首都圏直下型地震 これだけの予兆
2012年1月12日 ゲンダイ


◆東京湾に不吉な死骸

<NZにも年末に無数のクジラが座礁>

これは、不吉な予兆なのか。10日午前、東京港青海コンテナ埠頭の近くで、体長10メートルのクジラが浮いているのが発見された。海岸部ですら珍しいのに、東京湾の内側で見つかるなんて極めて異例だ。

超音波に反応するといわれるクジラは、地震前に打ち上げられることが多々ある。実際、元日の地震前後にも静岡と小田原で見つかっていた

首都圏直撃地震の前触れなのか。調べてみると、はるか南のニュージーランド(NZ)でも異変が起きていた。6日夜には70頭ものクジラが座礁した。昨年11月16日にも61頭が座礁し死亡。その直後の18日にM6.0を含む3回の地震が発生したのだ。

実は、NZで地震が起こると、短期間で日本でも大きな地震が頻繁に起こる

東日本大震災の発生は182人の犠牲者が出た昨年2月22日のカンタベリー地震(M6.1)の直後。6月13日にNZでM6.0を観測した直後にも23日、30日と岩手県沖と長野県中部が立て続けに揺れた。元日の鳥島近海の地震の直前、12月23日にもNZでM5.8の揺れを観測している。

地震の連動性を知ると、日本とNZで同時にクジラの座礁が見つかったのが、より不気味に思えてくる

琉球大名誉教授の木村政昭氏(地震学)が言う。

「日本とNZの間には長大な太平洋プレートが連なり、カンタベリー地震と東日本大震災はいずれも、プレートが西側に移動して発生しています。共通の性格があって、交互のように地震が起きているのは不思議ではありません。カンタベリー地震の震源地の北や南側には、地殻のひずみが蓄積されて、近く大きな地震が起きると考えられる『空白域』があり、東日本大震災の震源地の北と南側にも空白域がある。今後も注意は必要です」

東大地震研究所の調査によると、東日本大震災の影響で、周辺の地震の発生率が震災前と比べ10倍以上に上昇した活断層が、全国で11カ所あるという。最も警戒される北伊豆断層帯に関しては、約70倍も発生率が増えている

ただでさえ、いつ首都圏を大地震が襲ってきてもおかしくないのだ。危険の予兆を見逃してはいけない。