仙台に着いたのは22時時過ぎ
一ヶ所目の荷下ろしをしてる姿を隠れながら サイドミラーで見ていた
『ここで自分が出荷した荷物が出るのか!』という感動プラス、意外と雑な扱いに驚く
ものすごい速さで作業をこなしてる。
むしろ 勢いだけでやってる
急いでいる感じはするが に、しても…
10分しないで下ろし終わり、次の盛岡に向かう。
私 「機敏な動きね。」
ヒロ「当たり前だ!あと2ヵ所下ろすんだ」
私 「へぇ。岩手も今日なの?」
ヒロ「明日の朝!」
私 「盛岡で2ヵ所下ろしたら今夜は終わり?」
ヒロ「そうだよっ! え!?トイレ行きたい?」
私 「いえ、何を急いでらっしゃるのかと」
ヒロ「早く終わらせて5分でも多く休みたいじゃん!」
あぁ……ごもっとも
ヒロ「トイレは!?」
私 「いいっス」
ヒロ「今〇〇だろぉー…後2時間は行けないけどいいの!?」
私 「大丈夫ッス!自分、膀胱デカめの構造なんで」
ヒロさん 完璧に仕事モードに入った
話しかけなかった
雪道でかなり神経使ってる感じ
黙って運転してる姿を見て………かっこいいな。
好きな人としてもそうだが、運転している姿は どんな不細工でも私にはかっこよく見える。
そして、トラックから降りてガッカリするパターン。よくある(笑)
盛岡は夜だったけど見たことの無い雪景色でキレイ
ボーっと窓を見ていた時
「この景色 忘れるなよ」
いつもなら 『何をクサイ事言ってるんだかwww』ってなるけど、この時は 「…うん。」しか言えなかった
ヒロ「飯どうする?ってかこの時間じゃコンビニしか無いけど。」
私 「コンビニは選べますか?」
ヒロ「無理です!一ヵ所のみ!〇〇だけ!」
私 「超マイナーじゃないっすかぁ!!」
ヒロ「文句言うな!」
じゃ、なぜ聞いた(笑)?
ヒロ「よっしゃー!着くぞ!隠れろ!」
テンションおかしい(笑)
盛岡一発目、他のトラックが多くてホームに付けられないらしい。
『っち!』 ヒロが舌打ちした
「いいや。」 と降りて外で何か話してる
何だろう?トラックが多くて覗き見れない
ウィィィーン とウィングを開ける音
ぴぃー ぴぃー ぴぃー……
聞き慣れた音が聞こえる………フォークの音だ!
えぇい!覗いたれ! ………あら。ヒロさん フォーク乗ってら 乗れるんだ
ここも10分しないで出発
ヒロ「おーし。次で終わりだ 顔出していいよ」
私 「フォーク乗れたんだ」
ヒロ「見てたの!?」
私 「え!だ、だ大丈夫だよ!まわりにはバレてないから!」
ヒロ「別にバレても構わねぇけど…」
何か照れてやがる…かっこいいなんて言ってないのに
走ること20分 2ヵ所目に着く この時点で次の日の1時過ぎ
ヒロ「ここは隠れなくていいから」
ホームに着けて 「あー寒ぃぃ!!」と言いながらトラックを降りた
やっぱりサイドミラーで見てた
あ!アレは私のエリアの商品!
ズサァー! !?!? なんと!?
カーリングのように荷物の箱を滑らせた
悪ぃヤローだ!
あぁやって破損が出て、面倒な事になるのに!
でも荷下ろし姿 かっこいいな……
1時半 とりあえず今日の作業は終わった
明日岩手で朝イチ下ろして仙台に帰る
岩手の下ろし先の近くで給油とシャワーを浴びる
マイナーコンビニに着いたのは2時半近く
すごい雪が積もってる 初めて見た
東北地方の人 大変だな……
もう眠かった 運転して、荷下ろししたヒロの方が疲れてるだろう
軽く飯食って軽く酒飲んでトラックでダラダラしていた。
ヒロ「そういやさぁ トイレ、マジで大丈夫だったの?あっち出てから一回も行ってなかったじゃん。俺は下ろし先で行ったけど」
私 「あんまり水飲んでなかったし」
ヒロ「トラックの中喉乾かない?」
私 「アタシの膀胱事情で運転の流れ止めたくないじゃん?そのぐらいわきまえて乗りますわwww」
ヒロ「……………」
私 「ちょっと 惚れただろ ニヤ」
ヒロ「いや、さすがに分かってるな 旦那と相乗りしてる時に学んだか?」
私 「んな訳ない。子供がトイレをまだ我慢できない歳だったから」
ヒロ「じゃ、なんで?」
私 「アタシがヒロの立場だったら 『トイレー!』『お腹すいたー!』とか言われたら腹立つから」
ヒロ「(笑) でも限界の時は言えよな?」
私 「トラックでう〇こ漏らせんしな」
手を伸ばす
ヒロ「こっち 来て」
寝台に誘われる
ヒロ「寝っか」
私 「明日 ってか今日か。何時起き?」
ヒロ「んー ここから10分で着くから……7:00」
私 「おい。何時到着予定だよ?」
おでこにキスしながら
ヒロ「8:45 9時からだから」
私 「顔洗ったって8時で間に合うだろ」
ヒロ「朝 シたいじゃん……」
いっぱいキスしてくる
私 「寝る時間ねーよ」
ヒロ「いつもの事だ………」
流れに任せてヤった
やっぱりうまい………デカイ………気持ちいい
ケータイのアラームでヒロが起きたのには気づいた
が、 むりー 眠いー
煙草を吸うヒロ 私を起こす 「エリ 起きて 時間だよ」
うそだー やだー 起きたくないー
自分のケータイのアラームを7:50にセットしてある
「まだ寝られる…」
フゥゥゥゥー ため息混じりに煙を吐く音を聞いて また目を閉じた
結果 数分後 ヤラれた
こいつ なんて性欲なんだ………
当時 ヒロ→32歳 私→27歳
これから荷下ろしして、仙台まで運転するヤツがすることじゃねぇ。
コンビニを出発するのにカーテンを開けて驚いた
『銀世界』という言葉がぴったり
家の屋根から氷柱 初めて見た 本当にこんなのあるんだ!触りたい!
道路はアイスバーン状態 おっかねぇ!
マジで未知の世界に興奮した
最後の現場に着いた
「最悪!雪かきしてねーのかよ!」
隠れているから状況がわからない
「あーあーあーあーあらあら」
トラックが揺れる
ホームに着けて9時まで待機
ヒロ「顔 少し出していいよ」
私 「すごい光景!雪すごい!」
ヒロ「すげーよなー 岩手、初めて来た?」
私 「記憶無いから初めてかも 盛岡も多分初めて」
ヒロ「よかったねー 観光でもこんな所来れないよ?何も無いしwww 貴重な経験したねー」
言い方が イラっとする(笑)
ヒロ「まぁー…覚えとけよ この光景」
お また言った なんで?
車が一台入ってきた
ヒロ「お!来た! 9時過ぎてるじゃん。ったく まぁ正月から仕事したかねぇよな(笑) 30分ぐらいかかるから」
そう言ってトラックを降りた
景色を忘れるな と言ってるヒロの心境が 当時はわからなかった
今思えば 本気で死ぬ覚悟をして運転していたから …だから『忘れるなよ』なのかと思う
キザでクサイ言葉 マジだから言える事なんだ
思ったより早く終わった
「っしゃ!…通割間に合うか?!」
急いでるなー もう終わりなのに
通割に間に合い、高速を走る
ヒロの運転で飛ばしていても『あぶねぇーな』と思った事は無い
私 「なぜ急ぐ?」
ヒロ「んー?自由時間はいっぱいあった方がいいだろ」
私 「今日は上がりでしょ?」
ヒロ「そうだな。それは絶対だけど明日は上る(積み込み)かもしれないし」
そうだ!旦那に電話してないわ
私 「電話していい?」
ヒロ「どうぞ」
岩手の光景を話し、明日帰るかわからない事を伝え 子供と少し話して電話を切った
ヒロ「チチ なんだって?」
私 「出掛けてくるねぇって」
ヒロ「ははっ!それだけ?ショウヤ(子供)は?」
私 「山越えた?ウマイもん食った?だって」
ヒロ「山ってなんだよwww?」
栃木を出るときの山のくだりを話した
ヒロ「ショウヤ面白いなwww オマエん家楽しいそう(笑)」
私 「一般的な家庭ですよ」
ヒロ「なんか…マッタリした空気が漂ってるだろ」
私 「忙しい感じはないね」
お互い 同時に煙草に手を伸ばし 火をつけて笑った
ヒロ「仙台帰ったらさぁ何したい?」
私 「顔洗いたい、歯磨きしたい、ベッドで寝たい」
ヒロ「おい! 全部今やりたい事だろ!」
私 「事実ですもの」
ヒロ「まー 顔洗いたいよな」
私 「はい。 プラス 贅沢言うとコーヒー飲みたい 起きた気がしない」
ヒロ「まったく ワガママだなぁ」
待てコラ これはワガママでない。
私は『仙台に返ったら』でもいいのだ
ヒロが勝手に『今やりたい事』に変換したから『ワガママ』になったんじゃねぇの?
なーんて キレたら面倒だから言わなーい
黙ってたら PAに寄ってくれた
ヒロ「歯磨きとか持ってきた?」
私 「うん」
トラックを停めて 「はい!準備して!」
焦った いきなりなんだもの バタバタと洗顔+歯ブラシ+タオルを用意して トイレへ
朝の9:30 正月休みでお出かけの家族が沢山いる中 気だるそうな女と作業着姿のおっさんがタオルを持ってトイレへ歩いて行く
さぞ 異様な光景だろう
トイレに入って歯を磨きだす ほぉ!岩手のPAは温水も出るのか。快適だな
「ママー あの人…」
……そうだよね。ちびっこよ おかしな人だよね。
だが、ちびっこよ 常識にとらわれるな
ママに手を引かれ去り際に手をふってくれた
可愛い子
ちびっこに指を指されようが、おばちゃんに驚かれようが お構い無しで顔を洗い、備え付けの台拭きで洗面まわりを拭き上げて出た
正月休みの空間のPAで、作業着姿のおっさんは目立つ
ヒロ「遅い」
私 「人多くて」
トラックに戻らず店内に向けて歩き出した
?
ヒロ「コーヒーか?」
私 「はい」
トイレのちびっこに会っので手をふってみたら、ハニカミながら手をふってくれた
ヒロ「子供好きなのか?」
私 「好きじゃない」
ヒロ「え?何今の?」
私 「一期一会」 使い方あってるのか?
コーヒーを持ち歩き出す
ヒロ「あ、ほら さっきの子」
私 「うん。女の子いいよね」
ヒロ「お母様いい女だな」
私 「子供もかわいいからね 声かけてこいよ」
にらまれる
ヒロ「いいの?」
私 「遠慮すんなwww」
ヒロ「あのお母様を俺が抱いてもいいの?」
私 「抱けると思ってる時点でナル(ナルシスト)だ」
ヒロ「いや、想像してみ?」
耳元で
私 「へぇーやっぱ誰にでも起つんじゃん」
どつかれた ……
トラックに戻り 煙草を吸う
ヒロ「満足でしょうか?」
私 「ありがとうございます!」
ヒロ「あぁいう所で顔洗ったりするの恥ずかしい?」
私 「ぜんぜん コンビニでもできるぞ」
ヒロ「…ドライバー向けだな(笑)」
私 「普通の女は嫌がるのか?」
ヒロ「嫌でしょー!『恥ずかしい』とか『汚い』とか」
私 「『汚い』ってちゃんと拭けばいいじゃん」
ヒロ「あ!オマエもまわり拭く?!」
私 「終わったらやるよ 飛び散るじゃん。台拭き無いときトイレットペーパーで拭くもの」
ヒロ「そこまではしないけど ガサツな女だと思ってたから意外」
私 「基本ガサツ 変な所は几帳面で潔癖」
ヒロ「ドアノブ触らないもんな(笑) しゃー出るぞ!」
出発した
私 「温泉もキツイ ラブホも嫌い」
ヒロ「行ったことない?」
私 「あるよ(笑)」
イチロウとはいつもラブホじゃなく普通のホテルだった
ラブホは佳乃(ラブホマスター)が『ここはエリちゃんでも行ける!』という場所しか行かない
ヒロ「機会があれば久しぶりに行きたいな」
私 「本当に久しぶりなんでしょうかwww」
ヒロ「行ってないよ 時間無いし、一人暮らしだとわざわざ行かなくなる」
私 「そんなもんだよね。旦那と一回しか行ってないもん 行くだけお金もったいない(笑)」
ヒロ「そんなにタンパクなのか?」
私 「旦那に性的快楽は求めない 一緒に居るだけで心地いいんだ」
ヒロ「へー… 結構イイ表情するんだよなぁ…」
私 「そうなんだ」
ヒロ「あー思い出したら勃起した」
私 「…………何か変なモノ飲んだ?」
ヒロ「イヤぁーわかんねー。」
私 「……そ。飲んだって事にしよう」
ヒロ「ねー 帰ったら一緒にお風呂はいろー」
私 「ヤダ」
ヒロ「なんで?」
私 「断る」
ヒロ「ワガママだな!」
きゃぁぁぁぁぁーーーーー
今のは許せないぃぃぃぃぃ!!!!!!
私 「おい。 一体なにがワガママなんだ」
ヒロ「イヤだの断るだの 素直に「うん」と言えないのか?」
私 「理解できないわ」
マジで意味わかんねー! 苛立ちを隠すように煙草に火をつけた
ヒロ「ワガママって言われるの嫌いだろ」
ふぅぅぅぅぅーーーー 煙を吐く
私 「………アタシはいい気しねーわ」
煙草を消してふて寝に入った
続く