきたが、ぜひメンバー入りできなかった選手たちの想いもプレーにぶつけてほしい。

 

記者会見当日、時間は限られていたが、選手たちに話を聞くことができた。

 

 

まず、水谷咲良選手

「ラグビーを始めたときから目標にしていたオリンピックという舞台に出られることをまず楽しみながら、かつ自分の強みを出してチームの目標であるメダル獲得に向けて頑張りたいです。自分の強みは、ショートに走り込んで縦に強く走ること、モメンタムをつくってチームに勢いを与えるようなプレースタイル。ワールドシリーズは2年目で、海外の強い選手と戦えたことはすごくいい経験になりました。いままでに出た課題を改善しながら、自分たちの強みをもっと出して、いい結果につながればいいなと。たぶん緊張すると思うけど、その緊張を楽しみにかえて頑張りたいです。オリンピックで必ずメダルを獲得するので、ぜひ応援よろしくお願いいたします!」

 

 

 

取材を続けてきた、原わか花選手。この日はひときわ多くの記者たちに囲まれていた。私たちはマドリードで聞いていたが、このたび情報解禁となり、オリンピック後の8月末に結婚することをこの場で発表した。

オリンピックを目前にして、「この日を楽しみにしていたし、この日を迎えられたことを嬉しく思います。この気持ちを忘れずにパリの舞台に持っていって、皆さんに感謝を届けられるプレーがしたい。婚約者も含め、いろんな人の支えがあってこの日を迎えられているので、感謝しながら日々過ごしていきたいです」。私からの「パリでもハラちゃんスマイル、見せてください」の声かけには「見せられるように頑張ります!!」と元気に答えた。

 

 

 

鈴木HCから今大会の注目選手として名前が上がった、大谷芽生選手。

「東京オリンピックは悔しい結果で終えたので、今回はメダル獲得して多くの人に喜んでいただけるように頑張りたいです。アタックもディフェンスも勢いのあるプレーが自分の強みなので、そういうプレーでチームを勢いづけたりチャンスに変えたりして勝ちに繋げていきたいです」

 

 

 

キャプテンの平野優芽選手。

「東京で悔しい思いをして、この3年間みんなでサクラセブンズの価値や、もう一度強いサクラセブンズをみんなでつくるために頑張ってきたので、いまは自信があるし、それをパリで披露できるのがすごく楽しみです」。

マドリードでは、選手層も厚くこれまでで一番強いサクラセブンズ、と話してくれていた。「自信はあるけど、ただ、メダルを狙える位置では戦っていないので、ここから最後、初戦を迎えるまでの準備がすごく大事になると思う。初戦まで1日1日しっかりと準備をして、本番を迎えたいです。チームとしては、パリオリンピックでのメダル獲得を目標に頑張っているので、その目標を達成できるように頑張ることと、サクラセブンズらしいひたむきなプレーを皆さんに見ていただいて、からだの小さい日本人でも世界を相手に戦えるということをお届けできるように頑張りたいです」

 

 

 

続いて、梶木真凜選手。

「東京からの3年間でメンバーも変わって、戦術も変わってきたので、そこをしっかり体現してパリオリンピックでメダルを獲れるように頑張りたいと思います。いまのチームは、一人ひとりの個性があるところが強みだと思う。足の速い選手、縦の強い選手、仕掛けのうまい選手。いろんな個性を持った選手がいるので、そこがチームのおもしろいところです。ワールドシリーズでは一戦一戦たたかううちに、一人ひとりが自分の通用する点を知ることができて、そこをうまく活かせるようになってきたと思う。パリオリンピックで満開の桜を咲かせられるように、全力で悔いなく頑張ってきます」

 

 

 

オリンピック初出場の三枝千晃選手。

「FWなので強く激しくプレーして、チームに貢献したいと思います。ボールキャリーが強みですし、セットプレーの安定という部分と、接点で勝ってチームに勢いを与えられるようなプレーがしたいです。ワールドシリーズで経験できたことをオリンピックにつなげたいと思ってます。応援よろしくお願いします」

 

 

 

最後に、堤ほの花選手。

「パリオリンピックでは、自分の得意なスピードや緩急をつかったステップでトライを獲ることと、ディフェンスでしっかり体を張りたいと思っています。チーム全員で戦い抜きたいと思うので、応援よろしくお願いします。トライ後にはお花のポーズをやるので、皆さん見ていてください!笑」

 

 

 

選手たちにインタビューしてから、今日でちょうど20日。この3週間ほどのあいだにさらに成長していることを期待したい。

 

女子のプール戦は今夜、日本時間28日22時30分からスタートする。プールCの日本は、初戦の相手がアメリカで23時30分KO。2試合目は開催国フランスで、日をまたいで29日午前3時30分KO。同組ブラジルとの対戦は、29日22時KOとなっている。グループで上位2位までに入ればメダルをかけたトーナメント進出が確定、3位でも勝敗や得失点差で進出の可能性がある。

 

前回大会で銀メダルのフランスとの対戦は、男子とのダブル優勝の可能性も相まってスタジアム全体がフランス一色となり完全アウェーの雰囲気での試合が予想される。メダル獲得という目標と理想を掲げつつも、自分たちの現在の世界での位置を自覚し冷静に見極めている平野キャプテンの言葉は印象的だ。7万人を収容するスタジアムで、最下位に沈んだ東京オリンピックの屈辱を晴らすことができるか。日本以外にも世界の強豪国のプレーもぜひ楽しんでいただきたい。いよいよ、熱い3日間の幕が上がる。

 

(夏)