明治時代になり日本は近代化の道を歩む事になったが、女性の社会的地位は驚くほど後退した。

その象徴が明治民法であり、ここでは妻は『無能者』とされている。
江戸時代まで日本はもともと母系社会である為か、女性は貴重な労働力であり、しかも子供を産むわけだから社会において重要な地位を占めていた。
江戸時代にはいり儒教の影響で武家社会では建て前としての男尊女卑はあったが法律で明確に男尊女卑が規定される明治時代が、じつは日本の発展をもたらした明としての面と同時に個の自立を奪い、女性を家庭に押し込んだ暗の面とを合わせ持つ時代であるとの認識が必要だと思う。

何故明治政府は女性を家庭に押し込んだのだろうか?

わたしの考えではやはり時代の制約だと考える。
富国強兵を実現せねば世界の中で重要な地位は占められない、下手をすればインドや清国のように欧米列強に国土を占領されてしまうかもしれない時代だ。

女性を家庭に押し込んだのは男を労働力と兵隊としての役割に特化させると同時に、人口を増やす為に女性に子供を産む事に特化させる狙いがあったのではないだろうか?

江戸時代の日本の人口は2500万人~3000万人ほどで定常化していた。

平和だった事と米価の江戸時代を通じた値下がり傾向を考えると人口が増えなかった原因は近代医学未発達や衛生上の理由からの伝染病により新生児の死亡率の高さと、女性の社会での活躍による晩婚化で少子化が進んでいたのが原因であろう。


近代化で西洋医学取り入れと衛生上の改善、そして女性の家庭への押し込みにより、人口は明治時代に江戸時代の倍になった。
労働力と兵隊を手に入れる代わりに、女性の社会的地位と日本全体として個の自立がうしなわれ、この時代に日本人が本来もっていた国民性が個人主義から集団主義やがて全体主義の受け入れを容易にする土壌を作ってしまっていたのではないだろうか?

そして日本は破滅的な戦争に突入するわけだ。