世の中には中々手が出ない商品というのがあって、その昔の私にとってのそれは「インスト曲のシングル盤」だった気がする。少ないこずかいの中から500~600円を出して買うレコードに歌が入ってなくてもいいのか、それは私にとってちょっとした問題であったのだ。
しかしそれが好きなテレビ番組のテーマ曲なら話は別だった。そこにハードルは一切なかった。こんなふうに。
なぜそこにハードルがなかったのか。映像に負けないパンチ力があっさり数百円の壁を突き破ったのだ。
けれどテレビに関係ない世界で鳴っていた曲にもやすやすとハードルを越えていったシングル盤が2枚だけあった。彼らはベンチャーズのようにシングルで勝負するアーチストではなかった。アルバム全体で売る方々だった。なのになぜか我が家にはその2枚はいまだにしっかり存在している。こんなふうに。
この2曲を聴いたことがある方ならなぜ我が家にこれだけがインスト曲のシングルとして残されているのか理解していただけると思う。ELPのほうはルパン三世のテーマにも通じるパンチ力である。ベックのほうはこの一曲だけで十分に得られる満足感。むしろこの2曲はそれぞれこれだけで終った方がいいくらいの実力を持ち合わせているのだ。
私の選択は非常に正しかった。今でもそう思ってます。