メドヴェージェヴァ選手など、たくさんの優秀な選手を指導するエテーリ・トゥトゥベリーゼコーチのインタビューです。

(ガーナ祭りの中、こんなことしてる私って一体何なんでしょうね・・。長いので!お時間ある時にどうぞ)

 

エテーリ・トゥトゥベリーゼ「私は生徒に恵まれている」

2016 8月23日

http://www.fsrussia.ru/intervyu/2288-eteri-tutberidze-mne-povezlo-s-uchenikami.html

 

 

今週フランスでは、エテーリ・トゥトゥベリーゼの生徒たちが参加する、ジュニアグランプリシリーズの最初の試合が行われる。 (もう終わってますが)

シーズンへの準備、スケーターたちとコーチたち、チームの仕事仲間、新しいプログラム、「スター病」とコーチの成功について、エテーリ・トゥトゥベリーゼのインタビューでどうぞ。

 

--エテーリ・ゲオルギーエブナ(トゥトウベリーゼ)、ジュニアグランプリシリーズに参加するジュニア選手から始めましょう。

 

イリヤ・スキルダ

Sp https://youtu.be/-kPrPcxZJiY  Lp https://youtu.be/sFSNH151pS8

(GPS フランス杯2位)

--最初の試合に行くのはアリーナ・ザギトヴァとイリヤ・スキルダです。イリヤは私たちのところで5年ほど練習しています。≪サコーリコフ≫(ハヤブサ・鷹の訓練所)のセルゲイ・ノビツコフのところから来ました。

この時、スケーターにはジャンプに問題があり、私たちはこれを克服しました。体重、力強さが足りないうちは、まだトリプルアクセルはやりませんが、これは改善されます。

でも、彼は面白い、軽々とした滑りがあるので、その技術的武器を揃えていることを含め、スキルダは観客やジャッジに気に入られていると思います。 イシューシャ(イリヤ)はただ音楽に合わせてエレメントをやるだけではなく、観客をひきつけ、観客の注目を自分に引き寄せながら、氷の上でストーリーを語ります。私たちはスケーターを”西洋の見本のスケーター”に変貌させたいと強く思っています。--ただ跳んで、回転しているだけでなく、滑るスケーターに。私たちがやっているのは、フィギュアスケートなのだから。

さらに昨シーズンの終わりにはイリヤをグランプリシリーズの最初の試合に出演させようと計画しました。実際スケーターは十分にうまく準備ができましたが、シーズンの最初にうまく準備ができると確信していたからではありません。その基本的な理由は、4回転やトリプルアクセルを跳ぶ選手たちはもっと年上で、ふつうもう少し後にコンディションを整えるし、力の配分を理解して、彼らが準備をしている間に、私たちは競争できると思ったのです。

 

 

 

アリーナ・ザギトヴァ

Sp https://youtu.be/DAze1hwqeb8 Lp https://youtu.be/DAze1hwqeb8

(GPS フランス杯 1位)

 

さらにもう一人、グランプリに出る私たちの生徒は、アリーナ・ザギトヴァです。彼女を新参者と呼ぶことはできません。彼女は私たちのところで1年半滑っています。 誰もが最初は滑らかにとはいかないものです。アリーナが現れてから3か月後、私は彼女を追いだしましたが、その後戻らせました。

追い出したのは、私にとって重要なのは、スケーター自身が練習するということで、アリーナは私たちのトレーニングのシステムをちょっと理解してなかったのです。そこでは誰かが誰かにはっぱをかけることはなく、練習させることもなく、叫ぶこともないということを・・・

新しいコーチのところへ移って、誰もがすぐに改革できるわけではないとわかっています。 ここで大事なのは-練習したいのか、したくないのかという気持ちです。

アリーナはイジェーフスクから私たちのところへ来ました。彼女には少し試合の経験があり、必然的にモチベーションもありました。でもこの女の子はすばやく成長しました。今彼女はフリープログラムで披露する、ルッツ、ループの難しいコンビネーションをもっています。 すべてのジャンプ要素はプログラムの後半にあるので、ザキトヴァの技術的な構成はとても強いものです。 ”飛び移る”のはスケーターはトリプルアクセルか4回転を獲得してからです。 これについてプログラムはバランスが取れていて、エレメントで満たされ、音楽的で、速いテンポで演技されます。 アリーナがどう乗り切るか見てみましょう。

重要な課題は-精神を保ち、昨シーズンそうだったように、試合の前に”モチベーションをあげすぎないこと” でもアリーナがグランプリシリーズでどのように演技しようとも、私たちは練習を続けます。 グランプリシリーズへのデビュー、これは選手としての成長の一段階にすぎません。

 

--(8月上旬に行われたジュニアの)テストスケートにはあなたの他の生徒達が参加しています。-アレクセイ・エラホフとダーシャ・パネンコフです。

 

アレクセイ・エラホフ

 

--レーシャ(アレクセイ)・ エラホフは私たちのグループで長く滑っていますが、怪我と病気のために多く欠場しています。最初は鼠蹊部に手術をし、その後 骨盤と大腿骨を結ぶ股関節を怪我して、3か月入院していました。次に心拍曲線に反映される、心臓の年齢的問題が起きました。医者たちは総じて青年にスポーツすることを禁じました。それで私はあえてエラホフを合宿に連れていきませんでした。大事をとったのです。セルゲイ・グリンコフとの悲劇的な出来事が記憶に浮かんだからです。レーシャが少し考えるように説得し、スポーツで人生が終わるのではないこと、時間が経てば彼がいいコーチになれることを納得させました。彼は耳を傾け、うなずきましたが、ちょうど病院での検査が終わると、医師たちはトレーニングすることを許可し、そうしてリンクに戻ったのです。 彼は意志の強い、目標を持った青年です。2つの4回転を跳びます。でも多くの時間を失ったため、ジャンプとスケーティングにバランスがとれていないところがあります。エラホフは日本でのグランプリシリーズに出場することを予定しています。 青年はとても努力していて、すべての助言を聞き、ミスを修正していますが、失ったものを取り戻すのに時間が必要です。

https://youtu.be/2klF6XyRSGE

 

(追記:エラホフ君グランプリシリーズ 新横浜で銅メダルおめでとー!記念に写真を貼ります)

 

ダーシャ・パネンコヴァ

 

ダーシャ・パネンコヴァは私たちのところで練習している女の子たちとは見た目は違っています。彼女は≪祈祷する≫ジャンプを持っている面白い選手です。3回転-3回転のコンビネーションは両腕を上に上げて跳びます。フリープログラムでは、すべてのジャンプエレメントを後半に跳びます。この女の子がシーズンに自分を見せることを願っています。

 

https://youtu.be/uaU52wsImTI

 

 

ポリーナ・ツルスカヤ

 

(2015年末ロシア選手権)

--(ジュニアのテストスケートが行われた)ノヴァゴルスクでポリーナ・ツルスカヤは滑りませんでした。彼女の回復はどうでしょうか?

 

--ポリーナはトレーニングをし、すべてのジャンプを跳び、新しいプログラムは準備できました。ポリーナはジュニア世界選手権へ出発する前日に怪我をし、そこで、試合を引き上げなければならないため、練習で怪我を悪化させました。 回復には長くかかりました。3か月走ったり、跳んだりは、何もしてはならなかったのです。

今は順調ですが、私たちは準備を急ぎません。いずれにせよ、ツルスカヤのレベルのスケーターは中くらいの滑りを見せることは出来ません。彼女は一番高い場所を目指して出場し、闘わなくてはいけません。昨シーズン、ポリーナは到達しがたいところにいて、今彼女はすべてをやっています。

フリープログラムでは私たちは技術的により少ないエレメントの組み合わせに後退することはなく、後半には2つの3回転-3回転のコンビネーションを含む6つのジャンプエレメントがあります。でもプログラムは軽々と滑るべきで、怪我のために私たちの計画は少しずれました。すべては機能的な準備にぶつかります。もしグランプリシリーズに間に合うなら、すべて見せます。間に合わなければ、もっと後に披露します。

ポリーナは夏に成長しました。このようなフレーズはポリーナのような背の高い選手には普通でないように聞こえますが。今、彼女の身長は170センチです。ポリーナの外見は出来上がり、美しくなり、さらに興味深くなり、完全に自分の体を感じています。彼女が”みにくいアヒルの子”に見えた合宿の時期があったけれど、私たちはこれを克服しました。

ポリーナは動きのセンスで魅了します。彼女のショートプログラムは傑作です。私たちはプログラムをダニール・グレイヘンガウズと共に振り付けました。彼女の課題は-すべてをミスなく滑ることです。

 

 

--プログラムについて簡単に話してもらえませんか?

 

--ショートプログラムの音楽は≪ゲーム オブ スローンズ≫(Game of Thrones))のシリーズからで、スケーターがリンクの上で物語っていることに間接的に関係しています。これは芸術家についてのストーリーで、彼女は絵を描いているが、一つとして気に入るものはなかった。彼女は苦しみ、意欲を奮い立たせ、探求し、突然自分を描き始める。絵は”私は理想を知った”という言葉がそえてあるほど魅了し、彼女は自分の作品を台なしにする・・・

フリープログラムは愛について。私たちはとても面白い始まりを考え付きました。カメラに向かって背を向けて立っている誰かが後に続いてくるように呼びかけながら腕を伸ばす、”I follow you”(あなたについていく)というテーマでの写真や自撮りが今流行っています。

まさにこんな風にポリーナのフリープログラムは始まるのです。そして・・・愛。彼女は去り、彼は彼女を取り戻し、彼女は彼について行く・・・

 

--面白いストーリーです。ジェーニャ・メドヴェージェヴァには何を振りつけたのでしょう?

 

エブゲーニヤ・メドベージェヴァ

 

--ジェーニャにはイリヤ・アベルブフが振り付けました。昨シーズンのプログラムはとても成功をもたらし、私たちは新しいものを昨シーズンより悪くならないよう作りたいと思いました。振付師にとってこれはしばしば非現実的で難しい課題で、練習の過程では、私たちにもあった疑いが皆を襲いました。でもジェーニャは彼女に提案されたすべてをやり、試し、形になってきました・・・ ショートプログラムを最初のトライアルから作りました。これは前にあったものとは異なっていても、ジェーニャのスタイルです。プログラムを一つ振り付けましたが、音楽がまったく気に入らず、疑い始めました。結果としてすべてを変えました。スタイルも、ストーリーも、音楽も。新しいプログラムは大きな感銘を与え、普通ではないものです。でもこれについてはジェーニャとイリヤ・アベルブフ自身に語ってもらいましょう。

 

--昨シーズンメドヴェージェヴァには大きな成功がありました。彼女はヨーロッパ選手権、世界選手権を含むすべての試合に勝ち 、一度ならず世界記録を更新しました。でもそれによって皆に「スター病」が襲うわけではないんですね。

 

--正直、そのような「スター病」はスポーツにはあるとよく理解しています。その時勝利し、表彰台に上がり、立って、喜んでいる。表彰台から降り、すべてはもう過去の事。新しい試合に向け準備が始まるからです。 もし、さらに結果を勝ち取りたいなら、何をもってより良くすべり、ライバルが何をもって積極的に準備を始めるか理解しなければなりません。ここからどこかへ行くことはないでしょう。

メドヴェージェヴァの才能は、彼女の練習熱心さ、スポーツの本質を理解していることにあります。柔軟性の才能がある人がいれば、別の人には傑出したジャンプの才能があり、3番目の人にはまた別の才能があります。 でもどんな才能も正しい方向性がなければ、簡単に失われてしまいます。ジェーニャにはこの方向性は常にあったし、残っています。

彼女は子供のころから、コーチによる批評というのはおそらく、あるべき、最も価値あるものだということを理解していました。

コーチはいつもほめるべきではありません。スケーターがメダルを獲得すれば、のちに他の人たちがほめるでしょう。 そしてコーチは誰よりも嬉しくなるでしょう。

こんなことわざがあります。「打つのはつまり愛している。」

この場合、どこか的を得ていますね。

いいえ、私は一度も生徒に手をあげたことはありませんでした。トゥトゥベリーゼはとても生徒にとても厳しい、というのは作り話です。

確かに私は言葉は厳しいかもしれません。でももし私が批判するなら、私にはどっちでもいいわけじゃないということです。もし黙っているなら、その方が悪いです。私が無関心だということですから。

 

 

ディアナ・トゥトゥベリーゼ

 

--あなたの娘、ディアナはアイスダンスを試みていますね。どうしてでしょう?

 

--ディアナは私の主導でダンスをしています。彼女は今、この先やるかどうか決めなければいけない年齢にきています。ディアナはペアでとても素晴らしくダンスをしていて、子供のころからいつもこれをやるのが好きだったんです。自分の素質を実現するために、これを氷の上にすべて移して試してみないってことがどうしてあるでしょう?これはコーチの仕事に役立っていて、職業経験の幅を広げてくれます。 初めディアナはデニス・ピチュジュキンとペアで滑っていました。彼は私のところでシングルとして滑っていました。その後ペアに移行し、のちにアイスダンスに。まだ彼らが私たちのリンクで練習している間は、条件がそれを許しています。ペアで彼らは美しく見え、いくつかの魅力的なダンスを習得しました。この先の課題は、基本的なダンスのエレメントを習得し、スケーティング、スピンを覚えること・・・どうなるか見てみましょう。

 

--スペシャリストのうち誰があなたのグループに入っていて、チームでの役割をどのように振り分けているのでしょう?

 

スペシャリストの役割分担

 

--私たちのチーム、これはセルゲイ・ドゥダコフ、ダニール・グレイヘンガウズ、振り付け師のリュドミーラ・シャラショワ、アレクセイ・ジェレズニャコフです。皆素晴らしい専門家であり、自分の活動のプロフェッショナルです。 私のグループでは、誰かがジャンプに対して答え、別の一人がスケーディングに対して答えるといった、はっきりとした仕事の割り振りがあるということはめったに耳にしません。

ダーニャ(ダニール)はそもそも観衆の人気者で、一方私は-映画監督!修正することはあり得ます。お互い耳を傾け、補足し、理解しようと努めています・・・

 

セルゲイ・ドゥダコフは私と長年仕事をしていて、たとえアジヤン・ピトケーエフのように生徒のうち誰かが去ったにしても、彼と私は多くの興味深いスケーターたちを育ててきました。

 

少なくともアジヤンは-私たちの”作品”で、このスケーターはいつも滑りやアクセントが際立っていました・・・まさにそのような性質をイリヤの中で発展させています・・・ セルゲイ・ドゥダコフは-驚くべきコーチで、落ち着きがあり、多くを語らず、とても信頼できる人で、このことは私たちも感じています。

 

ダーニャ・グレイヘンガウズは私たちと3シーズン一緒に仕事をしています。

どうにもならない状況がおこると、イリヤ・アベルブフが彼に助言します。あるシーズンの初め、私たちが信頼していた振付師が突然去ってしまいました。でも何一つ好転しませんでした。私たちにはダーニャがいて幸運でした。彼は面白い人で、内面は創作で満たされているのです。私たちと仕事をする間に、自分の能力を開き、雪のかたまりのようにそれを段々増やし、集めています。

最初の時期、私はグレイヘンガウズを助けていました。今は彼自身で多くのことができます。彼がアジヤン・ピトケーエフに振り付けた昨年のショートプログラムは、本当に傑作です。毎回私が見るたびに、鳥肌が立ち始めるかのように感じていました。今シーズンダーニャは驚くほど素晴らしいプログラムをイリヤ、アリーナ、その他のスケーター達に振り付けしました。ポリーナ・ツルスカヤについては話しませんが・・・ダーニャは他の人の意見を聞き、尊重することが出来、私たちは彼が一緒にいることが嬉しいのです。

 

--ほとんどすべてのあなたの生徒が”思春期”に入ったか、入っています。これに関して、練習をするのが楽になったかあるいは難しくなりましたか?

 

--本当のところ、私は生徒と問題は経験していません。すべての生徒は時には十分に厳しい私のユーモアを理解してくれます。もしドュエットをとりあげるならば、コーチ-選手、おそらく私は彼らにとって難しいでしょう。一方で生徒たち、彼らは素晴らしいです。

私は生徒たちに恵まれているんです。

 

文:オリガ・エルモーリナ

お写真お借りしています。動画からもスクリーンショットさせていただきました。

写真と動画のリンクは私が勝手に付け加えたものです。