前回、「エンドリーク」のことについて触れました。これは大動脈ステントグラフト挿入術の一番最後に、最も重要な項目として評価されます。なぜなら、エンドリークというのは、「瘤内部への血液流入」を意味するからです。治療前と比較して、瘤内部の血圧は減少しているとは言え、エンドリークが残存していると、瘤は縮小せず、最悪の場合拡大して破裂することも無いとは言えません(極めて希ですが)。
やや専門的になりますが、便宜上私たちはエンドリークを4つのタイプに分類します。タイプIとIIIが最も避けなければならないものです。

☆タイプI:ステントグラフトの端(両端のどちらか、あるいは両方)から血液が瘤内に進入している状態【原因】グラフトと血管のフィッティングが悪い。サイジングで合わせた太さ、長さの血管への留置が計画通りに行かなかったか、シーリングゾーンに血栓や石灰化があるとタイプ1エンドリークが生じる。【対策】カフと呼ばれる小さなステントグラフトなどを追加して端部分のフィッティングを強化する。

☆タイプII:瘤から出ていた腰動脈などからの血流が逆流して瘤内に入るようになること。【原因】これは想定の範囲内で、瘤の内圧が下がったことを意味する。【対策】経過観察でよいものである。但し数年かけても閉鎖せず瘤拡大の原因になる場合は別途、カテーテル治療で詰める(塞栓する)場合もある。

☆タイプIII:ステントグラフトの繋ぎ目から血流が瘤内に進入している状態。【原因】ステント構築の不良であり、サイジングの段階で避けるべきものである。【対策】万一生じた場合は、バルーンで圧着を試みる。それでも消えない場合はその部分にステントグラフトを追加する場合も極めて希にはある。

☆タイプIV:ステントグラフトの膜を透過する流入で、留置直後には見られるが、いずれ消失する。但し、最終造影では他のエンドリークと紛らわしいことがあるので注意が必要である。(この存在を念頭において考えることが重要)

エンドリーク


ちょっと難しかったですね。エンドリークは挿入術最後の造影で評価するだけでなく、その後の経過観察で撮影されるCTにおいて、常に評価されます。瘤の拡大縮小とエンドリークに関係があるのか否か、私たちは常に注意を払いながら患者さんの経過観察をしているのです。