【映画の感想】オーケストラ! | 謙虚なオラオラ\(^_^)/勝手にシンガー荒牧陽子サポーター

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音楽の力、音楽の奇跡を描いた作品は数多いが本作はそんな中でも最高レベル!

2009年にヒットした「オーケストラ!」(原題 Le concert)はクラシック好きだけでなくすべての音楽ファンは必見だとおもう

【まずはネタバレなしの感想】

監督はラデュ・ミヘイレアニュ

ブレジネフ時代のソ連では反ユダヤ政策がとられ、ボリショイ交響楽団のユダヤ系演奏家達が
排斥された。それに反発したのは天才指揮者アンドレイであったが、当局からの厳しい弾圧にあい
指揮者を降ろされ、劇場の清掃員にまで転落、、、30年が経った。時代は変わりソ連崩壊後も
かれの名誉は回復できていなかった。

ひょんなことから、パリから現ボリショイ交響楽団への公演依頼を密かに入手したアンドレイは、自分が成り済ましてそれを受けるというトンデモ大作戦を考えつく。
しかし資金や団員55名を集めなければいけない!!
かつて自分を落とし入れたKGBの幹部に協力を依頼。彼も良心の呵責か、時代の変化か、、この大作戦のマネジメントを引き受ける事になる。
演奏家達は、今や救急車の運転手、ロマの旅芸人、ポルノ映画のBGMなどクラシックからは
離れていたが、なんとか説得しかき集める。

ヴァイオリンのソリストだけは他界しており、誰にするのか??
アンドレイはパリで活躍中の若手天才、アンヌ=マリー・ジャケに要請する。

指揮者アンドレイ・フィリポフ役の、アレクセイ・グシュコブが渋い名演。そしてなによりも
美貌のヴァイオリニストアンヌ=マリー・ジャケ役のメラニー・ロランが溜め息のでそうなくらい美しい!!

指揮者アンドレイは、かつてチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を取り憑かれたように演奏していた。不遇の30年間も頭の中ではチャイコフスキーが鳴っていた。

この映画は涙腺崩壊間違いない、特にラスト20分の演奏シーンは圧巻の大感動!
個人的にも、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲は大好きで昔何度も繰り返し聴いていたんですよね~
特にお気に入りだったのはチョン・キョンファがヴァイオリンを弾いている盤。

そんな思い出もあって、ホントにラストは感動したっす

この映画は、冒頭に書いた通りすべての音楽ファンは必見の感動作。できればネタを知らずに
見て欲しいので、以下はこれから見る方は読まない方がいいかも

【以下ネタバレあり】

美貌のヴァイオリニストアンヌ=マリー・ジャケは両親を知らずにパリで育った。
実は彼女の母は旧ソ連ボリショイ交響楽団のユダヤ人ヴァイオリニストで、父も楽団員だったのだ。
夫婦は収容所に送られる寸前に、赤ちゃんのアンヌをアンドレイに託し、アンヌはパリで里親の元で育ったのだった。

ラストでチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を演奏する場面。30年のブランク、楽器も急に集めたもの、しかもリハもなし、、、では当然まとも音はでない。観客もガッカリ顔だ。
しかーし、アンヌが弾き始めた。その音はまさに30年前のあの音、彼女の母のヴァイオリンの音そのものだった。そして奇跡が起こる、メンバー達はかつての輝きを取り戻し、圧巻の演奏でスタンディングオベーションで終わる。




設定自体は映画ならではの大法螺&トンデモ大作戦でありツッコミどころは満載だ。ただそれを音楽の奇跡、パワーで押し切ってしまうような強さをこの映画は持っている。
また、ブレジネフによるユダヤ人演奏家排斥は史実のようであり、政治的メッセージとエンタメとのバランスもほどよい。

それと、クラシック音楽が主役のこの映画であるがロマのヴァイオリニストが実はクラシックを弾いても凄いというエピソードや、エンドロールではロマ風の曲が流れるなど音楽に高級/低級などはなく、普遍的な音楽愛にあふれている映画だった

*ただ、邦題の「オーケストラ!」はちょっと凡庸だなあ、原題の「Le Concert」のままでもよかったのでは、、