「MILES AHEAD マイルス・デイヴィス空白の5年間」
ドン・チードル製作監督主演作。帝王マイルスが音楽活動を停止していた75年~80年
の空白の5年間を描く。
ドンさんは「ホテル・ルワンダ」「クラッシュ」というシリアスで良質な社会派映画にでており、本作も吹けない時期のマイルスの苦悩とか、ドラッグに溺れる様を映画にしたのかな~と思っていたら全然違った。
再起をかけた録音のマスターテープをヤクザまがいの音楽プロデューサーに盗まれ、奪還すべく銃をぶっ放し、カーチェイスありとマイルスが大立ち回りするアクション映画!!
史実には全くないエピソードを中心にまるで70年代の黒人映画のB級感あふれるバカっぽさで、超傑作サイコーの映画だった。
天才ジャズミュージシャンで喧嘩も強いって「嵐を呼ぶ男」かよw
あるいはプリンスが監督主演をつとめた「パープルレイン」など一連の自己満足映画のよう、、、
真面目なマイルスファンにはオススメできませんが、この超肥大化した自己満足映画はまさにマイルスそのものではないか!ってこれ褒めことばですw
肝心の音楽面では、今勢いのあるロバート・グラスパーが音楽監督を務めている。
空白の5年間とは「Get up with it」'74 「Agharta」'75 「Pangaea」'76
の後「The Man with the Horn」'81リリースまでの間だ。
個人的にこのロック期のマイルスを愛好するものとしては、いきなり「Agharta」で
始まるこの映画の冒頭は拍手喝采。
アクションシーンではファンクの「On the Corner」'72がホント70年代黒人映画の
雰囲気をだしていてすげえ良かった。
例の音源を聴く場面でなんとマイルはトランペットではなくオルガンを弾いてる、みんなはそれにがっくりくるんだけども休業前、「Get up with it」'74でもマイルスの
不気味なオルガンは聴けるし、結構味が合って良いと思うのでこの辺はもう少し丁寧に描写してほしかったな
ファッション面では忠実にマイルスっぽいド派手系を再現していてよかった。でもできれば実際にマイルスが着ていたアーストンボラージュの佐藤孝信がやってほしかったがまあ及第点
ラストで、ドンチードル扮するマイルスにバックはハンコック、ショーター、ロバート・グラスパー、、、と超豪華メンツの演奏シーンは虚構と現実が混ざり合ったカッコいいシーンだった。
正直お客さんの反応は微妙だったかもしれないけど、この映画は爆笑しながら楽しむ映画です!