3月24日、東京ドームは、三塁側の1階スタンドで、I*M HEREの仲間といっしょに観た。
 ところで、今回のツアーには「ゴールデンサークル席」と言われる客席がある。5万5千円のVIP席で、発売後たちまち完売したそうだ。
 東京ドームの「ゴールデンサークル席」はステージセットの建物の中で、ストーンズを背後から見ることができる。面白い趣向だとは思ったが、5万5千円は高すぎる。でも、この席で観た人がいたら、どういう感じだったか、教えてね。

 ストーンズは8時すぎに登場、1曲めはStart Me Upだった。あれ、JJ Flashじゃないのかよ、と意外な気がした。
 東京ドーム初日の動員が35000止まりだったので、可能な限りセットリストを変えてきたのだろう。この日の構成は、22日とはかなりちがったのである。

 It's Only Rock And Roll、Oh No Not You Againとつづき、そろそろバラードかなと思ったのだが、Bitchをやり、次にTumblin' Dice。

 そして、ステージ中央にキーボードが運ばれ、ミックがその前に腰を下ろす。Memory Motelかなと思ったのだが、Worried About Youだった。前にもこのナンバーは聴いたことがあったのだが、ファルセット唱法が、さらに磨かれ、鳥肌が立った。
 そうか、こいつがバラードのかわりなのか、と納得。
 この曲については「イージー・ゴーイング」 のほうに書いたので、そちらを読んでください。

 Ain't Too Proud To Begはけっこうラフな演奏で、Midnight Rambler、Gimmie Shelterとつづく。これは、可能な限りオリジナルレコーディングに近づけた演奏だった。
 メンバー紹介の時、ミックはロニーとキースとは手をつなぎ、こういう演出は今回のツアーが初めてではないだろうか。

 キースは22日と同じ、This Place Is EmptyとHappyを歌ったのだが、ぼくはそれを聴きながら、キースのいない世界をふと想像してしまった。この世界は、キースがいなければEmptyだと突然感じ、どうしようもない悲しみの感情に包まれてしまう。
 スクリーンモニタに、マイクに向かうキースが大写しにされ、ぼくはI*M HEREの女の子に言った。
「なんてカッコいいんだ!」
「神だね」という答えが返ってきた。
 誰かの小説の中の1シーンみたいだなとぼくは思った。

 Miss YouでバンドはBステージに移動し、Rough Justice、You Got Me Rocking、Honky Tonk Womanを演奏。
 You Got Me Rockingはキーが高く、シャウトしなければならないので歌うのはたいへんだと思うのだが、ミックはしっかり歌いきる。このナンバーを歌うミックを見る度に、ぼくは感服するのだ。

 Aステージに戻ってSympathyFor The Devilをやったのだが、これは1番までは打ち込みとパーカッションとドラムス、ピアノだけで進行した。
 だいぶ経ってブレイクするところで、センターにいたキースにスポットライトが落ち、大音量のギターが入る。うわっ、すごい演出だ。こういうパターンも、ぼくは100回ぐらいストーンズのライブを見ているが、初めてだったのではないだろうか。
 明らかに、22日とはパターンを変更してきているのだ。

 そして、JJ Flashである。会場をサーチライトのようにライトが舞い、22日のバージョンとはちがい、後半を延々と引っぱりまくってエンディングである。最後の曲なんだなと思っていると、ギターのリフが聞こえ、Brown Sugarがスタートした。Brown Sugarはラフというかワイルドというか、キースが勝手にオープニングのリフを弾いたから演奏したんだという感じで、こういうのは演出なんだろうが、引き込まれてしまう。
 70年代には、キースが勝手にセットリストを変更しオープニングのリフを刻み、他のメンバーが慌ててついていくということがあった。そういうバンドだからこそ、この夜のような演出が可能なのだ。
 ツボを心得ているというか、ヤラれたというか、ストーンズの世界にズブズブと引きずり込まれるのを感じた。

 アンコールはCan't Always Get What You Want。真っ暗なステージの中央にキースが1人で登場し、CとFのルーズなコードワークを見せ、ぎりぎりになってピンクのシャツを着たミックがマイクを持って登場。
 キースは、この夜、おいしいところを全部持っていった。Keith's Nightである。
 
 Satisfactionではミックのピンクのシャツが脱げかかり、女の子達が絶叫。
 後でその話題になり、
「私はミックのスレイヴですから」と、言う子がいた。
 しかし、ミックはもう62歳なのに、あのセクシーさはどうだろう。
 2回のストーンズのコンサートを見て、ぼくはまた多くのことを学んだ。
 
 どこまでもポジティヴに、たった今この瞬間のことだけを考えること。
 欲望しつづけること。
 誰かのことを、気にかけること。
 世界のことを、心配しつづけること。
 そのためにスリムな精神と肉体をキープすること。
 
 ぼくはThe Rudieのナンバーや小説で、GOD OF ROCK'N'ROLLのことを書いた。海外で宗教について聞かれると、「GOD OF ROCK'N'ROLLを信じています」と答えていた時期もある。これは、必ずウケたけどね。
 GOD OF ROCK'N'ROLLには、じつはモデルがあった。
 こんなことは初めて書くが、そのモデルとはチャック・ベリーなのだ。
 
 だが、この夜、ぼくは1人密かにこの考え方を修正した。
 
 GOD OF ROCK'N'ROLL。
 それは、もはや、ミック・ジャガー以外にはあり得ない。
 
 
 
Date: Mar 24, 2006
Location:Tokyo - JAPAN - Tokyo Dome

Set List
Start Me Up
It's Only Rock And Roll
Oh No Not You Again
Bitch
Tumblin' Dice
Worried About You
Ain't Too Proud To Beg
Midnight Rambler
Gimmie Shelter
This Place Is Empty
Happy
Miss You
Rough Justice
You Got Me Rocking
Honky Tonk Woman
Sympathy
JJ Flash
Brown Sugar
Can't Always Get What You Want
Satisfaction


PS ぼくがアメブロに作ったローリング・ストーンズ・ブック というスクラップブック、ポップス部門で、なんとアクセスランキング2位だぜ! いろいろ面白い記事がアップされてるので、まだ行ってない人、行ってみてね。

 それと、ぼくは札幌は行けないので、誰かここにレポートを書き込んでね。頼む!