篠原美也子文庫
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篠原美也子文庫
第五夜
1994/02/23-1994/03/23
【真夜中の昔話】
【鶴太郎】
【1】
<記:篠原美也子 1994/02/23>
むかしむかし、あるところに、
おじいさんとおばあさんが住んでいました。
働き者の二人は子宝に恵まれませんでしたが、
おじいさんは山に芝刈りに、
おばあさんは川に洗濯にと、
仲良く暮らしていました。
ある日、いつものようにおばあさんが
川に洗濯に行くと、
川上から、
一羽の鶴が溺れながら流れてきました。
哀れに思ったおばあさんは、
ちょうど手に持っていた
おじいさんのふんどしをひらりと投げ、
「ほれ、これにつかまれ」
と言うと鶴は、
「助かったわ」
と、ふんどしにつかまり、
無事、岸にたどりつくことができました。
鶴は丁寧にお礼を言い
「感謝のしるしです」
と、
ぽっこり卵を産み、空へ飛び去っていきました。
おばあさんは卵を持ってかえり、
おじいさんと二人大切に育てたところ、
ある日、卵は割れ、
「マッチで~す♪」
という声と共に男の子が生まれました。
鶴の卵から生まれたということで、
二人はその子に『鶴太郎』と名付けました。
やがて、5歳になったある日、
鶴太郎は言いました。
【2】
<記:P.N:ハシレイズモタイシャ 1994/03/02>
「おじい、おばあ、もっと飯を食わせてくれ。
腹が減ったぞ」
おじいさん、おばあさんはとても驚きました。
鶴太郎は5歳のくせに、
成人並にご飯を食べていたからです。
エンゲル係数はどんどん上がり、破産寸前でした。
でも、鶴太郎はただの食いしん坊ではありませんでした。
琉球から引越ししてきた、
具志堅道場でボクシングを習っていました。
さて、そのころ何万里離れたところで、
たくさんの鬼の前で演説をしている黒鬼がいました。
「私が鬼帝国の王、鬼塚だ。
鬼の、鬼による、鬼のための政治をするには
人間が邪魔だ。
みんなで人間をやっつけようではないか」
と、宣戦布告をしていました。
これはあっという間に全世界に伝わりました。
「おじいさん、産経瓦版を見たかや?
殿様が鬼退治した者には、
百万両の賞金と美女をプレゼントするそうだと」
これを隣の部屋で聞いていた鶴太郎は、
鬼退治をしようと単純に決めました。
それは決して正義感からではなく、
金欲と性欲からでした。
そして、鶴太郎は・・・
【3】
<記:maiko shinohara 1993/03/09>
鬼退治に出発しました。
野を超え山を越えどんどん歩いていくと、
道の真ん中にとても大きな犬が寝そべっていまいした。
そして、その隣にはなんと、
あの、バザールでござーる君が、
犬のせいで先に進めず困っていました。
しかし、助けてあげるような鶴太郎ではありません。
ざまあみろ。
と思いながらそのまま通り過ぎようとしたとき、
バザール君が言いました。
「鶴太郎さん、その「きびだんご」を全部あげます。
だから助けてください。お願いです。」
おなかが空いていた鶴太郎は、
さらに一緒に鬼退治に行くという条件付きで
助けてあげました。
めざとく、きびだんごを見つけた犬がくれとうるさいので、
やはり一緒に行くという条件付きであげました。
さて、さらにどんどん歩いていくと、
バザール君の友達のキジに会いました。
キジは篭に入れられていて、
もうすぐ食べられてしまうと泣いていました。
バザール君の必死の頼みで、
残りのきびだんごと交換に、キジを助けてあげました。
もちろん一緒に行くのです。
【4】
<記:P.N:オガワゲンノジョウ 1993/03/16>
船を求め鶴太郎が浜辺をうろついていると、
成金の浦島太郎が、
亀に虐待をされているのを見つけました。
哀れに思ったバザール君が助けに行きましたが
逆にのされてしまい、
鶴太郎が仕方なく前に出ると、
「おまえ金持ってるか?」と聞きました。
バザール君が、
「鶴太郎さん、たかりなんてあんまりですよ」と言うと、
鶴太郎は浦島の胸ぐらをつかみ、
「バカだなあ、
こんなアルマーニのスーツを着てるヤツが困ってたら、
金を巻き上げるのが
賢い現代人の生き方ってもんだろ、なぁ亀?」
と言いました。
不意に同意を求められた亀は、
これ以上関わらない方がいいと思い、海に逃げました。
結果として浦島を助けた鶴太郎は、
当然のように報酬を求めましたが、
浦島には持ち合わせがないため、
自家用の潜水艦で鬼々島まで送ってもらうことになりました。
船旅は順調に進みましたが、
岸まであと一歩のところで鬼帝国の機雷に触れてしまい、
船は撃沈。
必死の思いで島まで泳ぎ着いた鶴太郎は、
そのまま鬼に捕らえられてしまいました。
【5】
<記:P.N:サワイミツロウ 1993/03/23>
すると、牢屋に一人の男が現れました。
「おまえが鶴太郎か?俺はタノムサク。
一緒に鬼塚を倒そうぜ」
と言うや否や、タノムサクは持ち前のパンチ力で牢屋を壊し、
二回連続疑惑の判定負けの恨みを晴らすかのように
手下の鬼を倒し続け、
ついに敵は鬼塚一人だけとなりました。
そして、タノムサクは
“清酒 鬼ころし”
と書かれた一升瓶の液体を口に含み、
鬼に吹きかけました。
すると、鬼塚は苦しんで倒れてしまいました。
他の人がいくらやっても倒せなかった鬼塚を倒したのです。
鶴太郎たちが驚き呆然としていたのに気付いたタノムサクは、
体がまっぷたつに割れ、
中からなんと篠原美也子が出てきたのでした。
「驚いた?手柄は私のものね?」
と言い残し、動物と共に去っていきました。
このキジは後に“柿島 伸次”と名乗り、
犬と猿は風の便りでは犬山モンキーパークを建設したそうで、
鶴太郎は一人さびしく悲しんだ、、、
とさ・・・
[完]
採用+最終選考
【1】
1994/2/23
<記:篠原美也子>
【2】
1994/3/02
<記:P.N:ハシレイズモタイシャ>
【3】
1994/3/09
<記:maiko shinohara>
【4】
1994/3/16
<記:P.N:オガワゲンノジョウ>
【5】
1994/3/23
<記:P.N:サワイミツロウ>
最終選考
ムカイカゼ
オガワゲンノジョウ
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