デフレ圧力と価格の粘着性

デフレになると一律に物価が下がると考えている方がいたら、いまのうちに考えを修正しておいた方がよい。

実際にはデフレといわれても物やサービスの下落は一様ではないし、場合によっては値上がりしてる品目もある(医療サービスなど)。

では、デフレではないのか?

マネタリーな要因(お金の供給不足)からデフレになるとの厳密な定義しか受け付けないなら、そうかもしれないが、大切なのは物価の下落が現実に起きており、それ自体が如何なる理由で発生したものであれ、長期的には良くない事にはかわりはない。

今週の週刊ダイアモンドに東大の岩本教授のインタビュー記事の中で興味深い指摘があった。

失われた20年とよく言われるが、実際にずっとデフレだったわけではない。

2008年度のコアコアCPI上昇率でデフレ脱却を確認出来た。しかしそれは僅か0.数%の上昇でしかなかった。

リーマンショック以前、日本を巡る環境はかなりインフレに有利だった。

小泉改革による規制緩和と円安、新興国の成長とアメリカのバブル景気に世界的な資源インフレ。
有効求人倍率は1を超えた時期もあった。
今とは全く状態が違う。

にも関わらずコアコアCPI上昇率は1%以下とだったのである。

これは日本のデフレ圧力の原因がマネタリーな要因からではなく、構造的な問題によるものであると考えるのが自然だろう。
景気がいい時期にも期待インフレ率が高まらなかった。

しかしわたしはそれでデフレは解消に向かうとみている。

だだし前提条件として人口の減少を考慮にはいれないのでわたしの本音とは違うのだが。

さて、実際に何の価格が下落しているのだろうか?

個別の事情を完全に無視して、代表的な物をピックアップすると、なんといっても家電、家具などの耐久消費財、とりわけテレビ、パソコンが象徴的であろう。
サービス部門だと教養、娯楽費となる。

じつはこれらには明確な共通点があるのだが、続きは後ほど。