海外ドラマ「クリミナルマインド レッドセル」のエンディングテーマを聞く度に私は疼いた。
レッドセルのエピソードで起こる事件は必ず解決するし、それほどドロッとした感じはないのだけれど、
映像は酷く暗く、どの台詞も意味ありげで、ギリギリのところにいる感じがしていた。
そして笑顔で終わったエピソードも、少し人間臭い感じで終わったエピソードも、
このエンディングテーマでまだだ、もっとだと囁かれていた。
そうして私は飲めもしないのに、決まってバーボンを飲んだ気分になった。
私は勝手にこのメロディの中にカランと鳴るグラスに沈む氷の音を見つけていた。

ありもしないのに。

レッドセルで起こる常軌を逸した猟奇殺人事件は、フィクションだとわかっていても私の何かを蠢かす。
興味本位で本わさびをおろす鮫肌を指先で初めて触ったときのように、
体中を襲ったじんましんのミミズ腫れを指先で押してみたときのように、
人間の硬いかさぶたを通して新しく出来た柔らかい皮膚の引きつりを知った時のように、
いつもはあるはずもなく、起こりうることもないものが存在する一瞬の感触を知ってしまったが故に忘れられなくなる。
そしてどこかでそれを求めていることを認める瞬間がやってくる。

だからこのCDを自分に与えてやる。
疼く自分を解放するために。