サッカー本の試し読みをご紹介してきましたが、Facebookをされてない方のためにコチラにもアップしますね。

  

『サッカーで一番大切な「あたりまえ」のこと』

未読の方のために、試し読みもかねまして、朴英雄監督のサッカーのエッセンスをご紹介!

 

  

 

 

今回は「フリーマンサッカー、攻撃のプラス1」

   

オフ・ザ・ボールがカギになる「フリーマンサッカー」

 

 

――大分高校は2011年から、そのスタイルを「フリーマンサッカー」と名乗っていましたね。特長はいろいろあると思いますが、まずは「フリーマン」について教えてください。

 

  

簡単に言うと、「フリーマン」は直接ボールに関わっていない選手のことです。それは特定の人物ではなく、試合の流れの中で味方と相手の動きによって自然に生まれてくる。いわゆる「オフ・ザ・ボール」の状態になった選手のことで、その選手が効果的な 役割を果たすのが「フリーマンサッカー」です。

  

フリーマンが関わることで、攻撃でも守備でも、相手より多い状態、つまり数的優位 な状況をつくることが出来ます。

  

攻撃では、バリエーションを増やせる。守備では、リスクマネジメント。攻めるとき も守るときも、オフ・ザ・ボールの選手を関わらせることで自分たちに有利な状況をつくる。つねにその意識を持ち続けるサッカーのことを、わかりやすく「フリーマンサッカー」と名付けていました。

  

 

――攻撃のバリエーションの増やし方というのは。

 

 最もわかりやすいのは、プラスする動きですね。フリーマンが関わることによってパスの選択肢を増やします。パスには出し手と受け手の2人がいる。そこに3人目の選手が加わると、パスコースが増えるでしょう。だから、トライアングルをつくったりオーバーラップしたりといった動きで3人目として関わるんです。

 逆に、マイナスの動きで効果を上げることもあります。

 

 

  

 ――数的優位をつくりたいのに、マイナスに動くんですか。 

 

 

数的優位というのは球際だけの問題ではないですからね。ピッチ全体で、状況に関わっている選手の数が多いということですから。ボールとは逆サイドにいたって、その選手がそこにいることが効果的ならば、数的優位なんじゃないですか。

 

サッカーではよく「サポートする」って言いますよね。あの言葉が誤解を生んでいる んじゃないかと、僕は思うんですよ。

 

   

 

「サポート」という言葉は誤解されている

 

  

――サポートって、協力することですよね。ボールホルダーの近くに行ってパスコース を増やすとか。

 

  

もちろんそれもあります。だけど、近くに行くことだけがサポートの動きじゃないんです。なのに「サポートしろ」と言われると、みんなボールの近くに群がってしまう。そうすると、狭いエリアに人がたくさんいすぎて渋滞が発生します。渋滞の向こうには広々とした道があってスイスイ車が走れるのに、そっちは見もしないで、球際ばかり一所懸命に競いあっている。

  

でも実は、ボールホルダーから離れた場所でも、味方をサポートすることは出来るんです。広々とした道に立って渋滞から抜け出したボールを受ければ、早くゴールに迫ることが出来るでしょう?

  

 ――ああ、だから「マイナスの動き」なんですね。

 

 

そのとおり。プルアウェイとも言いますよね。ボールから遠ざかることによって、布陣に奥行きや幅を生みバランスを保つ。自由に動ける場所でポストをつくることにより、 新しい局面を生むことが出来るんです。これだって立派な「サポート」じゃないですか。

  

 

入れ替わり立ち替わりを繰り返して自由になる

 

――そうやってスペースを使うということですよね。

 

そう。そしてフリーマンは、そういうスペースを生み出す働きもします。ボールに直 接関わっていないところでも、効果的に移動することにより、相手を引きつけながら人 のいない場所をつくることが出来る。そうすると、今度は味方の誰かが、相手にマーク されない状態でそこを使えるでしょう。

 

 たとえば、Aがボールを持っているとする。味方は前方にBとCの2人いるけれど、 敵は3人でボールを奪いに来ている。このままボールを前に送っても、相手のほうが数 的優位だから取られてしまう可能性が高い。

 

 ①Aがボールを持ったとき、BとCが前方にいるが、この局面では相手のほうが多い。パスを出してもボールを失ってしまう可能性が高そうだ。

 

 

そこで、BがボールをもらいにAに近づきます。Bをマークしていた相手がそれにつ いてくると、そこにスペースが生まれますよね。それと同時にそのスペースにCが走り込む。

 

 

 

 ②Bがボールを受けに下がると、Bをマークしていた相手がてくる。スペース①が生まれる。

  

走り込んだCをマークするために、余っていたもう一人の敵が引きつけられると、今 度はそこに新しいスペースが生まれる。同時に今度はAがそこに走り込む。

 

この入れ替わり立ち替わりをタイミングよく間髪入れずに繰り返すことで、必ず相手のマークは剥(は)がれます。すると新たな局面では、こちらが数的優位に立てるんです。

 

 

 ③C がスペース①に走ると、もう1枚の相手が食いついてくる。スペース②が生まれた。そこへA が走り込む。Bはマークされている相手の向きや立ち位置と周囲の状況から判断しパスを出す。

 

 ――まさに流動的ですね。

  

スペースをつくるために動いて均衡を崩す。そのときには、本来のポジションを捨ててチャレンジすることが必要です。そうすると、ノーマーク状態になれるチャンスも多くなりますからね。

 

  

本書では朴監督がサッカーのメカニズムをわかりやすく説き明かします。プレーや戦術を言語化できて初めて理解できたことになります。サッカーの知力向上にご一読おすすめまします!!

 

次回は「フリーマンサッカー 守備のプラス1」

 

 

 

 

サッカーで一番大切な「あたりまえ」のこと

 朴英雄著   ひぐらしひなつ 執筆・構成 1400円+税

http://ur0.biz/CPRu

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