最近、人工授精や出産についての診療が増えてきました。この1ヶ月で4件も人工授精処置を行いました。うまく授精してもらえるとこちらもうれしいものです。
ただし、相談を受ける内容は高齢であったり、今まで妊娠できない子ばかりなので、毎回原因を探りながら試行錯誤しています。
今回のお話は、最近なんとか出産できたチワワのお話です。
その方の自宅に男の子と女の子がいるのですが、今までうまく交配ができなかったそうです。妊娠できない体ではなさそうだったので、無事人工授精を行いました。2頭妊娠しました。しかし、計画的に帝王切開を実施していきましたが、1頭(70g)は蘇生できる体つきではありませんでした。もう1頭(100g)は、なんとか酸素室で回復を待ち、退院できました。母乳が少ないお母さんだったため、飼い主様の献身的な介護により、みるみる大きく育つことができました。
ある日、健康診断に来院されたときのことです。ひとつの障害をみつけることとなりました。飼い主様にその可能性をお話しました。1頭しか生まれず、それもまた障害があり、自分も「なんという運命・・・」と気持ちが落ちてしましました。こちらが悪いわけではないのですが、申し訳ない気持ちになりました。
次の診察の時です、その障害は確定的になっていたのですが、飼い主様から「この子は、我が家に来るべくして神様が授けたのではないかと。だから一生懸命に育てて、かわいがります」。はっとしました。涙が出そうになりました。その子は、何事もないかのように元気にしています。母犬も父犬も、過保護に面倒をみているそうです。ピノちゃん、また元気な様子をみせてくださいね。