ナショナル・ストーリー・プロジェクト | RUBYBIRD

ナショナル・ストーリー・プロジェクト

PowerBookが無事、帰還しました。
保証期間とっくに過ぎていたのですが、appleは見積もりの手間を省くためか
大体の修理は一律5万円でできるみたいです。
2年くらい前にバッテリーに不具合が出たときは見送ったのですが、
今回はバッテリー・DVDドライブ・air macを総とっかえしたのでむしろ割安なのでした。

初期化されてまっさらな状態で帰ってきたので、
ソフトウェアやら、データやら、一から入れ直すのは結構タイヘンやあせる
しかもitunesのバックアップを失念したので、ipodから吸い上げるのも一苦労。


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前フリが長くなりましたが。
ダウンロード中の待ち時間に読み始めて、止まらなくなった本。
ポール・オースターは特別好きという訳ではないのだども、
訳者が柴田元幸さん(他)というところで触手が伸び。

実際この本は、ポール・オースターの著作ではなく、
彼がラジオ番組でリスナーから「物語」を募集して、そのなかからよりすぐりの物語を編集した、
というちょっと変わった本。

巻頭にある、オースターが全米に募った「物語」の条件はこうです。


 物語は事実でなければならず、短くないといけませんが、
 内容やスタイルに関しては何ら制限はありません。
 私が何より惹かれるのは、世界とはこういうものだという私たちの予想をくつがえす物語であり、
 私たちの家族の歴史のなか、私たちの心や体、私たちの魂のなかで働いている
 神秘にして知りがたいさまざまな力を明かしてくれる逸話なのです。
 言いかえれば、作り話のように聞こえる実話。
 大きな事柄でもいいし小さな事柄でもいいし、悲劇的な話、喜劇的な話、
 とにかく紙に書きつけたいという気になるほど大切に思えた体験なら何でもいいのです。



上手な作家さんの小説のような、洞察の深さとか、筋の巧妙さなどはないのだけど、
とても率直で、それが実際に起こったことだけの生々しさがあって、なるほどとてもラジオ的。
一話一話はとても短く、10行に満たないものもあるくらいだけども、
そのぶんリズムよく次々読み進められるのも小気味いい。

そしてこれらのお話を投稿したアメリカの一般の人々が
こんな、すこし不思議で、甘くも苦くもある体験をそれぞれ持っているというのが
面白くうらやましい気がしました。


なかなかこれを置いてる本屋がないのですが、
次見つけたら、必ず続編の「Ⅱ」を手に入れたいと思います。


ナショナル・ストーリー・プロジェクト
文春文庫
ポール・オースター編

(明日からは旅行の写真を上げていきます。)