心理学部の私としては、夢のコラボです。

村上春樹、河合隼雄に会いにいく (新潮文庫)/河合 隼雄

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この、河合隼雄先生というのは、
日本臨床心理学会の理事長を務められていた方です。

中学生のころ、父に「こころの処方箋」という河合先生の本を薦められ、
心理に興味を持ちました。

箱庭療法という、セラピーの第一人者でもあります。

この本で、河合先生が

「言語化することの危険性」について書かれていて、
衝撃を受けました。


カウンセリングとか、セラピーとかって、
悩みを打ち分けなくてはならないから、
今の状況、気持ちを言葉にしなくてはいけませんよね。

でも、それって実は、けっこうキツイことです。

「あぁ、本当にひどい状況だ」とか、「こんな風に思う自分って醜い」とか。
また、
それを言ってしまうと、きちんと、決定的に認識されてしまって、
逃げ場が無くなってしまう。

河合先生の例では、
「実は父親を殺したいと思う」と言うとします。そして、それを言ったことで傷つく。

こういう事って、けっこうあると思います。
言わなければもやもやと、確定的でなかったことが、
口に出してしまうと、確定されてしまう。

箱庭では、それを、表現することで、整理していくんです。
箱の中に、
恐竜とか花とか噴水とか女の子とかを置き、世界を作ることで。


物語を作ることも、それと似たことだと書いてありました。
だから、
春樹さんの作品は、彼の自画像なのだと思います。

成長過程が見れる。 心理学者としてはおもしろい題材なのではないかと思います!

私は、「生きる価値」について、考えさせられました。
たぶん、読む度にちがったことを考えさせられる。

軽いかんじの対談ではないので、
腰を据えて読んでほしいです。 ぜひ!