仕事で会う方々で良く思うんですが・・・

知的障害が軽くて福祉の谷間に落ちてしまう方々が一定数いらっしゃいます。


以前お会いした、30歳の軽度の知的障害の女性の方。

手帳を取得したのは28歳。

きっかけは、生活保護のケースワーカーさんのすすめでした。


私も、今、生活保護受給者の方の就労支援もしていますが、確かに、ご家族全員が知的障害ボーダーというケースによく会いします。

ケースワーカーさんが、きめ細かい人だったりいろいろ気づく人だと、障害者手帳取得を勧め、なんとか手帳所持者として就労に結びつくことがあるんですが・・・

結構、障害が軽いと社会性もそこそこあるので、生活保護を受給している以上、とにかく就職が優先となり条件の悪い、何も配慮のない劣悪な職場に就職をせざるを得なくなり、辛い思いをされている方もたくさんいらっしゃいます。


さて、上記の30歳の女性の方も・・・

中学を卒業して以来ほとんど家に引きこもっていました。

理由としては、彼女の下に5人次から次へと弟と妹が生まれたんですね。

ところが、お母さんが彼女よりさらに知的レベルは落ちるので、子育てがままならず。

彼女も当然兄弟の面倒を見る係に駆り出され・・・結局中学をでてからずーっと家にいました。


ただ、家はなんとか夫婦+子供6人で、当時は父親も仕事についていたので、生活保護世帯でもなく、また子供たち全員、多少発育の遅れは指摘されていましたが、虐待などもないので保健師さんがたまに訪問するくらいで、完全に福祉の範疇からはもれていました。

しかし、家の中はかなりゴミ屋敷になっていたし・・・

ご飯を作れる人はいないので、ほとんど離乳食も与えられることなく子供たちは育っていました。

そんな状態の中でお父さんが、病気で働けなくなり生活保護となったことがきっかけで、子供たちに徐々に支援の手が入りました。


しかし、当時もう20歳過ぎていた彼女には支援がなく・・・たまにきつい就労指導が入り就職はするんですが、職場でいじめれ退職する。

すると自信をなくし、引きこもり、でも生活保護なんでまた、就職するように言われ、なんとか清掃の仕事を得る。でも、またやめてしまいを繰り返して結局、さらに5年ほど引きこもっていました。

しかし、最後についたケースワーカーさんが親身に彼女の世帯にかかわってくれたことがきっかけで、療育手帳を取得されました。

その後、彼女は地元の授産所で働くようになり、もともと手先が器用だったのでとっても重宝がられ・・・

その授産所からの紹介で、次に就労継続施設に移り、さらに就労移行支援事業も使い最後には立派に就職されました。

ちなみに、今は大手の食品加工工場で正社員として働いており、月収もそこそこありすぐ下の弟も就職したので、生活保護ではなくしっかり生活しています。

今の夢は結婚だそうで・・・お相手はいるそうです。


このように、ちょっとした「適切な支援」が入れば自立できるのですが、支援を求める力がなくそのまま在宅になってしまっている方はかなり多くいらっしゃると思います。

特に、家族全員が知的障害域だが、ぎりぎり生活が成り立っていると福祉の谷間に落ちてしまいがちなんですよね。

そんなわけで、日々の仕事では・・・相談者だけでなく、その方のご家族状況、お子さんの状況などになるべくアンテナを張り巡らしています。


例えば・・・お母さんが就職の相談の面談にいっしょに連れてきたお嬢さん、とっても可愛いし問題ないと思っていたけど、よくよく聞くと、来年小学校に上がるとか。

それなのに、赤ちゃん言葉で理解力はかなり低い。背も4歳児くらい??

さらに、お母さんによく聞くと・・・歩き始めたのは2歳半くらいとか・・・

保健師さんからたまにいろいろ言われるけど意味がわからない←お母さんが意味がわかっていない。

なんで、別にそのままいつか成長は追いつくと思って、放っておいてある。

こんなケースの場合、やはりすぐに関係各所と連携をとって、なんとか「適切な支援」が入るようにしようと思うわけで・・・

なんで、そんなに私が慌てるかと言えば、上記の例のように、福祉の谷間に落ちてしまい引きこもってしまう軽度の知的障害者の方々にたくさんお会いするからです。


療育や母の会などにでてくるご家庭は、ちゃんと意識が高いので問題ないんですが・・・

SOSをだせずに、福祉の谷間に落ちてしまう軽度の知的障害の方が少しでも減ってくれることを願い、日々仕事をしています。


って、あと2日で産休ですが・・・



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