今年のライスボウルから見えたこと  | アメフト交差点

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今年の日本の
学生王者vs社会人王者決定戦”ライスボウル”からはかなり日がたっちゃってますが、そこから見えてきたものや話題になったことを特集したいと思います!
かなり私見での意見もありますが、アメフトにおける環境や状況を良くしたいという気持ちがあるので、アメフト興味ある人もない人も皆さん一緒にぜひ考えて見てください!
では、さっそくトピックス別に見ていきましょう(´ω`*)!


≪Topics① JR有楽町駅の火災の影響・トラブル時の対応について≫

今年の1月3日はJR有楽町駅での火災の影響で新幹線が止まり、学生王者の関西学院大学の選手・スタッフの一部の方々が前半終了間際まで到着できないという事態がありました。

[参考]
有楽町火災:ライスボウル関学選手一部が試合に間に合わず‐毎日新聞

関西学院は主力メンバーとおもな控えメンバーは前日から現地入りしていたのですが、分析スタッフ(アナライジングスタッフ)を中心に約80名の当日入り組が名古屋付近で足止めをくらったということですね。
そこで観戦に訪れていた先輩方が分析やビデオ撮影をする「即席スタッフ」という形で補佐をするという、後世に残るような素晴らしいOB達の活躍もありました。

[参考]

アクシデント。‐スカイ・A sports+ 小西綾子のブログ


まずですね、「別に選手さえいればいいんじゃないの?」という方々もいらっしゃると思うのですが、アメフトにおいては分析スタッフというのは相当重要です。
今回はあんまし細かいことは説明しないでおこうと思うのですが、軽く説明しますとアメフトはサインプレーで動く競技なんですね。
そうなってくると戦術の傾向なんかも出てくるわけで。
そしてこれは他のスポーツにも共通しますが、相手選手の動き方の傾向と味方の選手たちの動きのパターンとかもある程度見えてくるものがあります。
徹底的に相手の弱点をついて自分たちの強さを活かす競技なのでそういうところを見たうえでプレーをいていくので、そこが直接勝負を分ける要因ともなるので、いかに研究して準備をしてのぞむかが大事です。
まぁ試合前の準備と選手たちへのインストールはしっかりされていたでしょうからその面では影響は無かったかもしれませんが、試合中での調整(アジャスト)の面では影響が大きかったと思いますね。
あとは4年生が最後の試合だったのに最初から試合のサポートを出来なかったのは口惜しいですね。

Twitterなどで見ていますと「前のりしていないほうが悪い」とおっしゃられる方もいました。
確かに前のりできていれば一番良いのですが、前のりできるだけの余裕があればしているはずだと思うのです。
しかしながらやはり経済的な都合もあります、特に3が日あたりだと宿泊費なども高くなるでしょうし、部費で負担できる割合も決まっているはず。
そうなってくるとどうしても当日移動でないといけない部員が出てくるのも現実としてはあります。
なので前のりしなかったからといってそこが責められるものではないと思います。
なかなかスポーツにお金がまわらない今の日本、その中でアメフトという競技においては厳しい中でうまくやりくりしている現状もご理解頂きたいなと思った次第です。


そしてですね、関西サイドのファンや地方のファンが応援に行けなかった、あるいは到着が遅れたというのも辛いことでしたね。
あまりTwitterで愚痴は言わないようにしているつもりなのですが、僕もついつい愚痴ってしまいました(笑)

ライスボウルの運営側としてもおそらく想定できない事態で大変だったでしょうが、払い戻し等の対応が早かったのは良かったと思います。
本当は試合開始時間の延期をしてほしかったというのはもちろんありますが、①NHKの生中継放送がある都合 ②東京ドームの貸切時間の都合 
などを考えたら仕方ないところでしょうか。

オービックシーガルズ/日本代表 WRの木下典明さんのブログ
アメリカンフットボールは、準備のスポーツです。何事にも対応しないといけないと感じました。
それを支えてくださる周りの方には、本当に感謝しています。」
というお言葉がありましたが、まさにその通りだなと感じた次第です。
身近なところでその例をあげますと、かなりスケールが小さい話にはなりますが、僕もバイトで先輩が遅れるという時に自分で慣れない役割をやらなければいけないことがありましたが、「何事にも対応しないといけない」と思ってやりました(笑)
現実というものはそういう風に対処・対応していかないといけないということですね。
そういう部分を鍛えるという意味では試合中も試合前も常に対処・対応をしていかないと勝利できないアメフトという競技は人を育てるという面でも大きな役割を担っていることがよく分かります。



≪Topics② 観戦席を潰さないで!≫

えっとですね、僕は後半開始直前に東京ドームに着いたのですが、日本ではまだまだ人気が出ていないとはいえやはり最終決戦かつ関西学院大学とオービックシーガルズという、学生・社会人でそれぞれ一番の集客力を持つ2チームの対戦ともあって1階席2階席はほとんど満席。
3階席もほとんど埋まっていたのですが、やっとのことで座席を見つけることができました。

…しかし、3階席(天井席)には座れそうなスペースがまだいっぱいあります。
スカスカです。
でも観客はそこに座れない。
いったいどういうことなのか?

その答えは、「関係者席」という形で3階席の多くの部分が使えないようにされているのです。
アメフトの会場において関係者というのは各チームが分析用に上からビデオをとったり研究したりするためのスペースであり、またテレビのカメラや記者の方々がいらっしゃるところという形で、観客とは別にもうけられる箇所です。
もちろんそれらはアメフトにおいて必要なことですし、東京ドームという場所がら少しは座席を潰してそのためのスペースを確保しなければいけないので、そこは何も問題なく理解できます。

しかし!
あまりにも座席を潰しすぎです(;´Д`)
どう考えても何百席もいらないでしょ、って感じですし、実際明らかに誰もいないところが立ち入り禁止にされて観客が座れないなんて…
観客への配慮が足りないと思います。
今回は前述のとおり遠方からファンが会場にこれなかったという事情もあり、2万8千人弱の集客となったようですがもし遠方からもファンが来ていれば3万人以上のお客さんが会場に入っていたはず。
せっかくそれだけ集客できているのに「席は潰してるからありません」では示しがつかないですよね。
それにですね、初めて見に来るお客さんなんかは早く来ないと席が無くなる、ということまでは考えていないと思うんです。
来てみてから「あれ?席がない。あそこあいてるのに関係者席で立ち入り禁止ってどういうこと?」っていう不満を抱いてしまう恐れもあるわけで。
そういうところでせっかくの新規のファンの獲得のチャンスを失うようなことがあってはならないと思うのです。
だからこそ必要最低限以上に席を潰すようなことはしないで欲しい、というのが切実な願いです。
上から見てもわかりやすい、むしろ上から見た方が分かりやすい競技でもあるのに、もったいないですしね。
たしかテレビで見た限りではJAPAN X BOWLの時も同じように関係者席という形で席を潰していたと記憶しています。
そちらも同じく、観客への配慮をお願いしたいと思います。


↑こんな感じで空席になっちゃってるのが、
関係者席=観客立ち入り禁止区域になっちゃってるとこです(´-ω-`)。。


少し変わりますが、『週刊TURNOVER』のほうでは関東学生リーグの運営側への、座席面での配慮の無さへの苦言もNHK解説でもおなじみ編集長宍戸さんが書かれています。
観客あってこそのスポーツなのですから、是非とも改善していって欲しいです。
見えてこない運営面の配慮 関東学生連盟にあえて苦言


≪Topics③ さくらボウルはライスボウルの前にやろう!≫

ライスボウルの表彰式が終わった後、実は東京ドームでは引き続きもう一つのボウルゲームが行われました。
女子タッチフットボール全日本王座決定戦、”第19回さくらボウル”です。
タッチフットボールというのはアメフトを優しくしたものというか、危なくないようにしながらもアメフトと同じような感じで楽しめるようにしたものです。
基本的なルールとしては「
守備側はボールもった選手にタッチするとダウンとなる。この際激しい接触があると反則になる」といったように、安全面に配慮したものとなっています。
またこういったルールの中で行われるという性質上、パスしまくる攻撃がみれるので、僕も今回初めてタッチフットを観戦したのですがけっこうガンガン進んだりビックプレーがみれたりしてなかなか楽しかったです。

この「さくらボウル」が毎年ライスボウル表彰式の後(17:30~)行われているのですが、多くの方がライスボウル目当てできているので帰ってしまわれて、せっかく東京ドームで試合をしているのにも関わらず席はすっからかん。。
しかも暖房まで切られちゃって。。。

これではせっかくライスボウルと抱き合わせでドームで試合をしていても寂しい限りです。
見てみるとけっこうおもしろいのに見てもらうことすらできない。

なので、是非ともライスボウルの試合前にさくらボウルをやってほしいと思うのです!
ライスボウルの前ですと座席を確保しに早く会場に訪れる方々に見てもらえます!
けっこう現地に早く入られる方も多いですから、少なくともライスボウルの後にやってる現状よりは確実に集客できると思います。
まぁライスボウルの前の時間帯には関東中学生のオールスター戦もやっているのでムリだと言われるかもしれませんが、それならばライスボウルそのものの時刻を2時間くらい後にずらしてでもやる順番を変えるべきだと思うのです。
どうしてもライスボウルがメインになるのは当たり前、それにあやかってタッチフットの面白さも知ってもらいたい、そう考えると順番としてはさくらボウルだってライスボウルの前の時間帯に持ってくるべきです。
そのあたりの改善も希望したいです。

さくらボウルに関しては、ブログ『フットボール観戦記』さんのほうで写真つきのレポートがありますのでそちらもご参考ください!
さくらボウル観戦(1)
さくらボウル観戦(2)



≪Topics④ 社会人 vs 学生 という日本一決定戦はアリかナシか≫

ライスボウルが終わるたびに毎年議論されているのがこのことですね。
ここ10年間では社会人が9勝しているのに対し学生は1勝しかできていない、そのうちの6回はアメフトでいう少し厳しい点差、いわゆる「2ポゼッション(9点以上)」の差がついて社会人側が勝利しているため、学生に酷なこの日本一決定戦の有り方はどうなんだ?という声が上がっているのです。
実際学生vs社会人という形での初期のライスボウルではほとんど学生側が勝利していました。
この当時は社会人側があくまで各大学からの寄せ集めでしかなく、チームとしてまとまれていなかったからだそうです。
しかし、社会人チームとしても徐々に組織として機能しはじめるとやはり社会人の側が強くなり、現在では学生側が勝利するのは相当な苦労だと言われるほどになっています。

こんな形ではライスボウルを存続するのは如何なものか?ということですね。
これに関してはさまざまな意見がでています。

まず現役時代RB(ランニングバック)として活躍された中村多聞さんは、『週刊TURNOVER』のコラムで、現在の形を存続することが必要だとおっしゃっています。
「ライスボウルは今のままで」 日本選手権MVP中村多聞の提言

同じく『週刊TURNOVER』のコラムでは現役時代QB(クォーターバック)として活躍され、現在は「QB道場」で指導者をなさっている新生剛士さんは、日本一決定戦としての社会人vs学生は廃止して、(社会人)Xリーグと学生リーグが別々の魅力をもって違うモノとして存在すべきではないか、という風におっしゃっています。
社会人VS学生は廃止に ライスボウルの今後を考える(前編)
異種格闘技戦から脱却を ライスボウルの今後を考える(後編)


そして現役時代QB、現アサヒビールシルバースターのオフェンスコーディネーターの有馬隼人さんはYahoo!ニュース(THE PAGE)の記事の中で、有馬さんご自身としてはそれぞれのボウルゲームの位置づけを変えたほうがいいのではないかという意見を持ちつつ、まだまだいろんな議論が必要ではないか、とおっしゃっています。
<アメリカンフットボール>学生は社会人に勝てないのか


このようにアメフト経験者の有名な方々の中でも様々な意見があり、難しい問題なのは間違いないですね。

僕自身の意見としては、まず学生と社会人での勝負そのものについてを争点とするならば、「今の時代、学生では社会人には絶対勝てない」ということはまったくないと思っています。
アメフトという競技は戦術や選手の組み合わせ、準備や練習量で個の力の差をカバーすることは可能な競技ですし、ここ数年の学生側の戦い方を見ていても十分勝利する可能性はある、と断言できると思います。
ここ数年もオービックシーガルズが本当の意味で勝負強いからこそ勝っているといえるわけで、決して関西学院が劣っているとも感じませんでしたしね。

僕たちファンとしても、個の力の差を埋めるためにほんとに多くのことを準備してくる学生側のプレーというのはいつもワクワクさせられますし、それに社会人がどう対応していくのか、どんなリアクションをもってうけとめているのかというのもすごく楽しみで、そういう意味では存続してほしいとは思うわけで。

しかしながら、国内のアメフト界全体のことを考えると、確かに今のまま続けていて本当に全体のためになるのか?というのは疑問です。
まず学生サイドから見て、「最後に社会人を倒す」ことまで考え、意気込んでやることでその学生チームとして目標に向けてレベルが上がるということはプラスの要素だと思うんです。
学生王者のチームとてまだ上を目指さなければいけないと翌年成長していきますしね。
しかし、考え方を変えて「もし学生が勝ってしまったら」どうなる?
優勝した学生チームは満足してしまうことで、社会人リーグではもうプレーしなくていいやと思ってしまうかもしれない。
そうなるとマイナスです。
それにこういう要素もあるからこそ「社会人は勝たないといけない」というプレッシャーもうまれる。
僕としては「学生全体を背負って」とか、「社会人全体を背負って」とかいう形でやってほしくないです、自分たちが王者になるんだという多少強引かつ傲慢な姿勢をもってして日本一をかけた戦いをおもいきりやってほしい。
それに王座をかける両チームはともにフェアな状況であってほしい。
そういう意味でも今の形はあんまりよくないです。

それに学生として生活するシーズンだけを見るなら、今の形はいいと思います。
しかし「社会人を倒す」ことが目標で、それを成し遂げてしまった時次の目標が生まれにくく、結果として有能な選手たちが社会人でプレーしなくなってしまうという構造がうまれちゃうんですよね。
それは良くないと思います。
学生の中でチャンピオンを目指す形で、王者になった選手たちには「さあ次は社会人で日本一になる!」と思ってほしいし、惜しくも敗れてしまった選手たちには「社会人になって今度こそ日本一になる」ことを目指してほしい。
そういう考えもあります。

だからこそ、今の日本一決定戦を廃止することもここ2、3年の内に本格的に考え議論されることが必要だと思います。
大事なのは全体を俯瞰して考えて、現状のままでいいのか考えないといけません。
無くすならば2、3年前の時点で「20○○年で現在の形は廃止する」と早い段階での発表が必要だと思いますし。
でないと社会人を倒すことを目標にやっている選手たちに示しがつかないし失礼ですからね。

あと社会人サイドの外国人選手の出場を制限したほうがいいのではないかという意見がありますが、それはもう絶対にダメでしょう。
外国人選手たちも仕事をしながら、そのチームでちゃんと他の選手たちと同じように同じ環境におかれながら頑張っているわけですしそのチームの大切なチームメイトなのですから、最後の最後の試合に出てはいけないなんてヒドいことをするべきではありません。
それにその外国人選手たちも社会人チームの一員としてシーズン戦ってきているわけですからね、そのベストメンバーではないチームに勝っても学生側は釈然としないものがあるに決まってます。
外国人選手を出さないという判断をしてしまうくらいならライスボウルは無くしたほうがマシとすら思います。


まぁでもライスボウルを無くすという判断がなされる場合は、Xリーグや学生リーグをより良くしていくために何か改革は必要だと思いますね。
本格的に観客動員を増やすために何か戦略を立てる必要性があると思います。
それと同時に地域にとらわれないリーグ編成、遠征試合というものも組めるように努力していかないといけないと考えます。
我々ファンも含めて。

とにかくこの件に関してはまだまだ議論が必要で、各アメフト連盟でも議論がなされていることに期待したいですし、ファンの方々もそうでない方々もいろいろな意見を出してみて欲しいと思います。
いろんな策があるかもしれないですしね。


さて、長々とライスボウルに関して書きましたが、まずはとにかく来年度は新幹線が止まらないように祈りたいところですね(笑)
ご意見などありましたら、ご自由にコメント残していってください(´ω`*)!