WHY@DOLL「WHY@DOLL」を聴いた。 | …

i am so disapointed.

「北海道札幌出身のオーガニックガールズユニット」とオフィシャルウェブサイトで紹介されているWHY@DOLLの2ndアルバム「WHY@DOLL」が先日リリースされ、かなり気に入っているので今回はそれについて書きたい。

 

WHY@DOLLは2011年に、北海道を拠点とする「Teamくれれっ娘!」の派生ユニットとして活動を開始したようだ。読み方は「ホワイドール」、愛称は「ほわどる」である。

 

2013年からは、活動拠点を札幌から東京に移しているようだ。

 

私は1年半ぐらい前まではアイドルといってもハロー!プロジェクトとAKB48グループぐらいしかよく知らなかったのだが、たまたまNegiccoにハマったのがきっかけで、他にも色々聴きはじめたのであった。

 

その中で特に音楽的に気に入ったグループがいくつかあったのだが、WHY@DOLLはそのうちの1つであった。

 

Negiccoのどこが気に入ったかというと、シティ・ポップやいわゆる「渋谷系」などと呼ばれているタイプのものなど、元々私が好きだった音楽の要素が含まれていたからである。

 

よって、派生的に好きになったアイドルグループにも、そのようなタイプが多い。

 

WHY@DOLLをいつ頃から注目しはじめたかについてはいまとなってははっきり覚えていないが、おそらく昨年の秋ぐらいだったのではないかと思う。

 

Negiccoの曲がたくさん取り上げているというので、堀埜浩二氏による「アイドルばかり聴け」という本を買ったのだが、それでWHY@DOLLの曲もいくつか紹介されていた。というか、Negicco、清竜人25などと並び、かなり扱いが良かったような気がする。

 

WHY@DOLLはNegiccoと同じT-Palette Recordsに移籍し、その第1弾となるシングル「菫アイオライト」が丁度リリースされた時期でもあった。

 

それがかなり気に入ってしまったのだ。ダンスブルで大人な雰囲気を持ったタイプのアイドルポップスにおいて、1つの到達点ではないかと思うほど気に入り、私が好きな曲をかけまくる場面においては、キラー・チューン的な役割を果たす1曲となっている。

 

その後、1stアルバム「GEMINI」もかなり気に入って、よく聴いていた。イントロがフュージョンのようで、収録曲は粒ぞろい、特に「秒速PARTY NIGHT」が気に入ってよく聴いていた。また、クリスマスの時期には仕事場で流すプレイリストに、山下達郎や松任谷由実、マライア・キャリーやワム!といった定番曲の中に、こっそり「Ringing Bells」を紛れ込ませたりもしていた。

 

WHY@DOLLの音楽の魅力は、サウンドや曲調、歌詞も都会的なのだが、ボーカルがなごみ系であることによって生まれる、絶妙なアーバン・オーガニック感覚だと思う。

 

それは、WHY@DOLLを生んだ札幌という街の魅力ともよく似ているように思える。

 

「菫アイオライト」などものすごくカッコいい曲なのだが、ビデオではメンバーである青木ちはる、浦谷はるなの2人が料理をしている場面がほとんどである。

 

「菫」という漢字は日常生活の中であまり使われることがないが、植物の「スミレ」である。同じく聞き慣れない「アイオライト」は、菫青石という鉱物の宝石としての名称らしい。また、この曲の歌詞の中には、WHY@DOLLの過去の曲名が多数、埋め込まれている。

 

T-Palttte Recordsに移籍して初となるアルバム「WHY@DOLL」は、WHY@DOLLのこのような魅力をじゅうぶんに生かしたまま、ハイ・クオリティーな楽曲が並んだ作品となっている。

 

アルバムは移籍第1弾シングルとなった「菫アイオライト」で、幕を開ける。作曲の吉田哲人は、小西康陽の専属マニピュレーターとして活動していた方らしく、私立恵比寿中学やチームしゃちほこといったアイドルグループの作品の他、Negiccoの「ネガティヴ・ガールズ」「Space Nekojaracy」にも関わっているようだ。

 

そして、吉田哲人と共に編曲を手がけているのが長谷泰宏(ユメトコスメ)で、「イミシン☆かもだけど」「カナールの窓辺」「おやすみ」、また、最近リリースされたベスト・アルバムにおいて遂に念願の音源化がかなった出囃子「Make Up Prelude」などで、Negiccoにも関りが深い。

 

もう何度も聴いているのだが、聴く度に本当に素晴らしいと思える。ここ数年で出会った曲の中でも、特にお気に入りの中の1曲である。ゆえに、アルバムの1曲目にも相応しいのだが、その後が尻すぼみにならないかが心配である。よくある強力なシングル曲と、それほど良くはないその他の曲、というような展開である。

 

そして、2曲目にやはり先行シングルの「キミはSteady」が入っている。気鋭のポップユニット、ONIGAWARAが手がけた、これも強力なダンス・オリエンテッド・チューンである。この時点で、シングル曲2曲をすでに使い果たしている。このシングルのカップリング曲である「ラブ・ストーリーは週末に」も、80'sテイストのサックスが鳴きまくるイカすシティ・ポップだったのだが、この曲はアルバム未収録である。

 

しかし、心配はまったくの杞憂であった。先述の吉田哲人、長谷泰宏(ユメトコスメ)、ONIGAWARAの他、仮谷せいら、Jess & Kenji (give me wallets)、Sosuke Oikawa(CICADA)、保坂ねこといった作家陣が手がけた作品はいずれも素晴らしく、WHY@DOLLのアーバン・オーガニックな世界観を強化するものであった(もちろん「菫アイオライト」作詞のつのだゆみこも含めである)。

 

アルバムの最後に収録された「恋はシュビドゥビドゥバ!」はメンバーの青木千春、浦谷はるなが作詞を手がけ、作曲・編曲は「菫アイオライト」と同じく吉田哲人(作曲・編曲)、長谷泰宏(ユメトコスメ、編曲)である。

 

スモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズ「涙のクラウン」の引用もイカした、ゴキゲンなポップ・チューンである。

 

また、保坂ねこによる「忘れないで」「Hello Hello Hello」のややフォーク/ニューミュージック調のテイストが、アルバム全体の中で程よいアクセントになっているとも感じた。

 

 

 

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